純正調のお話-応用編,その3- | フクロウのひとりごと

フクロウのひとりごと

愛知県在住のトロンボーン吹き、作編曲家、吹奏楽指導者。
おもに吹奏楽の活動に役立つ情報を発信中!
バンド指導をご希望の方はお気軽にご連絡ください。

たとえば,こんな曲があったとします。

譜例


まぁ,変な曲ですが,でもハーモニーは『ありがち』ですよね。
どう合わせますか…。調性は,ハ長調

1小節目は,いい。これまで書いてきたとおり。
2小節目の,Dm7というやつ,これ,クセモノです(´・ω・`)

マイナーセブンスというコードには,完全五度(四度)が2つある。
Dm7だったら,D音とA音,F音とC音。
完全五度って,ユニゾンやオクターブの次に,合わないと濁る

そしてこのDm7,その前のFコードとの間には,F,A,Cと,
共通音が3つもある!(゚o゚;;
というか,FのコードにD音が加わったと見ることもできる。
じゃあ,共通音はそのままに,根音のD音を純正に取ると…
A音は16セント低いんだから,その完全五度下で…
18セント低いD…(´・ω・`)

でも,その次のG7にもD音があります。これ,4セント高い(>_<)
F音もありますが…

じゃ,その4セント高いD音から純粋なDm7をつくると…
1小節目から2小節目に行くときに,ものすごい段差ができる!
バリアフリーに反します!(-_-)
主音のC音も動かなきゃならなくなる!
しかも,メロディにもA音が前からタイでつながっています。

さて,どうする!?


IIの和音(ハ長調で言ったらDm)が出てきたら,純正律は破綻なんです。
ためしにハーモニーディレクターをCの純正律に合わせて,
Dm,レ・ファ・ラの和音を鳴らしてみましょう。
ものすごい音です(>_<)


現実的には…
D音は普通に取って,それぞれの完全五度はちゃんと合わせる。
純正三度は捨てる。
と,1小節目から2小節目に入る瞬間,A音は動くことになりますね。

あるいはこの曲の場合なら…
このDm7を次のG7の付属物と捉えるならば,
(こういうのを『リレイテッドIIm7』… 準備されたIIといいます)
G7sus4 9th と見えなくもない…
と,取り方は決まってくるわけです。
その場合,やはりA音は動くことになりますね。


そして,メロディの各音を純正調にお付き合いさせるのかどうかも,
考えどころです。
オーケストレーションやテンポにもよりますね。


なかなかやっかいでしょ…(´・ω・`)

明日は,もう1曲だけ例題を解説してみたいと思います。