水澄まし程よき距離を保ちけり
「方円」2022年9月号円象集掲載。
一般的に「みずすまし」と言えば水面に浮かぶ小さな甲虫を指すが、歳時記では「みづすまし」はアメンボの傍題とされている。少し前までは好んでこの傍題を使っていたが、誤解を招きやすいので、最近は「あめんぼう」と呼ぶようにしている。この句を詠んだのは、京都・精華町のけいはんな記念公園にある水景園。池の周りに公園や庭、人工的に作った田んぼなどが整備されていて、この時期になると、よくアメンボを見掛ける。少し動いては立ち止まり、不意に方向転換しては立ち止まる。この繰り返しが絵になる。一匹が動くと、隣の一匹もつられて動く。二匹は磁石のN極とN極のように、反発しあっていつも同じ距離を保ち続ける。その光景が面白くて詠んだ句。
去年まで車通勤だったが、色々あって、最近電車通勤になった。久しぶりに、満員電車というものに乗ったのだが、どうも苦手だ。そんな人も多いだろう。人にはそれぞれ、パーソナルスペースというものがあり、距離が近いと、テリトリーを侵されている気分になる。だからと言って、頑なに自分の陣地を守り続け、人と接しないというのも無理な話。社会生活を営んでいる以上は、自分から人に近づくという姿勢も、たまには大事だろう。
(絵はAIによる創作です)
↓コチラも併せてご覧ください♪↓
俳句を始めませんか?