『ジャンル』と『演奏形態』 | フクロウのひとりごと

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愛知県在住のトロンボーン吹き、作編曲家、吹奏楽指導者。
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昨日のブログで,吹奏楽はジャンルではなく演奏形態だと書きました。
そのことについて,少し書いてみます。


ジャンルという言い方が少し違うかもしれません。
音楽を何かの基準でグループ分けして,くくる,みたいな感じで,
考えてみたら変な言葉です。ジャンル。
クラシックとか,ジャズとか…
その中でまた,ロマン派だったりスウィングだったり…
そんなふうにくくり分けするのも,変な話です。

だから,スタイルっていう言い方のほうがいいかもしれませんね。
モーツァルトのスタイル,チャーリー・パーカーのスタイル…


さて,ではもういちど書き直してみると,
吹奏楽にスタイルがあるのではなく,そこで演奏する音楽にスタイルがある。


具体的に書きます。

たとえば,こんな楽譜があります。
4ビートのスウィングです。

4ビート


これ,通常,4分音符8分音符も,おんなじに短く吹きます。
符点4分音符は音価いっぱいに吹きます。
『・ダ・ダ・ダーダ・ダダ』
それが,4ビートのスタイルです。

4分音符にわざわざスタッカートを書いたりはしません。
そういうものなんです。
だいたい4ビートの譜面でスタッカートってほとんど見たことがありません。

ところが,たとえばシンフォニーオーケストラでこれをやると,
4分音符と8分音符の長さを変えて吹かれることがあります。
『・タ・ター・タータ・タター』
オーケストラではこう吹くもの,なのでしょうか?
いえいえ,そんなことはありませんよね。
オケでやろうがジャズバンドでやろうが吹奏楽でやろうが,
4ビートジャズは4ビートジャズですよね。

4分音符を音価分のばして吹かれるのは,語法を知らないからです。
4ビートの語法を。
でもそこで,「クラシック奏者の吹くジャズのほうが上品でいい」
なんて言う人がいたり…
そういうのを,悪貨が良貨を駆逐するといいます。
両方の畑に首を突っ込んだ人間としては,こういうの,気になるんですよ…(´・ω・`)


まぁこんなふうに,どんな音楽にもスタイルがありますよね。

この曲を,この音楽を,どんなふうに演奏しようか
ということが,ただあるだけなんだと思うんです。
そこに,オケもビッグバンドも吹奏楽もありません。
どんな形態で演奏しようとも,その音楽は,その音楽ですよね。
そんなふうに考えるのが,いいと思うのです。
吹奏楽だから,オケだから,ビッグバンドだから,じゃなくて。


スタイルと,演奏形態,混同しないようにしたいです。