無人の家で発見されなかった手記 -14ページ目

無人の家で発見されなかった手記

──ある素人小説家の陳述

 ひとまずここまでで、本格ミステリの創作についてはひと区切り──と思いきや、実はもう一作、このあとに書いたものがありました。
 それが、以前ちょっと書いた、クトゥルー神話+本格ミステリという試みなのですが、そのエピソードについてはまたあとにするとして(本当にするのかな?)、ここいらでまた、昆虫ミステリの連載に入りたいと思います。
 前回が好評だったのか不評だったのか、まったくもって不明ですが(笑)。
 それと、やはりブログ上だと読みづらい気もしますので、ある程度まとまったら、「小説家になろう」にでもアップしましょうかね。別に、なろう、とは思ってないのですが。

 昆虫ミステリの最初の作品「彼女のためにできること」を書き上げた直後に、2作目の「蝶密室」という話を書きました。超密室じゃないですよ。蝶密室です。
 前作が2001年6月で、今作が7月、次作が8月、その次が10月、そして11月と、ほぼ一ヶ月に1作のペースで書いてますねこの時期。よほど書きたいことがあったのでしょうか。

 そんな、情熱だけはあった当時の僕が書いた2作目のミステリ、次から連載開始です。

 たぶん。

 

 

 

 

 さて、広く世に出ることとなった僕の「くるまれて」ですが、こうなってくると気になるのは、世間の評判です。
 ネットでエゴサしていたら、ここでひとつ、面白い傾向が見えてきたので、書いておきますね。

 良い評価もあれば、悪い評価もありました。自分でもこの作品の短所は判っているつもりで、新たな欠点や修正案の発見につながる批評は見つけることができませんでした。
 それはともかく、良い評価をされる方は、ミステリ以外の小説を(あるいはミステリも含めて)手広く読んでいる。
 悪い評価をされる方は、ミステリファン(というかマニア)。
 といった傾向が散見されました。

 ミステリファンの方は、本格推理と銘打たれている以上、奇想天外なトリックであったり、巧緻なパズラーであったりといったものでないと、満足できないのかなと思いました。
 一方で、手広く読んでいる方や、ミステリであることにこだわりのない方は、純粋にエンタメとして楽しんでくださっているように感じます。ミステリの手法を取り入れた文学として。

 僕が思ったのは、ミステリに限らず、ひとつのジャンルに固執するのは良し悪しだなということでした。当たり前のことかもしれませんけどね。
 自分の好きなジャンルを極めるのも、素晴らしいことではありますよ。
 ただ、作品を批評するにも創作するにも、それ以外のジャンルに同じぐらい触れておいたほうがいいでしょうね。

 そのほうが、自分自身がより楽しめるはずです。

 

 

 

 最後に書いた昆虫ミステリ「くるまれて」『新・本格推理』へ応募してみました。
 結果は──。


 

 採用されました。
 かくして、僕の活字デビューと相成ったわけであります。

 印税は、ウォーハンマーのミニチュアに化けました。

 それはさておき。

 まあ、控えめに言って、嬉しかったですね。
 今までコツコツ書き続けていた経験も無駄ではなかった、臨時収入が得られてミニチュアを買えた、という喜びで、かなりテンションを上げて組み立てと塗装をしましたね。

 それはさておき。

 作品が採用されると、作者のコメントとか、好きな作家や作品についても掲載されちゃいます。厭ですねえ(笑)。書きましたけど。もし本書をお持ちの方は、決して作者コメントは読まないでください。目が腐りますよ!
 今読み返すと、本当に僕が書いたのかと疑ってしまいますが。



 とりあえず、この作品が採用されたことで、判ったことがひとつありました。
 それは、70枚の短篇が活字化されるためには、それまでに4,500枚ぐらいは書いて捨てる必要がある、ということ。
 これが凡人というものです。

 

 

 

 最後に書いた昆虫ミステリ小説は、「くるまれて」という地味なタイトルで、62枚の短篇でした。
 シリーズものとして短篇をずらっと並べた場合、幕間的な配置によさそうなエピソードを書こうと思い、そもそも考え出したアイデアだったような気がします。
 ようは、肩の力を抜いていたわけですね。
 長篇は駄目な結果に終わったし。
 そして結果的に、それがよかったのかもしれません。

 自分の作品の良し悪しというのは、なかなか自分では判りにくいところがありまして、自己評価が高い作品は、大抵ウケが悪いですね。
 逆に、自分ではさほど特別視していなかった作品のほうが比較的高い評価をいただける、ということが多くありました。
 世に出た作品では、800字クトゥルー神話小説の「手乗りクトゥルー」(優秀賞受賞)や、800字みちのく怪談の「吹き流し」(佳作入選)が、割とそんな感じです。
 例外的に、800字吸血鬼掌篇のコンテストで東雅夫さんの10選に入れていただいた「ただいま」という話は、唯一、自己評価が高い&他の方に認めてもらえた作品だったかもしれません。

 まあ、このあたりの裏話は、またそのうち機会があれば。

 肝心の「くるまれて」ですが、自己評価は決して高いほうではありませんでした。しかし、そこそこ綺麗にまとまっているかな、ぐらいには思っており、駄作というわけでもないかなとは考えていました。
 また、複数の知人から高い評価をいただいたこともあり、もしかしたら、送ってみるといいことあるかも? という気にさせられたのです。
 そこで若干の加筆修正をおこない(最終的に70枚になりました)、『新・本格推理』へ応募してみましたが──。

 

 

 

 133枚から100枚に削った、ノンシリーズ版の「幽霊屋敷の渦巻」を、『新・本格推理』へ応募してみた話。

 結果としては、下読み通過後に二階堂黎人さんのところで落選、でした。
 一応、最終選考という段階ではあるため、『新・本格推理06』の巻末で紹介される運びとなり、二階堂さんから以下のコメントをいただくことができました。
 一部、文字を伏せております。将来的に作品をWEB公開するかもしれませんので、ネタバレ防止のために。




 このシリーズの洗礼を受けましたね(笑)。
 ボツ作品については、容赦なくネタバレで批評を書く、というのが二階堂さんのポリシーみたいです。
 具体的なアドバイスをする以上、そしてそれが本格ミステリという性質上、トリックへの言及は避けて通れない、ということなのでしょう。
 それと同時に、こんなゴミみたいな作品にいつまでも執着せず、さっさと次を書け! という激励の意味も込められていたのではないか、と想像しております。

 巻末に作品が掲載されると、光文社さんから一冊、献本いただけます。買わなくて済んだぜラッキー、ぐらいに思ってましたね。
 ただ、下読み通過が可能なレベルであるなら、もうワンチャンあるんじゃね? と思って、もう一作、送ってみることにしました。


 それが、最後に書いた昆虫ミステリ小説でした。