音楽の学び方が安易になってはいないか… | フクロウのひとりごと

フクロウのひとりごと

愛知県在住のトロンボーン吹き、作編曲家、吹奏楽指導者。
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今ってほんとうに、至れり尽くせりの世の中だとは思われませんか。ほんとうに、恵まれ過ぎているように思うのです。共感いただけますか。では、それで良くなったところってどこでしょうか。むしろ良くないところは…

こんばんは。
トロンボーン吹きで作編曲家、吹奏楽指導者の福見吉朗です。

 


 

 

  チューナー

 

楽器の音高を確認する道具、チューナー、これ、昔は万単位の値段だったってご存じですか。
大きさも、小さめの弁当箱ぐらいあった…
だからとても、1人に1つなんてムリで、せいぜいバンドに1つだった。
それを使うのは、合奏前のチューニングの時ぐらいだったのです。
今は…
めっちゃコンパクトになってお求めやすい値段で、しかもとっても多機能。
それどころか、ぼくも持っていますが、スマホのアプリにも、いろいろなチューナーがあります。
1人1コが当たり前です。
どうです、便利になったでしょ。
では…
 

 

  それでどうなったのか

 

さて、チューナー、今ではこんなにお手軽で当たり前になりました。
で、どうでしょうか。
たとえば、学校吹奏楽。

昔のバンドにくらべて今のバンドって、音、合うようになったと思われますか。
音が合う、という面においては、あまり変わっていないように思うのですがどうでしょうか。
だとしたら、それはなぜなのでしょう。
チューナーにハーモニーディレクター、便利な機械がお手軽に使えるようになったのに…
なのになぜ変わらないのかというと、機械に頼って耳を使わなくなったからですよね。
そうやって耳が退化していけば、むしろ音は合わなくなる…
 

 

  サブスクやYouTube

 

たとえば曲を調べるときに、参考音源を探すときに、昔だったらレコードを探したものです。
いろいろ調べたりして、ね。
今は、YouTubeにサブスク、いろいろな演奏を手軽にいくらでも聞くことが出来る。
なにかを調べるのでも、図書館や資料館に行ったり辞書を引かなければわからなかったことが、
今はネットを使っていくらでも調べられるようになった。
(ぼく自身を顧みてもそういうところは大いにあります)
さて、でも、それでよくなった?
「今の子たちはYouTubeでちょっと聴いてよしとしてしまっている」
と、ある先生がなげいておられました。
その浅さは、やっぱりわかってしまうものらしいです。
そして、ネットには、いい加減な情報や中途半端なものだって少なくない。
尤も最近は、放送や書籍の情報だからって正しいとは限りませんけどね…
 

 

  それをどう使うのか

 

現代はほんとうに至れり尽くせり。便利な(安直な?)世の中になりました。
家から一歩も出なくても社会生活が出来てしまうような時代です。
でも、その便利なものをどう生かすのか、ということだと思うのです。
便利なものに依存しきって振り回され利用されていたのでは、人間は退化してしまいます。
たとえば、ナビがないとどこにも行けないのなんかがそうですよね(自戒)。
便利ではあるのだけれど、それをどう使うのか、だと思うのです。
たとえば音源だって、ネットでいくらでも手に入る。でも、
生の演奏からでなければわからないこと、伝わらないことって、少なくない。
足を運んで、肌で感じて初めて得られること、それはたくさんある。
便利になって、それをしなくなってきているのだとしたら、まさしく退化です。

 

 

  いいところ悪いところ

 

便利になった、手段、チャンネル、選択肢が増えた、それは、いいことだと思うのです。
でも、安易に答えを『手に入れたような気に』なって、それで安心してしまったのでは…
それでは、チューナーを手に入れてかえって音が合わなくなるバンドと同じですね。
そして、なんでも簡単に手に入ると、広く浅くにもなりかねない。
じっくり時間をかけてひとつのことに取り組むことが薄れて行くようにも思うのです。
それは、いい面も悪い面もあるのでしょうが、大切なのは、
そのことに気づいている、わかっている、ということだと思うのです。

さて、あなたは便利なものに振り回されてはいませんか。