※ネタバレあり。
『VIVAN』の熱演も記憶に新しい役所広司がカンヌ国際映画祭で主演男優賞を取った作品。
日本人が主演男優賞を取ったのは19年ぶりで柳楽優弥に次いで2人目だそうだ。
ヴィム・ヴェンダース監督も有名なんだけど、私は『パリ、テキサス』も『ベルリン天使の詩』も見たことがない。
あぁ、こんなことになるのなら見ておけばよかったなぁ…💦
私の好みではないかも?
と思って当初は見ない予定だったけど、やっぱり気になるので見ることにしました。
![](https://stat.ameba.jp/user_images/20240117/23/traveler666/2e/48/j/o0747105715390693397.jpg?caw=800)
平山(役所広司)は渋谷のトイレ清掃の仕事をしている。
住まいは浅草(押上?)。
明け方に起床し歯を磨いて髭を剃り植物に水をやり、ドアを開けて空を見上げる。
そしてアパートの前にある自販機でコーヒーを買い、車に乗ってカセットテープをかける。
仕事が終わったら銭湯へ行き、浅草の飲み屋で夕食。
そんなある日姪のニコ(中野有紗)が訪ねてくる。
この企画は当初、渋谷のトイレを紹介するための短編映像を作る予定だったそう。
だが、ヴィム・ヴェンダース監督は日本人特有の丁寧な仕事ぶりを見て長編を撮るべきと主張して映画になったという経緯がある。
全然知らなかったけどヴィム・ヴェンダース監督は小津安二郎監督を敬愛しており“平山”という名前も『東京物語』の主人公から取ったそうだ。
![](https://stat.ameba.jp/user_images/20240120/15/traveler666/cd/00/p/o0801060915391598721.png?caw=800)
ネットで感想を見ていると、
ミニマリストになりたい、とか
退職したらトイレの清掃員になろうかな、とか
幸せは平凡な日常の中にあるんだ、
とか。
それは間違っていないと思う。
間違ってないけど。
でも、ふとこれは復讐の話なんじゃないかと思ったんだよね。
平山のところに転がり込んだニコを引き取りに母親=平山の妹ケイコ(麻生祐未)がやって来る。
それがなんか運転手付きの高そ~な車に乗ってんのよ(^^;💦
で、ニコもちょっと反抗するけど意外とあっさり車に乗るんだよね~。
ニコって母親のグチ言ってて、平山の真似して本を読んだりトイレ掃除手伝ったり、平山の生活に馴染んでいたようだったけど、
まぁ、運転手付きの車なんてそうそう捨てられないよね。
つまり平山はそれを捨てて風呂なしの部屋に住んでいるわけで。
普通にサラリーマンをやる道だってあったはず。
でも、それではダメだったんだよね?
なんかYoutubeで厳格な母親に復讐した話を見たことがある。
報告者の母親は塾講師で学歴至上主義。
友人と遊ぶことも部活に参加することも許されず学業に専念したが第一志望の大学に受からなかった。
報告者は女の子を襲うフリしてそれを自ら録画、ネットに拡散。
その結果母親は仕事クビ。
報告者は喜々として日雇い労働に従事しているそうだ。
まぁ、平山が「父親への復讐のために清掃員やってます」というわけではないんだけど。
ケイコが「お父さん、もう認知症で昔のことは覚えていない」とか、
「もう昔みたいじゃないから」
とか訴えるんだけど最後に、
本当にトイレ掃除してるの?
と問いかける。
あぁ、そう、本当なんだよ、
と思わず言いたくなる。
平山が何も言わないから。
![](https://stat.ameba.jp/user_images/20240121/23/traveler666/1b/c6/j/o0864057615392212120.jpg?caw=800)
ただそうすると終盤唐突に出てくる三浦友和が本当に唐突すぎて…(^^;💦
ちょっと現実に引き戻されたカンジだった。
あと劇中ルー・リードの『Perfect Day』が流れるんだけど、
君は自分が蒔いたものを刈り取るだろう
という歌詞があるんだよね。
平山が正しい決断をしていたとしても何かを壊してここへ来たわけで、その始末はしなければならないということなんだろうか?
そして田中泯が浮浪者役で出ていたので楽しみにしていたけど、遠景で映るだけでちょっと残念💦
まぁ、平山目線で見ているからね。
田中泯の動きが木漏れ日を表現しているらしいのだけど、私にはよくわからなくて(^^;💦
でも、ヴェンダースは田中泯の短編映像を撮ったそうなので見てみたいなぁ。
あとかなり有名な人がチョイ役でわらわらと出てくるんだよね〜。
特に片桐はいりを電話の声だけで使うなんてめっちゃ贅沢じゃない!?
考察動画を見ていたらそえまつ映画館で、
自分は役所広司がカンヌで主演男優賞を取ったあとに見たけれど、まっさらな状態で見たとしたら役所広司に主演男優賞を与えただろうか?
と言っていた。
そう言われると確かにどのへんが評価されたのだろう?
もちろん役所広司は素晴らしいのだけど。
最後の泣き笑いの表情とかね。
ほとんどセリフのないまま結末もよくわからないまま無言の長尺に着地させるのはすごいと思うんだけどね。
富士山も桜も刀もない日本。
いや、それも好きだよ(^^;💦
だけどヴィム・ヴェンダースも小津安二郎も知らない自分にいろいろ言う資格はないかな。
しかし、『東京物語』ってほんわかした家族の話かと思ってたけど、こんなにシビアな話だったとは…。
昭和28年にもう家族は崩壊してたのか。
『Feeling Good』by Nina Simone。👇👇👇
そえまつ映画館。『PERFECT DAYS』👇👇👇
東京物語。Part 1。👇👇👇
東京物語。Part 2。👇👇👇