インドではなぜ350ccと500ccが人気なのか?実はあのメーカーが起源でした。 | 輸入パーツ専門「Traumauto」

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ハーレーダビッドソンから、(アエルマッキハーレーを数に入れなければ)初の普通二輪免許クラスである「X350」が発売され、(最近、新ネタに必死なハーレー業界では)常々話題になっていますね。

 

X500モーターサイクル | Harley-Davidson JP

排ガス規制による制約の上、主力のビッグツインモデルのマンネリ化や、ハーレー自体のブームの下火も受けて、水冷モデルを出してみたり、BMWの好調を見てアドベンチャーモデルを出してみたりと、あの手この手の多い最近のハーレーダビッドソン。

 

新型のX350はエンジンがベネリと同じ中国だとか、日本向けはタイだからまだ良いとか、結局のところ、アメリカであることに意味があるのに、バッジ以外全然アメリカじゃないという話題で盛り上がっていますが、以前に発売されたXG750も北米市場向け以外はインドの子会社で生産していたので、このツッコミには今更感があります。そのあたりはBMW、KTMあたりも一緒なので、今の時代、そこを批判するのはどうなんでしょう。

 

 

 

さて、このモデル。その名の通り「X500」と「X350」の2種類の排気量展開となっているようです。

 

 

500ccと350cc

 

 

 

この排気量、最近よく耳にしますよね。

 

 

この2つの排気量は主にインドや中国で主力の排気量となっています。つまり、そこが主要顧客ということですね。この2国はもはや、日本や欧州、米国などをアウトオブ眼中にしてもいいほどのバイク販売数を誇りますから、その市場を主眼に置くのは当然と言えます。

 

 

日本の免許制度からすれば、500ccは大型二輪免許で乗るにしては勿体ない気がしますし、350ccも車検が必要なクセに微妙な排気量です。グース?RZ?あれは変わった人が乗るバイクなので問題ありません。

 

 

ところで、なぜインドではこの排気量なのか。

 

 

 

 

 

理由は、イギリス、及び、インド特有の事情にあります。

 

 

 

時は1920年代。

 

バイクはまだ自転車にエンジンを付けたような瘦せ型から、ようやくバイクらしい体格を手に入れようとしていた時代。

 

当時は、現在のように各メーカーで排気量の足並みが揃っておらず、170や300、600や1000など様々な排気量が存在しました。それが徐々に500cc、少し遅れて、350ccや250ccという排気量が欧米(特にイギリス/ドイツ)でスタンダードとなっていき、その状態が続くことになります。これは1949年に発足したFIM世界選手権(現MotoGP)の排気量が125cc/250cc/350cc/500ccだったことからも伺い知ることができます。

 

 

さて、ではなぜインドでは350ccと500ccが受け入れられているのか。

 

 

 

 

これはあるメーカーが深く関係しています。

 

 

 

インドで初期にこのクラスを導入したメーカーといえば、、

 

 

 

そう、RoyalEnfield ですね。

 

1940年代からインド陸軍向けのBullet350を生産するために現地に設立した工場が、1956年に独立する形で「Enfield India Ltd」として発足し、本国のRoyalEnfieldからライセンスを受けて、独自にBulletの350ccと500ccモデルの生産に乗り出します。


 

(このEnfield Indiaが現在に続くRoyalEnfieldとなります。英国のRoyalEnfieldは経営不振のため、1970年に閉鎖されました。一方のEnfield Indiaも、日本を含む他メーカーの参入により、同社モデルの燃費の悪さが露呈してしまい、ランニングコストを重視するインド国民から見限られた結果、1990年代に危機を迎えますが、同国の自動車会社「アイヒャーモーターズ」の買収により難を逃れます。これによりRoyalEnfieldブランドは現存する世界最古のバイクブランドとなっていきます。)

 

このEnfield IndiaのBullet350/500は、その信頼性の高さとデザインにより、当時のインドで圧倒的な支持を集め、以後、インド国内でのスタンダードとなっていきます。これが現在のインドにおける350cc/500ccの文化の誕生です。

 

日本のように路面が丁寧に舗装されていない上に、バイクを趣味嗜好ではなく移動手段として捉える傾向の強いインドでは、手に余り、燃費の悪いハイパワーなバイクは求められず、さらに500ccを超えるバイクは税制面で不利な上、輸入バイクは現在、高い関税が掛けられるため、需要が国内生産車に偏りがちになります。さらに都市部から山道まで様々な道に対応する必要があるため、小回りは利かせたいけど、小排気量すぎても使いづらい。

 

取り回しの良さと適度なパワー、そしてランニングコストの優秀さ。それが350ccや500ccが選ばれる理由です。

 

また、インドは保護主義的な性格が強いため、新しい排気量、新しいモデルが人気になりにくいというのも一因かも知れません。

 

中国でも同様に税制、及び、法規制上の問題で500cc以下のモデルが好まれますが、こちらは経済発展に伴う変化が著しく、近年では趣味性の高い大型モデルも人気を博しています。

 

 

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