「すいている」と「あいている」 |  ときしらずのブログ◎迂闊な話         

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本日朝、某ラジオで、男性アナウンサーが読んだニュースのことです。新型コロナに関する非常事態宣言は解除されないものの、16日から、営業時間についての要請が午後10時までに緩和された某都市の飲食店の様子を伝えました。16日は朝から雨で、人通りはまばら、店は午後10時まで延長する予定だったが、訪れる客が少なく、午後8時半で店じまいを始めたそうです。店長は、「周りの店も明かりがついてきたことには安心したが、賑わいには程遠い」と語り、50代の常連客の男性は、「こんなにいているのは初めてです」と話していたそうです。

 

「こんなにいているのは初めてです」と聞いたとき、「いている」とは何のことかと私は思いました。常連の客が語ったのは、周りの店も「いている」ことについてだろうか、などと思いました。しかしすぐに、「こんなにいている」の誤読ではないかと推測しました。常連客は、店内の様子を語っていたのであり、ニュース原稿には次のように書かれていたのではないだろうか。…

こんなに空いているのは初めてです。

「空く」と書いて、「すく」「あく」などと読みます。

「あく」は、「空く」のほか、「開く」「明く」などと書きます。

 

多分、ニュース原稿は初見だろうから、まさかと思われるような誤読もあるだろう、…などと思った朝でした。

 

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以下は、『明鏡国語辞典』第二版より抜粋させて頂きました 〔用例中の、見出し語を表す記号( ー )は、文字に変えさせていただきました。=引用者〕。

すく【空く】

〔自五〕

空間を満たしていた人や物がへって、すき間ができる。

「日曜日の早朝は道が空いている」 「電車が空いている」 「映画館はがらがらに空いていた」

⇔込む

「空く」は、「あく」とも読みますが、辞典によれば、「店があいている」の場合は、「店が開いている」と書くようです。

あく【開く・空く・明く】

〔自五〕

【開】〔入り口の戸を開けて始めることから〕商店などの業務が始まる。また、その業務が行われる。ひらく。

「この店は九時に開く」 「駅前の書店は夜十一時まで開いている」

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路傍の五月、です。