日本一危険な国宝はほんとうに修行の場だった | フクロウのひとりごと

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愛知県在住のトロンボーン吹き、作編曲家、吹奏楽指導者。
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じつは一昨日の夜から鳥取県の実家に帰ってきています。

きょうは朝から県東部の中学校にお邪魔してきました。

 

こんばんは。
トロンボーン吹きで作編曲家,吹奏楽指導者の福見吉朗です。
 

 

中学校へ

 

実家は県西部なのですが,きょうは朝から鳥取県東部の中学校へ。

 

 

これ,中学校の校舎からの眺めです。

子どもの頃からこんな自然の中で育ったのでそんなに驚いたりはしないのですが,

でも,すごいでしょ。

東部方面は特に海がきれいですね。山陰ジオパーク。白兎海岸,鳥取砂丘,浦富海岸…

 

中学校では金管中低音セクションを見たのですが,みんないい子たちでした。

校舎も新しくてきれいな中学校。

最後にミーティングで1曲吹いて,というムチャ振り?はありましたが(^^:

打楽器の先生と一緒に1曲やりました(^^)

 

 

三徳山に行ってみた

 

せっかく県東部まで来たので,前から行ってみたかった三徳山に,午後は行ってみることにしました。

三徳山投入堂は,『日本一危険な国宝』(←検索)と言われているところ。

いちおう,覚悟はして行きました。

三徳山三佛寺の本堂は,入口からそう奥ではないのですが,

有名な国宝の投入堂までの参拝登山が,三徳山入峰修行といって,とても大変なのです。

 

 

まわりはこんなところ。クルマを止めたら,参拝受付をします。

 

 

服装や靴のチェックが…

 

受付では,服装,靴(靴底の溝もチェックされます),装備などのチェックを受けます。

前のグループは,「それではムリです」と,入山を断られていました。

受付の方が言われるのには,半月に1回くらいヘリコプター出動の事故が起こっているのだそうです。

「修行というのは命がけでするものです」の言葉が重く響きます。

観光ではないのです。修行なのです!

 

ショルダーバッグを持っていたのですが,「それを持ってはムリです」と言われ,預けていくことに。

貴重品類を入れるリュックを貸してもらえます。

携帯,タブレット,サイフ,デジカメをリュックに入れて持って行きました。

そして,独りでは山に入れてもらえません。

万一の事故にそなえて,誰かとペアを組むことになります。

滑落してそれっきりになったら大変ですからね。

そして住所氏名,入山時間,緊急連絡先を記帳して入山します。

 

 

これが三佛寺の本堂。

 

 

 

いよいよ入山

 

本堂の裏手にあるこの門をくぐって,

 

 

この橋を渡ったら,いよいよ入峰修行の始まりです。

 

 

写真はみんな,帰りに撮ったものです。

とてもデジカメを首からかけて登れるようなところではありません。

もちろん帰りもキツいのですが,行きで免疫ができている分,多少はマシだった気がします。

休み休み降りました。

でも,あとで訊いたのですが,事故の多くは帰りに起こっているのだそうです。

 

 

ほんとうに険しい登山でした

 

右の坂,いや崖を登ります。

 

 

四つん這いで登る崖,鎖やロープにしがみついて登る崖も!

 

 

ほんとうに,ここを行くのか!?

そんなところばかりなのです!

 

 

ここを越えればラクになるんだろう,と,少しは期待するのですが,

次から次へと難所が現れて,ちっともラクになんかなりません。

まるで人生と同じです!

 

 

高いところにはかなり弱いのですが,そういう高所恐怖症的な恐怖は感じなかったですね。

クライマーズ・ハイではないでしょうが,なぜかそういう種類の恐怖はなかった。

ここを行くしかないんだ,ここを越えるしかないんだ,踏み外すことはできないんだ,

そんな思いだけで上って行きました。まるで,本番のステージとおんなじですね。

 

 

途中,心の中で何度もギブアップしようという思いになりましたよ。

おそらく断言できますが,大山登山より確実にキツいです!

 

 

こんなところをくぐって,少し行くと…

 

 

ほんとうに奇跡のようなお堂だった

 

 

言葉もありません。

こんなところに建っているのです!

 

 

別角度。

 

 

平安後期の建造なのだそうですが,一体,どうやって建てたのでしょう!

このあたりは,この前の地震の震源近くのはずだと思うのですが,大丈夫なのですね!

役行者が法力で投げ入れたという伝説があるそうですが,

きっと修行僧たちが建材を持って,きっと背負って登ったのでしょうね。

ただここまで来るだけでも大変なことなのに,ほんとうに奇跡のようです。

それこそ,修行だったのでしょうね。

 

そして,この投入堂を観られる場所も,平坦なところではなく,

山の斜面にへばりついて観る感じなのです。

 

 

 

登山の途中にも…

 

投入堂に行くまでの間にも,いくつものお堂があります。

これは,地蔵堂でしょうか…,重文です。

 

 

反対側は…

 

 

絶景ですが,さすがに足がすくみます。

 

 

ここで鐘をついて行きます。

どうやってこんな鐘を,こんなところまで持って上がったのでしょうか!

 

 

大小さまざまなお堂がありました。

 

 

これはもう,投入堂のすく近く,つまりかなり上の方にあるお堂です。

 

 

 

下山して

 

三佛寺の本堂まで下りてきて,30分くらい放心していたでしょうか…

汗と泥でぐちゃぐちゃになって,足もガクガクでした。

登山というよりクライミングに近いかもしれません。

 

本堂に参拝しました。

 

 

小さいころ,母に手を引かれていないとどこへも行けないような子でした。

いつも母の手をつかんで,うしろからついていく,そういう子でした。

「ちゃんと独りでできるようにならないといけないよ」,ずっとそんなふうに言われて育って,

大人になって,ある時,親が言ったのです。

「おまえは一人でどこへでも行ってしまう」と…

そうだよ,と,心の中で言いました。が…

 

ほんとうは,ずっとがんばっていたんだと思います。独りでできなきゃいけない,って言われて育ったから。

心細くて,しんどくて,つらくて,助けてほしくて,手を引いてほしくて…

なんだかそんなあの頃の自分を,登りながら思い出しました。再体験しました。

臆病で,人見知りで,独りではどこにも行けない,なんにもできない,そんな子。

そんな自分が,ずっと深いところにきっと今でも居るんでよすね。

本堂に参拝しながらそんなことを思っていたら,涙が出てきました。

ほんとうに,修行でしたね。

 

 

美しいお寺たち

 

本堂のほかにも,美しいお寺がいくつもありました。

輪光院。

 

 

中はこんなふう。

 

 

こちらは皆成院。

 

 

 

県道沿いから投入堂が見える!

 

そして,県道沿いから投入堂が見えるところがあるのです。

 

 

上の方。わかりますか?

ズームしてみると…

 

 

ほんとうに,すごいところに建っているのですね。

 

 

さすがに疲れました。あたまも働きません。

きょうでよかったです。天気も良かったですし(雨だと当然入山禁止です)。

愛知から帰り着いた次の日では,登る体力はなかっただろうし,

夜,愛知に帰る明日では,登ったあと400km運転するのなんてムリだったでしょう。

でも,行ってみてよかったと思います。

 

帰り道,夕焼け空がきれいでした。