怪 物。 | 旅食遊。祈恋。

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※ネタバレあり。

※考察動画を20本くらい見てまとめました。

※本当に本当にめちゃめちゃ長いです。




これは全然見る気なくて、たまたま見ようと思っていた映画がほぼ満席で前のほうしか空いてなかったことがあって。


前で見ると気持ち悪くなるからなぁ…💦


それで一度マックに入って上映時間のチェック。

気になってたのは「ミーガン」と「岸辺露伴」

なんだけど、どちらも次の上映時間まで3時間あってさすがにそれは…(^^;💦

で、結局「怪物」見ちゃったんだよね〜。


予告編の「怪物だ~れだ?」と言うの聞いて、はいはい、怪物探ししてほしいのね?

そーゆーのはいいから。


…ってカンジだったんだけどね。


是枝×坂元だから浅い映画とは思ってないけど、予想をはるかに越えたIQの高さに苦戦しました(^^;💦




クリーニング店で働きながら一人息子湊(黒川想矢)を育てている早織(安藤サクラ)。

最近湊の様子がおかしい。
急に髪を切ったり耳から血を流していたり、靴が片方失くなっていたり、水筒から泥が出てきたり。

いじめに遭っているのでは?と問い詰めると湊は「保利先生(永山瑛太)に殴られた」と答える。

早織は学校に乗り込んで釈明を求めるが、保利は現れず一斉に頭を下げられるだけ。
やっと現れた保利は反省している様子はなく逆に「息子さんは星川依里(柊木陽太)をいじめている。刃物を持ち歩いていないか?」
と言われてしまう。

後日湊の部屋からガスライターを見つけて不安になった早織は依里(柊木陽太)を訪ねる。
依里は湊とは友達と言ったので安心するが、依里の腕にアザを見つけて依里がいじめられていると確信。

依里が「保利先生が暴力をしている」と言ったので事件は週刊誌にも取り上げられついに保利は学校を辞職することになるが…。




◆湊の母  早織◆

何の予備知識もないまま見たので最初はイジメの話かと思って。
でも、安藤サクラの視点から永山瑛太の視点になり最後は湊と依里の視点に。

これは羅生門スタイルと呼ばれるそうで、言わずと知れた黒沢明監督の『羅生門』からきている。
ただ『羅生門』は3人の主張が食い違い何が真実かわからないままモヤモヤして終わるんだけど、湊と依里の話には真実が入っている。

(ただし、すべてを語ってはいない)


息子が担任教師に殴れたと聞いて学校に乗り込んでいく安藤サクラの演技が素晴らしく、そーだよね、そーなるよね?
…と思うんだけど後に湊がイジメに遭っていた、ということが嘘だとわかる。
でも、頭に血が上っている人ってホントこんな感じ。


余談だけど、前に私が勤めていた店でカード払いしたBBAが
「私はカードなんか使ったことがない!  不正請求だ!」
と忙しい時間に乗り込んできたことがあって、まわりの客のいかにこの店がひどいかといい文句を言いまくっていたことがあった。
本社からコピーを送ってもらったら確かにBBAのサインが書いてあったのでBBAはすごすごと帰って行ったけど。

この映画でと教師たちイイ大人がひたすら頭を下げててムカつくと思うけど、サービス業の私からすると正しい対応だなと思う。
頭に血が上っている人間に何を言ってもムダ。
冷静な判断ができないんで。


ここ何で長々と書いたかと言うと、学校側の胸糞な対応について突っ込む必要はないのにたま〜に、
「アレ最悪だよね〜」
って言ってる考察があったから。





◆担任  保利

最初のシーンの保利先生が本当にクズでムカつくんだけど、保利目線で見るとめちゃめちゃイイ人なんだとわかる。  

保利目線になると全然顔つきが違う!
別人か?ってくらい変わるんだよね。
永山瑛太ってこんなにすごい演技力あったんだ!?と驚いたりして。

ただイイヒトなんだけどちょっと無神経なんだよね。
のちに湊と依里の関係を知ればわかるけど、
「男なんだからガンバレ!」
とか、湊にはグサッとくる言葉。


その傾向は早織にもあって、
「お父さんのような強い人になって」
「結婚して家庭を持って欲しい」
とか、自分にはできないことを無意識に強要されて苦しむことになる。




◆依里の父親◆

でもまぁ、早織とか保利はわからなくもないよ?

依里の父親(中村獅童)はちょっと理解に苦しむなぁ。
いきなり自分の息子のことを
「あいつは怪物だ。豚の脳みそが入っている」
とか言うから???ってカンジだよね。

息子が同性愛者であることを”病気"として認識し、暴力で矯正しようとしてることがだんだんわかってくるんだけど視聴者としては全く理解できない。

こんなことってある!?

ただ『昨日何食べた?』を観た時に主婦友みたいな人がいて、「うちの親も○○さんみたいに自然に接してくれたらいいのに」と言うと、
他人だからこういう風にできる。
自分の子供がゲイだったら冷静ではいられない。
と言ってたな。

つまり冷静ではない姿が中村獅童なのか?

DVに共感できるところは一つもないが、獅童は是枝作品への参加を熱望していたらしく監督に直談判しに行ったそうだ。
直訴しに行くだけのことはあって演技は素晴らしく、少ししか出番はないのに存在感はものすごい。




◆フランケンシュタインと是枝監督◆

そもそも”豚の脳みそ"って何なの?

ちょっと唐突すぎるパワーワードなんだけど、これを理解するには是枝監督の大好きな『フランケンシュタイン』から始めなければならない。

フランケンシュタインに出てくる怪物は意図的ではないが犯罪者の脳みそが使われているらしい。
依里が同性愛者=怪物と認識している父は、息子の脳には得体の知れないものが入っていると思っていたのかもしれない。

また映画『フランケンシュタイン』の監督ジェームズ・ホエールは自分がゲイであることを公言していたそうだ。
自分を怪物と重ねていたのかも…という考察もあった。




◆校長◆

早織が学校に乗り込んで行った時、サクッと外出してしまった校長(田中裕子)。
「校長は最近お孫さんを亡くされまして…」
と言われ校長の机を見ると孫の写真がある。
それはもちろん早織を牽制するために置いたものだ。

何故孫が亡くなったかというと校長の夫が誤って車で轢いてしまったから。

だが、実は孫を轢いたのは校長自身では?という噂がチラホラあって、考察でもおそらくそうだろうと言われている。

というのは湊が「ボク、嘘をついていました」と打ち明けた時に校長が「私も」と言っているからだ。
おそらく校長という立場を守るために夫が罪を肩代わりしたのだろう。

冒頭の機械的な対応からして田中裕子の演技力すごいな、と思ったけど某評論家の動画で
「田中裕子はやり過ぎだよね〜www」
という意見があった。

プロから見るとそうなのかな💦? 
私はすごいと思うけど。

そしたらほかの動画で
是枝監督は樹木希林を求めすぎ
と言ってる人がいて、なるほど〜と笑ってしまった。




◆木田美青 (飯田晴音)◆

湊と依里のクラスメート。
いつも漫画読んでるな、と思ったけど実はBLだそう。

小学生が学校でBL読むんかい(^^;💦
という突っ込みを入れつつ、『本人は同性愛に理解があるつもり』というキャラである。

例えば音楽室にシンバルを片付けに行く時、湊と依里を二人きりにしてあげるとか。
でも、そのあとこっそり二人を覗いているような描写があって、ちょっと楽しんでる感もある。

本編ではカットされたそうだが、泣きながらBL読んでると思ったら、
「この人たち愛し合ってるのに4んじゃうんだよ!」
と無神経なことを言ったり、
「(同性愛者だと言うことを)みんなに言いなよ。私は応援してるよ」
とカミング・アウトを強要するシーンがあったり結構アグレッシブなキャラだったよう。

これは大人なら完全にアウトだから採用されなかったのか?
なので、猫がどーのというふわっとしたカンジに仕上がっているけれども。




◆銀河鉄道の夜◆

是枝監督と言えばフランケンシュタインと並んで『銀河鉄道の夜』だそう。

確かに湊と依里が廃列車の中で遊んでいたり、依里がイジメに遭っているという設定がジョバンニとカンパネルラを彷彿とさせる。

ただ『銀河鉄道の夜』を踏襲すると助かったのはジョバンニのみ。
最後に走っていく二人とは違う気がする。

ただラストシーンで二人は死んでいる、という考察が多い。
確かにあの嵐から急に晴れるのは違和感あるし、画面を見てても不自然なくらいの晴天である。

あるいは二人が亡くなったのではなく世界が変わったのだとする見方もあった。
というのも二人の
「生まれ変わったのかな?」
「変わってないよ」
というセリフがあるからだ。

そして現実では二人を阻んでいた柵がラストではなくなっている。

また自分は気がつかなかったけど、いつも長袖長ズボンを着ている依里がラストシーンでは半袖半ズボンを着ているので、今までいた世界とは違うという意見も根強い。

まぁ、二人がどうなったかというのは明言されていないので、それぞれ自由に考えてよいみたいだけど、それはレベルの高い人のやることで凡人の私はモヤモヤするけどね。




このシナリオは坂元裕二の体験がもとになっていて、
ある日信号が青になっているのに前のトラックが動かないのでクラクションを鳴らしたら、車椅子の人が横断するのが見えたという。

知らないうちに自分が加害者になっているかもしれない、と思いを強く持ったそう。


予告編とかで怪物探しをするようにミスリードしているが、映画の中に怪物はいない。
強いて言えば役者陣の演技がすごすぎてそれが怪物と言えば怪物(笑)



あと動画の中でLGBTを公言している人がいて、湊が「自分の脳は豚の脳みそなんだ」と母親に言うシーンがあるがあれは自分がLGBTであることを母親に告白しようとしたのだろう、と確信していた。

今ならゲイとか同性愛者とかLGBTとか言語化できるんだけど、子供の時はそれが言語化できなかったそうだ。

その自分でさえ言葉にできなかったことをあんなに明確に描けることが非常に素晴らしい、と評価している。

私、坂元裕二って名前だけは知ってるけどドラマ見たことないかもしれないんだよね。
こんな高度な作品で出会うよりもっと前にいろいろ見て勉強すべきだったかも?


知能指数高めの映画なのでIQ高い人にオススメです。




 『怪物』予告編。👇👇👇