プラスの緊張マイナスの緊張 | フクロウのひとりごと

フクロウのひとりごと

愛知県在住のトロンボーン吹き、作編曲家、吹奏楽指導者。
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『緊張を味方に』、よく言われることかもしれません。でも、それって一体どういうことなのでしょうか。

味方の緊張と敵の緊張があるのでしょうか。一体どうしたらいいというのでしょうか。わかりますか。

 

こんばんは。

トロンボーン吹きで作編曲家、吹奏楽指導者の福見吉朗です。

 

 

 

  緊張しない人は…

 

みなさんは、ステージは緊張する人ですか。

それとも、あまり緊張しない人ですか。

ぼくは、どちらかというと普通はあまり緊張しない人です。でも…

ステージに行く前、どれくらい緊張しているのかを知るためによく脈を測ってみるのですが、

緊張してないなぁ、と思っていても、やっぱり少しは普段の脈よりは早くなっているものです。

本番でも全然変わらないというのであれば、それはむしろ、よくないことのようにも思います。

ステージで緊張しない人はいないと思うのです。

『練習は本番のように、本番は練習のように』なんて言いますが、そんなの出来るはずありません。

だって、本番は練習ではないのですから。

 

 

  プラスの緊張とマイナスの緊張

 

こんな経験があります…

『とても緊張しているのだけれど、アドレナリンが出て前向きに演奏できた』

また、こんなこともありました…

『どうにもうまくいく気がしなくて、なんとか終わってくれという気持ちで演奏した』

みなさんはどうですか。

同じようなことを経験した方、もしかしたら少なくないかもしれません。

緊張の深さとは関係なく、どうやら緊張には、プラスの緊張とマイナスの緊張とがあるようですね。

さて、この違いって、一体何なのでしょうか。

 

 

  意思があるかどうか

 

ちょっと言語化するのが難しいのですが、あとになって考えてみると、プラスの緊張の時は、

『こういう演奏がしたい』、『こうあるべきだ』という意思がはっきりしている時だと思うのです。

それが、怖さ、恐れに勝っている時。

マイナスの緊張の時は逆に、そういう意思が弱く、恐れの方が大きい時。

どうでしょう。みなさんは、そうではありませんか。

では、『恐れ』とは何でしょう。

 

 

  恐れ

 

たとえばオーディションや試験、入試。

この演奏の評価如何で、人生が変わる局面です。

たとえばテストや試用。

これも、その後の生活が変わります。

たとえばコンクール。

演奏の評価で、賞が決まります。それも大きなことです。

そう考えると、ステージって決して、安全でもなんでもないんですよね…

また、お客さんや仲間にどう評価されるだろうか、どう思われるだろうか、

こんなことも、恐れになりますよね。

でも…

 

 

  どうにもならないもの

 

ここでひとつ言えることがあります。

合否、順位、賞、評価、そういうものって、どうにもならないものなのです。

いいですか、どうにもならないんです。どうしようもない。

なぜなら、それを下すのは他人だからです。

もちろん、最高の演奏が出来るように準備やベストをつくす、それは、出来ることです。

たくさん出来ます。

でも、それに対する評価は、自分の範疇の外にあることですよね。

何人たりとも、どうすることも出来ないことなのです。

「私に任せれば絶対に金賞が獲れる」なんていう指導者がもしいたら、それは大ウソつきですね。

 

 

  開き直る

 

自分の範疇の外にあること、どうにもならないこと、それはもう、考えないことです。

あきらめる。どうなってももう仕方がない。開き直る。

そんなことにはこだわらず、ただただ、自分のベストを尽くす。

最高の演奏が出来るよう、準備する。ただそれだけ。

コンクールで、賞にこだわってうまくいかなくなるのは、ここのところを間違うからです。

どうにもならないことにはこだわらない。

ベストを尽くして、あとは野となれ山となれ、です。

もし、今の自分にとっての最高の演奏が出来たとしたら…

それを他人からどう評価されようと、そんなことはもう、どうでもいいではないですか。

 

 

  意思

 

では、意思とはなんでしょうか。

こう演奏したい、こんな音で奏でたい、こうあるべきだ…

それが、具体的な音として自分の中にあること。

それが、意思になります。

言葉で説明なんか出来なくていいんです。『音』があること。自分の中に。

それが具体的であればあるほど、クリアであればあるほど、大きな力、助けになる。

だって、それはつまり、『自分の中に正解がある』ということだからです。

正解を知っているテストなんて、怖くもなんともないですよね。

あとはただ、それを実際の音にするスキルの問題だけなのです。

 

 

  音楽が身体に入っている

 

その音楽が、自分のパートも含めた全体の響きが、しっかり自分の中にあること。

この曲はこうあるべきだというイメージを、クリアに持っていること。

この場面での自分の楽器は、こうあるべきだという美学のようなものを持っていること。

そのためには、いろいろな音楽にたくさん触れた経験が不可欠です。

たくさん聴いたり経験したり…

そういうものが、とても重要になってくる。

そうして、自分の中の『正解』が、クリアになってくる。

そうなって初めて、ほんとうの音楽が奏でられる。そこに近づける、そんなふうに思うのです。

 

さて、あなたは自分の中に正解を持っていますか。

 

 

美学

1 美の本質、美的価値、美意識、美的現象などについて考察する学問。
2 美しさに関する独特の考え方や趣味。

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