きょうは,じゃあ実際どうなってるの,ということを書いてみます。
昨日のおさらい…
長三和音は,純粋な響きになるように合わせると,
根音を基準にすると,各音のピッチは平均律に対して,
第5音は約2セント高くなる。
第3音は約14セント低くなる。
ひつこいですが,あくまで結果的に,ね。
短三和音は,純粋な響きになるように合わせると,
根音を基準にすると,各音のピッチは平均律に対して,
第5音は約2セント高くなる。
第3音は約16セント高くなる。
あくまで結果的に。
ただし,第5音の『2セント高く』,って…
2セントって,どれくらいだと思いますか?
半音の,50分の1。
周波数でいうと,たとえば,440HzのAと,440.5HzのA。
ほとんど無視できますよね。
なので実際には,『上げる』意識はなくてもOK。
とにかく聴いて,うなりがなくなるところ。
さて,じゃあ,いつでも根音が基準で他の音が上げたり下げたりするの?
ほんとうは,そうではありません。
たとえば,次の楽譜を見てください。
ちなみに,こういうのを4声体といいます。
各声部は上から,ソプラノ,アルト,テノール,バス。
1つめは,C→F→C(I→IV→I)
2つめは,C→G→C(I→V→I)おじぎの和音ですね(^^)
3つめは,C→Am→F(I→VI→IV)
これを,どう純正調で合わせるのか…
ハ長調なので,Cの長三和音はもちろん,
根音は動かないで第5音Gは2セント上がり第3音Eは14セント下がる。
じゃあ,Fの和音(IV)は…
根音のFを基準に,ではなくて…
いちばん上(ソプラノ)に鳴っているCが動かなくてもいいようにする。
なにしろ,ハ長調ですから。。
なので,根音Fが逆に2セント下がって,第3音Aは16セント下がる。
相対的にね。わかりますか。。
次に,2つめのC→G→C…
Gの和音(V)は,やっぱり根音Gが基準なのではなくて,
ヘ音記号の上(テノール)のGが動かなくてもいいようにする。
このG音は,すでに2セント高いんでしたね。
なので,この2セント高いGを根音として…
第5音のDは4セント上がって,第3音Hは12セント下がる。相対的に。
そして3つめの,C→Am→F…
もうわかりますね。Amの和音(VI)は,根音Aを基準に,ではなく,
やっぱりソプラノのC音が動かなくてもいいようにする。
そのC音を第3音とした短三和音をつくる。と…
根音Aは16セント下がって,第5音Eは14セント下がる。
あれっ,A音はFの和音の時の第3音Aとおんなじ高さに,
E音はCの和音の時の第3音Eとおんなじ高さになりますね。
Emの和音(III)も,書きませんでしたが,きれいに合わせられます。
これで音階の各音が出揃いました。ハ長調の場合,各音は平均律に対して,
C(0),D(+4),E(-14),F(-2),G(+2),A(-16),H(-12)
となります。あっ,あくまで,およその数字です。
これが,純正律。
いつも根音が基準で第5音や第3音が動く,とは全然限らないんです。
調性が大事なんですね。
ほんとうはそうなんですが,
でも実際の演奏の現場では,根音が基準でそれ以外が動く,
という傾向になっていることが多いと思います。
純正律もどき,になっているわけですね。
さて,ここまでは破綻なく,純粋な純正調がつくれました。
めでたしめでたし♪
では,明日から実際の曲でさらに具体例を見てみます。