移動ドのススメ | フクロウのひとりごと

フクロウのひとりごと

愛知県在住のトロンボーン吹き、作編曲家、吹奏楽指導者。
おもに吹奏楽の活動に役立つ情報を発信中!
バンド指導をご希望の方はお気軽にご連絡ください。

絶対音感ではない人が相対音感や調性感を獲得するには移動ド(階名唱)がいいとTwitterに書いたら、
音楽教育家の大島俊樹さんからこんな補足をいただきました。
 

 

 

絶対音感の人にも、調性感や相対音感の不足を補う意味で移動ドが有効なのだ、と…。

自分自身が相対音感移動ド人間なので絶対音感の人の感覚は実感としてわからなかったのですが、
興味深い、というか、とても認識を新たにしたアドバイスでした。
 
こんばんは。
トロンボーン吹きで作編曲家、吹奏楽指導者の福見吉朗です。
 
 
自分自身の話
 
子どもの頃からピアノとかをやっていたわけではないし、
ちゃんとした音感教育ということでは、高校2年の頃に習い始めたソルフェージュが最初です。
おそらくそこで初めて移動ドを習って使い始めたと思うのですが、なんの抵抗もありませんでした。
だって、聞こえるとおりに歌えばいいんだもの。
 
多分その前から、音楽はその調のドレミ、つまり階名(移動ド)で聞こえていたと思うのです。
なぜだろう…
ロックバンドをやっていて、耳コピしていたからかな…
もちろん最初は全然採れませんでした。
でも、コピーをやっていくうちに、だんだんわかるようになってきた。
 
なにしろ、あの頃しっかり移動ドをやっていたおかげで、今いろいろとても助かっています。
移動ドのいいところ
 
移動ドのいいところって、なんでしょう?
あたりまえですが、その調性の中にいられることです。
これ、とても大きなことです。
というより、どんな楽器や歌でも、今演奏している調性を感覚的に把握せずに演奏するなんて、
そんなの考えられない…
だいいち、それでは音を取るための拠り所がないじゃない!
 
クルマで言ったら、今どこを走っているのか把握しないで運転してるのとおんなじことだと思うのです。
 
その調の中にいつもいられる安心感。
借用和音だとか転調だとかいう机上の些末なことではなくて、
感覚的に『感じられる』調性の中に常にいられるということ。
 
 
移動ドの便利なところ
 
たとえば編曲していて、移調楽器、平気です。
だって、あたまの中はその調の移動ドなのだから。
あたりまえですが、ハ長調の音源をイ長調で耳コピして、って言われても平気です。
実際よくありますよ。歌の楽譜で、「1音下げて!」とか。
 
カラオケ行ってトロンボーン吹いて、キーを変えてもそれに合わせて吹いてみせたら感心されました(^_^;
演奏の現場でも…
「きょうは半音下げでやってください」なんてこともありましたね。
わりと行けます。
 
まあでも、こんなのは副次的なことですよね。
 
 
 
絶対音感でも
 
絶対音感の人って絶対的に音がわかるのだから相対音感も移動ドも要らないのかな、と思ってました。
でも合奏の中で演奏するには相対的な音感は必要だろうから、かえって大変なんじゃないかな、と…。
そういえば絶対音感の人で、「長三和音の第3音が低くて気持ち悪い」って言っていた人がいましたね。
それ、悲惨ですよね。
 
相対音感の人は、その調性の中で、前の音やまわりの音との関係から音を取っていると思うんです。
無意識にね。
でも絶対音感の人でも、そういう感覚ってやっぱり必要なんじゃないかな、とは思っていたんです。
なので『絶対音感の人も移動ドを』っていう今回のお話は、とても目から鱗で認識を新たにしました。
 
 
移動ドのススメ
 
移動ドを拒絶する人っていますよね。
なぜか絶対音感じゃない人にも多いです。
大学の頃、ソルフェージュの授業で移動ドで歌っていたの、ぼくの他には1人だけでした…
なぜなんでしょうね。
 
理由って、単に『ただ面倒だから』のような気がするのですよ。
でも移動ド人間から言わせたら、『たった7種類の読み方をおぼえるだけ』なんです!
たった7種類です。でも、それで得られるモノって、とても大きいのですよ!
 
さあ、あなたも移動ド、やってみませんか?