そして最後に・・・
やはりこの男に触れないわけにはいきません
彼は知らない人が結構いると思うんですけど実はTRASHのプロ選手第1号なんです。
イコール、僕の最初の弟子になるんです。
4年前・・・うちで必死に練習してました。
その時はTRASHの、いや、僕の練習についてこれず辞めてしまいました。
彼はそれから相当僕の事を恨んでたようです。
正に目の敵にしてきたとまわりから聞きます。
大嫌いだったと今でもよく言います。
そんな彼がなぜ帰ってきたか?
それは今年の3月のアマチュア戦でうちの軽量級最強の男"ムロ"のセコンドに付かせてくれと寺西がNEXT LEVELにやってきた事が始まりでした。
その時ちょうど僕も5月から始まるチャンピオン決定のトーナメントでキックボクシングエリートで4冠王の佐藤選手との1戦が決まっててミット持って欲しかったのがあって軽い気持ちで「練習相手になってや~」と声をかけたんです。
ま、彼も僕には恨みがあったので気持ちよく"了解"とはならなかったでしょう。
ただその彼が3日後・・・
突然ジムに来たんです!
え?何で?
率直な感想はそれでした。
彼が来た理由は1つ。
僕のミットを持つ為でもなく僕の練習相手をする為でもなく・・・
子供達の熱い試合に胸を打たれ子供達の練習を見たかったからなんです。
どうしても子供達に関わりたい、練習見てあげたい、そんな気持ちでTRASHに帰ってきたんです。
そのついでに僕もミットを持って貰うようになりました。
最初はお世辞にも上手いミット持ちではありませんでした。
正直打ちにくかったです(笑)
でもアイツはそこからは毎日毎日YouTubeや色んなものを見てミット持ちを勉強して僕に試すようになったんです。
もう僕はその辺りで決めました
「コイツのやらす事が正しかろうが正しくなかろうが、俺が使う技だろうが使わない技だろうが一切の迷いを捨てて打ち抜こう」
寺西の言う事に絶対NOは言わないと決めました。
そこからの寺西の僕に対するミットは正直酷かったです。
そりゃそうです。
寺西からしたら憎い憎い大嫌いな男が目の前にいるのですから。
ミットでも本気で僕を殴ってきてましたしミットの内容もただただ僕を苦しめるだけのものでした。
でも僕は絶対NOは言わないと決めていたので一切文句言わずやってました。
毎日毎日・・・
毎日毎日・・・
喧嘩の様なミットは続きました。
本当にいつも口の中が血まみれでした。
僕が倒れる度に彼は喜んでました。
それでも僕は打ち続けました。
そして5月・・・
キックボクシングエリートである佐藤選手に勝つ事が出来ました。
その辺からかな?
僕と寺西のミットは徐々に変わってきました。
僕に対する憎しみのミットから僕を勝たせたい、チャンピオンにしたいっていう愛情のミットに変わってきました。
愛情って言うとちょっと気持ち悪いけど(笑)
でも愛を感じるミットになりました。
だからと言って内容がゆるくなったり楽になったりする訳ではありません。
相変わらずたくさん蹴らされるしず~っと一緒の技打たされるし罵声浴びせられるし・・・
キツいミットに変わりはありませんでした。
でも僕は知っていたんです。
エリートの佐藤選手に勝った時も普段の練習でも明らかに今までの自分にない技が出てると。
コイツのミットを信じ続けて打ち続ければ強くなれると・・・
だから打ち続けました。
そして寺西もミット持ちを本当によく勉強し続けてくれました。
もう夏あたりからは正に二人三脚でした。
まわり会員さんからカップル?と言われる位のコンビになってました。
何を打たすか、何を打ってくるかが何も言わなくても分かるくらいになってました。
阿吽の呼吸とはこの事を言うんじゃないかって位でした。
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僕達は決めてました。
タイトルマッチまでは一緒にやろうと。
タイトルマッチを最後にコンビ解散!
決して彼が辞めるとかジムからいなくなるとかではなくもう二度と出来ないほど、それほど寺西も僕も毎回毎日命を削ってやってきました。
だからあと1戦・・・
出来てあと1戦・・・
2人の限界までやろうと決めてました。
そしてその最後の1戦が今回のタイトルマッチでした。
だから僕も寺西もこの1戦にかける思いは本当に強かった。。
憎しみ、怒り、嫌悪感、愛情、感謝、全てをぶつけ合った8ヵ月でした。
この写真が寺西と僕の8ヵ月のいや4年間の全てです。
寺西を信じ疑わず打ち続けた僕
僕を信じ疑わずミット持ち続けてくれた寺西
その寺西にベルトを渡せた1枚
全て許せた
全て・・・
コイツがいなかったら絶対ベルト巻けなかった。
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いつかコイツがLINEで送ってきた
今は大輔さんが大好きです
と・・・
その返答してなかったな・・・
お前がいなかったら絶対チャンピオンになれなかった
お前は俺にとって日本一のトレーナーだよ
ありがとな
そして俺も
大好きだよ。