あん。<樹木希林主演作品> | 旅食遊。祈恋。

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※ネタバレ満載。長いです。



樹木希林が亡くなって、出演番組が再放送されていたんだけど、その中に市原悦子と出演していたものがあった。

かつて“あん”と言う映画で共演していたと言う。

それは見たい!
もうDVDは出ているのかな?
と思ったら、ちょうど樹木希林の映画を追悼上映している映画館があった。

行こう!

しかし、朝9:35から上映?
起きれるかな(^^;

頑張って早起きしました。





千太郎(永瀬正敏)は線路のそばで小さなどら焼きの店「どら春」の店長をしている。

ある日店に一人の老婆(樹木希林)が訪ねてきた。


「ここのどら焼き、皮はまぁまぁだけど“あん”がねぇ…」


そして、バイト募集に年齢制限がないなら働きたいと言い出す。

千太郎は時給600円なんで、と断るが、300円でも200円でもいいと食い下がってくる。
それでも断ると、翌日彼女は自分の作ったあんをタッパに入れて持ってきた。

千太郎は捨ててしまうが、後で拾い上げて食べてみると絶品。



老婆が再び店を訪れたのは桜が散って葉桜になった頃。

是非うちで働いてほしい、と言う千太郎に彼女は自分の名前と住所を書く。



吉井徳江。



翌日からあんを作る作業が始まった。

それは夜明け前から始まる。
前日から水にさらした小豆を火にかけては濁った水を捨て、また火にかける。
湯気の香りが変わってきたら、小豆の皮が破れないようにアクを流したあと蜜入れに更に2時間。

ようやくあんが炊き上がったのは開店の11時だった。


徳江の炊いたあんは好評で行列ができるほどの人気店に。

だが、ある日オーナー(浅田美代子)がやって来て、徳江はハンセン病の療養所に住んでいると聞いた。
今すぐ辞めさせるように言う。

だが、千太郎はそれを言い出せなかった。
そして、寒くなって来た頃、客足はぱったり途絶えてしまう。

早い時間に徳江を上がらせた翌日から、徳江は来なくなった。




そんなある日、徳江からの手紙が届く。
店によく来ている高校生ワカナ(内田伽羅)は徳江に会いに行こうと提案する。



ハンセン病(らい病)のため14歳の時に施設に入り、完治したにも関わらずその見た目により差別を受ける。

ワカナが施設に来た時、


「ハンセン病って鼻がもげたりするんですよね? ここから先はそういう人がいるんですよね?」


と言うシーンがある。

この台詞とか、オーナーの意見とかが世間の見方なんだろうな、と思う。



兄に連れられてこの施設に来たが、

「おまえはらい病だと思う。もしそうだったら、俺はおまえをここに置いてゆかなければならない」

と言われた。


母は白いメリヤスの美しいブラウスを縫ってくれたが、施設に入る時にすべて取り上げられてしまった。


子供を授かったが生むことは許されなかった。




病を恨むわけでもなく。


家族を恨むわけでもなく。


世間を恨むわけでもなく。




市原悦子の共演と聞いたので、いつ出てくるのかと思ったが、最後のほうにやっと登場。

同じく施設に入っている徳江の友人佳子という役どころ。
病で曲がった指を堂々と掲げ、貴婦人のように凛とした姿で登場する。

後日千太郎とワカナが施設を訪れた時、徳江は3日前に亡くなったと告げるのも佳子。


「私たちは墓を建てることが許されていないの。その代わりに木を植えるのよ」


みんなで相談して徳江の好きだった桜の木を植えたと言う。



施設にはたくさんの木があって、外界とは隔絶された感じがしたが、単に自然豊かと言うことではないんだ。
亡くなった人たちが残された人を更に隔絶していくんだ。



その頃オーナーからダメダメな甥のために店を改装してお好み焼きとどら焼きの店にすると言われていた千太郎。
ゆくゆくはその甥が社長になると言う。

だが映画のラスト、満開の桜の下、テーブルひとつ出してどら焼きを売る千太郎の姿があった。



桜は死をイメージする花だ



河瀬監督の言葉であるけれど、ラストシーンの千太郎を見ているとそんな感じはしない。

むしろ再生?




ねぇ、店長さん
わたしたちはこの世を見るために、聞くために
生まれてきた。
だとすれば、何かになれなくてもわたしたちは
わたしたちには
生きる意味があるのよ。