続、サブタンクという概念 | フクロウのひとりごと

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愛知県在住のトロンボーン吹き、作編曲家、吹奏楽指導者。
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昨日は、金管楽器を演奏するための口の中の小さな空間(サブタンクという言葉で書きました)について書いてみました。あれで完結とするつもりだったのですが、続編をもう少しだけ、きょうは書いてみたいと思います。

 

こんばんは。

トロンボーン吹きで作編曲家、吹奏楽指導者の福見吉朗です。

 

 

 

  サブタンク

 

金管楽器は、空気の流れ(圧力)を繊細にコントロールすることで演奏している。

その繊細なコントロールは、肺やおなかが担っているのではなくて、口の中の小さな空間、

くちびると舌と口の中の天井(硬口蓋)で囲まれた空間によっておこなわれているのではないか。

そんなことを、昨日は書いてみました。

で、口の中の空間、その奥には、空気の通り道が狭くなっているところがあると思うのです。

これ、あまり誰も言いませんけども…

きょうはもう少し、このことについて考察してみます。

ちなみに、昨日の記事はこちら。

 

 

 

  サブタンクは変化する

 

口の中の小さな空間、サブタンク、この形や大きさは、音の高さや大きさ、いろいろな表現、

つまり、必要な空気の圧力(流れ)によって変化すると思います。

あるいは、その空間に共鳴させてるいのかもしれません。

口笛だってそうなっていますよね。管楽器もこれと同じだと思うのです。

以前、ある先生にレッスンで、こんなことを言われたことがありました。

『高い音は細い舌、スズメの舌で、低い音は太い舌、牛の舌でタンギングするような感じで』

この教え、タンギングの極意とも捉えられるでしょうけど、

サブタンクの変化の話と捉えると、ほんとうに腑に落ちると思うのです。

この空間を変化させているのは、おもに舌ですよね。

この動きなしでは、音の高さを変化させるのは難しいと思います。

 

 

  口の中を広くという教え

 

管楽器の世界で、時々「口の中をもっと広く」という指導があると思います。

これ、それが有益な生徒さんには、あるいは良いのかもしれません。が、

もちろん誰にでも当てはまるものではないですし、ましてや、

口の中は広ければ広いほどいいなんて思ってしまったら危険です。

この指示が最も問題なのは、口の中の空間を、つまり、

サブタンクを壊してしまいかねないこと、なのではないかと思うのです。

かくいうぼくも、学生の頃は、口の中は広いほどいいと、どこかで思っていました…

一体どうやって吹いていたのでしょうかね…

 

 

  のどを開けてという教え

 

同じように、「のどを開いて」、「のどを下げて」という指導も時に聞かれるものかもしれません。

これもやはり、捉え方を間違うと、口の中の空間、サブタンクを壊しかねないと思います。

舌とのどはつながっていますから。

そして、前半で書いたように、のどと、口の中の空間を隔てているところ、つまり、

舌の奥(と軟口蓋?)によって空気の通り道が狭くなっているところが必要だと思うのです。

それによって、口の中の小さい空間が形作られている。ところが、

のどを開けようと意識することによって、その狭い通り道をなくして(広げて)しまったら…

吹けなくなってしまうかもしれません。

 

 

  つぶれる原因

 

調子が悪くなったり、吹けなくなったりする原因って、もしかしたら多くは、

この、口の中の空間が壊れる、コントロールが失われることなのではないか。つまり、

おもに舌の繊細なコントロールを、なにかの拍子に忘れてしまうことなのではないか、

そんなふうにすら思うのです(経験者は語る)。

で、それをさらにアンブシュアが悪いなんて思ってしまったら、もう迷路ですよね…

それでは永遠に抜け出せません。

でも、出来ている時には無意識にやっていること…

しかも、口の中という見えないところで起こっていること…

だから、意識が向きにくいし誰もあまり言いません。

 

 

  空気をコントロール

 

さて、口の中の空間、そのコントロール、舌…

それって何のためなのかというと、空気の流れ(圧力)を繊細にコントロールするためですよね。

空気の流れ(圧力)が主役なのです。

このことは、忘れてはならないように思います。

「息の流れを意識して」という教えは、つまりはそういうことだと思うのです。

舌や口の中をどう変化させたって、空気なくしては意味がありませんよね。

 

さて、管楽器吹きのみなさん、このお話、どう思われますか。

 

 

と、ここまで書いて見つけたのですが、トランペット奏者の竹浦泰次朗氏が、

金管楽器演奏における舌の役割について、もっと詳しく連載されています。

こちらもぜひ読んでみてください!