コンクールとは何か | フクロウのひとりごと

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愛知県在住のトロンボーン吹き、作編曲家、吹奏楽指導者。
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吹奏楽コンクールが開催されるかどうか不透明な状況の中で、いろいろな声が聞こえてきます。

ぼくも中高6年間、吹奏楽コンクールを経験しました。コンクールって何だろう…

 

こんばんは。

トロンボーン吹きで作編曲家、吹奏楽指導者の福見吉朗です。

 

中部日本吹奏楽コンクールの本大会も、残念ながら一昨日中止が発表されてしまいました…

さて、あなたはコンクールって一体何だと思われますか。

 

 

コンクールに出る目的

なんのために、なにが得たくてコンクールに臨むのだろう…

音楽する喜び、音楽そのものから何かを受け取りたいのか、

それとも音楽を材料にして、そこから何か別のモノ、熱くなれる体験とか仲間との連帯感…

そういうものを受け取りたいのか、

あるいは、人からの評価をもらうのが目的なのか…

でも、熱くなれることや連帯感なら、コンクールである必要はないのではないか。

ほかの演奏会でもいいのではないか…

 

目に見えるモノでの評価

賞という目に見えるモノで、自分たちの音楽、演奏を評価してほしい、外からの評価がほしい、

それによって、自分たちの演奏や、やってきたことを認められたいのか…

自分たちの音楽や、やってきたことの価値を、形のあるモノで得たい、そういうことなのか…

でも、ほんとうに大切なことって、自分でどう思うのか、ではないだろうか…

他者から評価される、人から気に入られるモノを目指すのか、それとも、

自分たちが本心から、いいと思えるモノを目指していくのか、

そのどちらのために、努力するのか…

 

ある夏のコンクール

ずっと前、あるバンドの、ある夏のコンクールの帰りのバスの中、ぼくは指導者として同行していました。

指揮者の先生がジャッジペーパーを読み上げられた後、ぼくにマイクを渡されました。

そのバンド、前年はとても吹けるメンバーがそろっていた割に、バンドのサウンドはどこかバラバラで、

だからその年は、『とにかく一緒に音を出そうよ、一緒に合わせよう』と言って、みんなでやってきた。

初心者も多く大変だったけれど、各パートも合奏もサウンドしてきたのを、とても感じていた。だから、

「バンドをひとつの楽器として見た時、今年はとってもいい楽器に育ったと思う。

だから、みんなのやってきたことは間違ってない」と、マイクを通して静かに伝えたのでした。

望む賞には届かず静かになっていたバスの中が、そのひとことで、いつもの雰囲気に…。

もちろん、なにが足りなかったのかもわかった上で伝えたのだけれど…。

ほんとうに認めてあげることが出来るのは誰なのか、それはジャッジよりも、ずっと見てきた人。

そのことがどんなに大きなことなのかということを、その時、あらためて肌で感じたのでした。

 

 

自分たちが目指すモノ

自分たちが本心から、いいと思えるモノ、それって何だろう…

あなたは持っていますか。

それは、誰かから与えられた価値観ですか、それとも、自分で見つけたものですか。

ひとりひとり違っているかもしれないし、あるいは、

思っているのよりも、共通している部分が多いのかもしれない…

でも、この部分をもっともっと育てていかないといけないように思うのです。

人から評価されることや、人にただ言われるままに、こう言われたからこうする…

それでは、他者からの評価によりかかる音楽しかできない。

そこから脱却しないと、ほんとうの意味での成長って、出来ないのではないか。

少なくとも、ジャッジに一喜一憂するだけで終わっていくようなコンクールなら、多分意味がない…

 

成長

ほんとうの意味での、音楽的成長ってなんだろう…。

ほんとうの意味での、人間的成長ってなんだろう…。

本気で考えてみる時なのかもしれないですね。

言われたとおりに、従順に、忠実に…、そんな、悪い意味での日本人的感覚を改める時なのかも…。

正解なんかない。

悩んだり考えたり探したり、そうやって見つけていくこと、

これまでの当たり前の価値観を、『ほんとうはどうなんだろう…』って考え直してみること

とっても大切なように思うのです。

 

認めてあげられるもの

先生の言われたとおりにできたらOK?

こうだと決められたレールの上を、きちんと進んでいけたらOK?

ジャッジが良かったら、代表になれたらOK?

さて、どうでしょうか。

自分たちがやってきたことを評価、認めてあげられる存在って、ほんとうは、賞ではないですよね。

賞は、目標ではあるのだけれど、でも、決してモノサシではない…。

 

さて、コンクールって一体何でしょう。