普段、グラウンド、農地、ゴルフ場などが広がっている河川敷。ひとたび大水が出れば、川底と化してまう河川敷。この「河川敷」の読み方は、濁りのない「かせんしき」ではないでしょうか。いつ習ったかは記憶にないのですが、そのように覚えています〔し、じ=識別を明確にするため色分けしました〕。
ところが、近年、「かせんじき」という読み方を耳にすることが増えたような気がしています。「かせんしき」か、「かせんじき」か、どちらなのでしょう。遅蒔きながら、手許の国語辞典を開いてみました。
その結果、濁りのある「かせんじき」という読み方も併記されていますが、下記のように、基本の読み方は「かせんしき」になっていました。「かせんじき」という見出し語の掲載はなし、です。
『広辞苑』『デジタル大辞泉』『明鏡国語辞典』『新明解国語辞典』の見出し語は、「かせんしき【河川敷】」です。
ただし、『広辞苑』『明鏡国語辞典』『新明解国語辞典』においては語義説明の末尾に、「かせんじき」とも言うということが記述されています。『デジタル大辞泉』には、上記のような説明はありません。つまり、「河川敷」の読み方は、「かせんしき」のみです。
『言葉の作法辞典』も、「かせんしき」が基本です。そして「かせんじき」という読み方についての説明もなされています。以下に引用のとおりです。
〔以下、国語辞典を引用させて頂きました。字義説明末尾の下線は引用者です。〕
『言葉の作法辞典』(2003、学研)
【河川敷のゴルフ場】〔下線は辞典通り〕
〇 かせんしき
△ かせんじき
「河川敷」は、法律(河川法)によってその河川の敷地として定められた土地。堤防や川原も含む。法律用語では「かせんしき」と濁らずに読むが、ゴルフ場などができて一般にも用いられることが多くなり、「かせんじき」と読まれることも多い。
上掲引用によれば、法律用語は「かせんしき」とのことです。しかし一般的には、やっぱり、「かせんじき」が増えつつあるのでしょうか。
因みに、「かせんしき」から「かせんじき」への変化は、国文法における連濁への変化です。連濁の例は、「板敷(いたじき)」「桟敷(さじき)」「下敷(したじき)」などの類です。連濁になっていないのは、「鍋敷き(なべしき)」「風呂敷(ふろしき)」「屋敷(やしき)」などの類です。
『広辞苑』第七版
れんだく【連濁】
2語が複合して1語をつくるとき、下に来る語の初めの清
音が濁音に変わること。「みかづき(三日月)」の「づ
き」、「じびき(地引)」の「びき」の類。
コ リ ウ ス
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国営武蔵丘陵森林公園
2024/7/24(水)
=その2=
◎コリウス【Coleus(ラテン)】(シソ科)。雷雨に襲われる直前、すでに人影のない「こもれび花畑」です。曇って来たので木洩れ日による陰影がなくなり撮り易かったのでしたが、何しろ、雷鳴に急き立てられました。
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「世界がぜんたい幸福にならないうちは個人の幸福はあり得ない 宮沢賢治」
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