チューニングの話、トロンボーンの場合 | フクロウのひとりごと

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愛知県在住のトロンボーン吹き、作編曲家、吹奏楽指導者。
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数日前のブログで、チューニングの基礎知識を書いたのですが、

きょうはトロンボーンにまつわるチューニング話あれこれを書いてみますね。

 

こんばんは。

トロンボーン吹きで作編曲家、吹奏楽指導者の福見吉朗です。

 

 

1ポジションって

まず、とっても基本的なこと…

1ポジションは、スライドをいちばん短くしたところではありません!

スライドのロックをかける、ストップに当たるところではないのです。

そこから1cmくらい離したところ、それが、基本的な1ポジションです。

なぜなのか…

いちばん短くしたところを1ポジションとしていると、もし低かったら、それ以上上げようがありません!

吹き方で上げれるって?

トロンボーンは、音程の調整はすべてスライドでおこないます。100%です。

それが、トロンボーンの長所のひとつです。

あと、もしいちばん短くしたところを1ポジションとしていると、素早くそこに戻せないでしょ。

 

スライドで

チューニングする時、合わせる音を聞いて、まずはスライドで調整してみます。

高かったら抜いて(遠くにして)、低かったら入れて(近づけて)、

それで、いつもの位置との違いを見る。その分だけチューニング管を動かせば合いますよね。

吹奏楽だとBでチューニングする団体が多いですが、オーケストラはAでチューニングします。

Bは1ポジションだから分かりやすいけれど、Aは2ポジション…

Aを聞きながら、Aの完全4度上のDを吹いてみたりします。

そもそもチューニングって、ミリ単位の長さ調整ではなく、確認的な意味合いだったりします。

だって、管楽器なのですから。

 

F管

抜き差し管って、主管だけではなく、テナーバスだとF管にもありますよね。これ、どう合わせますか。
一般的に言われるやり方は…
下のBと、そのすぐ上のC(F管1ポジション)、この2つが、スライド調整しなくても合うようにする。
スライドがおんなじ場所で、2つの音がピタリになるようにF管の長さを調整する。
すると、その下の低音Fは、たいてい低くて使えなくなるから必ず6ポジションで吹く。
あるいは、低音FをF管1ポジションで吹きたいのであれば、F管の抜き差し管をもっと入れておく。
すると、低音Fのピッチも良くなって、低音FをF管の1ポジションで吹くことが出来る、というもの。

この低音F、F管で吹くという人、けっこうおられるのです…。
 
 

F管の実際

上に書いたF管のチューニングのしかた、昔から言われている一般論なのですが、実際には…
もし低音FをF管の1ポジションで正しいピッチで吹こうと思ったら、たいていの楽器は、
F管のチューニング管をいっぱいに入れてぎりぎりくらいではないでしょうか。
でも、もちろん楽器によりますが、それではF管の鳴り方が変わってしまいます。
実際には、下のCで合わせて少し抜いておいて、すると低音FをF管の1ポジションで吹くと低いから、
瞬間的に出てくるところや短い音など許容できる箇所やベターな場面でのみF管で吹く。

普段は6ポジション。
そんなふうにされる人が多いのではないかと思います。ぼくもそうです。
低音F、F管で吹いたら低いのはわかってる。

でも管を抜かないで鳴りにくくコントロールしにくくなるよりはいい…。

 

下のH

次は、下のHの音。

これ、F管の2ポジションで吹かれる方が多いと思います。
この2ポジション、普通の2ポジション(といっても音によって違いますが!)とは違いますよね。
もう少し遠くです。
B管を半音下げる長さよりも、それより長いF管を半音下げる長さの方が長いはずですものね。
そのことはわかっているのだと思うのですが、でも、
この、下のH、高い人がとても多いのです。10人中8人か9人は高いです。チェックしてみましょう。
もちろん下げ過ぎてもいけませんが…

 

音程の癖

楽器には音程の癖があって、たとえば1ポジションの音でも、全部同じ位置ではなかったりします。
たとえばBachでいったら、BよりFが高くて、上のFはもっと高くて、Dは少し低い。
YAMAHAは、ほとんど癖はないのだけれど、Dがむしろわずかに高い…
ポジションが変われば(楽器の長さが変われば)、この癖もまた変わってくる…。
Bachは、スライドが遠くなると、1ポジションでの癖がわずかずつ拡大されていく感じ。
YAMAHAは、スライドが遠くなると、逆に少しBachと近い傾向に変わってきたり…


上のG(2ポジション)が、どれくらい普通の2ポジションより近くなるのかも楽器によって違います。
YAMAHAよりもBachの方が、普通の2ポジションとの差が大きいです。
こういう癖やスライドポジションの微妙な位置を、身体でおぼえることが必要なのですね。
このあたりも、違うメーカーの楽器を持ち替える難しさだと思います。痛感…

 
なにしろでも、トロンボーンの場合、右手と耳が無意識の条件反射で直結していること、
吹くべき音を自分の中で歌っていること(これはどんな楽器でもですが…)、
これが大切だと思います。
そして、もし音程がはまらなくなったら、まず楽器がちゃんとメンテナンスされているかチェックです。
 
さて、ちゃんとチューニング、できますか。