個人練上手と合奏上手 | フクロウのひとりごと

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愛知県在住のトロンボーン吹き、作編曲家、吹奏楽指導者。
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世の中には、1人で吹いて上手い人と合奏の中で吹いて上手い人といるのかもしれません。

楽器を上手に演奏することと、合奏の中でうまく演奏することって、違う能力なのでしょうか。

 

こんばんは。

トロンボーン吹きで作編曲家、吹奏楽指導者の福見吉朗です。

 

 

1人で吹くと上手いのに…

1人で吹いているととっても上手いのに、合奏に入るとなんだかうまく合わない…

ハーモニーをつくったり、歌い回しを合わせたり、合わせる勘所とか音の寄せ方、

そういうのが、どうもうまくない…

1人で吹くと上手いんだけどなぁ…

そんな人、いるかもしれません(決して特定の個人のことを言っているのではありません)。

逆に、1人で吹いていると大したことなさそうなのに、

合奏に入るとアンサンブル能力が抜群で、いいセクションが出来る、

そんな人もいるかもしれません。

さて、それって一体何なのでしょうか。合奏の能力って…

 

合わせる能力

合わせる能力、合奏の能力って、一体何なのでしょうか。

音を合わせる能力、ハーモニーさせる能力について言えば、

いわゆる『耳』とか『音感』とかいわれるものも大切かもしれません。

それも、『相対的な音感』。前の音に対して、ほかの音に対して、心地よい音高を奏でる能力。

また、アインザッツを合わせる、息を合わせる。

おなじテンポ感の中で演奏できる。

いろいろな音を出せる(緊張感や、張りや、色や、明るさ…)。

いろいろなスタイルを理解し音にできる。

引き出しの多さも関係してきそうですね。

 

いろいろな音

一緒に演奏していると、ピンポイントで音が合わないと気になる音もあれば、

多少アバウトなピッチでも気にならない音もあると思いませんか。

いいとか悪いとかではないと思うのですが、もしかしたら響きの包容力、なのかもしれません…

また、たとえば、宝島を吹く音と、アルメニアンダンスを吹く音って、違いますよね。

少なくとも、音を出すイメージは違うと思います。

そんなふうに、曲によって場面によって、音を使い分けられる、

つまり、それぞれのイメージを持って音を出せること、イメージを持っていること。

これがあるとさらに、曲を演奏する時は、その『音楽』が、演奏を大きく助けてくれます。

そんなあたりも、合奏でうまく演奏する能力なのかな、と思うのです。

 

個性がないのとは違う

合奏、人と音を合わせるというと、『個性を出さず』と考える人もいるかもしれません。

いや、ともすると、そんなふうに考えがちですよね。

邪魔しないように、はみ出さないように、うまく重ねて…

これ、違うと思うのです。

これでは、どんなにはみ出さなくても、ほんとうに合うようにはならないと思うのです。

自分を出さない、ではなく、しっかりと意思を持って奏でる。

『付けようとして合う合い方と、同じ方向で吹いた結果として合う合い方は違うものだ』

そんなふうに言われた方もおられます。そのとおりだと思います。

 

存在感いろいろ

存在感がない方が、合わせやすい?

たとえば、下パート。2ndとか3rdとかには、しっかりとした存在感が必要なように思います。

下に行けば行くほど、太くて包容力のある、しっかりとした音が求められる。

ある種の『存在感』が必要なのだと思います。

それなのに、上と同じ発音や機動性も要求される。

そういうことが出来ている演奏を耳にすると、ほんとうに名人芸だと感じます。

 

合奏の能力ってなんだろう…

いろいろと書いてみましたけど、さて、合奏でうまく演奏できる能力って、一体何なのでしょう…

耳や音感の良さ(これらって育つものですよね)、

音楽的な運動神経(これだってきっと育ちますよね)、

そういうものも必要なのでしょうけど、いちばんはもしかしたら、

イメージの多様さ、音楽的な引き出しの多さ、いろいろな個性を出せること、なのかもしれません…

そして、まわりを感じ取れる能力、自分のまわり全部を意識に入れて演奏できる能力、

そういうことが、もしかしたら『合奏の能力』なのかもしれませんね。

1人でうまく演奏できる能力と、合奏の中でうまく演奏できる能力は別のもののように思います。

そして、合奏の能力は合奏によってしか育たない、と思います。

 

さて、みなさんは1人で演奏するのと合奏の中で演奏するのと、どちらが得意ですか。