ある方が、
病気になったことで、

ずっと自分を責めていたそうです。



でも私は、

その話を聞きながら思いました。



病気になったから、

自分を責めるようになったのではなくて、



もしかしたら、
病気になる前からずっと、
自分で自分を虐げていたのではないかな、と。



「もっと頑張らなきゃ」 

「ちゃんとしなきゃ」

「人に迷惑をかけちゃいけない」


そんなふうに、

自分に厳しくしてきたものが、 

病気になったことで表に出てきた。


そんなこともあると思っています。


人のことはよく見えるのに、 

自分のことって、

本当に分からないんですよね。



ちょっと変な例ですが、 

自分の匂いって、

自分ではなかなか気づきません。


うちでも娘たちは主人に、

「父さん、臭い」

「ちゃんと歯磨いた?」


なんて言っています。


本人は、

自分ではあまり気づいていない。


人から言われて初めて、 

「あ、そうなの?」
と気づく。


心も身体も、同じだと思うんです。


何かが起きて初めて、


「私、こんなに無理してたんだ」 

「ずっと自分を責めてたんだ」


と気づくことがあります。



病気も、
今まで見えていなかった自分に気づくきっかけになる。


私はそう思っています。


私はよく、“病は氣から”

「病気は自分で創っている」

という話をします。


この言葉だけ聞くと、
少しきつく聞こえるかもしれません。


たとえば、
甘いものをたくさん食べ続けたり、
お酒を飲み続けたり、
無理をし続けたり。


今の身体は、
これまでの積み重ねの中にあります。


食べてきたもの。
生活の仕方。
身体の使い方。
思考の癖。
感情をどれくらい我慢してきたか。


もちろん、

病気はそれだけで起きる

単純なものではありません。


でも、身体は、

これまでの自分の生き方と

まったく無関係ではない。


だから私は、

「病気は自分で創っている」

と言っています。


ただし、これは

「あなたが悪い」

という意味ではありません。


ここを間違えてほしくないんです。


先日、ある方が診察室に来られました。


詳しいことは書けませんが、
その方は泣きながら、


「先生、死にたいんです」

と話してくださいました。


「つらくて、つらくて仕方がない」

と。


私は、

よくここまで来てくれたな~

と思いました。


そして、

「来てくれてありがとう」

と伝えました。


その方には、

「今は何もしなくていいよ」

とも伝えました。


頑張らなくていい。
ちゃんとしなくてもいい。
寝ていてもいい。


ただ、ご飯と水分だけはとってね。


「あなたがそこにいてくれるだけでいいんだよ」

と。





以前、
重い障害のある方が暮らす施設に、
診察に行っていたことがあります。


身体を自由に動かせない方。


言葉を話せない方。


人にお世話をしてもらわなければ
生活できない方もいました。


私はそこで、考えたことがあります。


「この人が生きている意味って

何なんだろう」


ひどい言い方に聞こえるかもしれません。


でも、本当に考えたんです。


仕事ができるから価値がある。


人の役に立つから価値がある。


お金を稼げるから価値がある。


もし、そうだとしたら、


何もできない人には、
価値がないのでしょうか。


私は、そうは思わないんです。


身体には、
いろんな細胞があります。


脳の細胞もある。


心臓の細胞もある。


足の裏の皮膚の細胞もある。


では、


脳細胞の方が、
足の裏の皮膚の細胞より偉いのでしょうか。


そんなことないですよね。


それぞれが、
それぞれの場所で存在している。


私は、人も同じなんじゃないかなと思っています。


何か大きなことを成し遂げなくてもいい。


誰かの役に立てない時があってもいい。


病気で動けない時があってもいい。


その人の価値そのものが
なくなるわけではありません。


病気になった時、


「なんで私が」
「何が悪かったんだろう」


と思うことがあります。


でも私は、


病気は自分を責めるためにあるのではなく、自分に気づくきっかけになることがある、と思っています。


今まで、
どれくらい無理をしてきたのか。

どれくらい自分を否定してきたのか。

どれくらい、
「頑張らない自分には価値がない」
と思っていたのか。


病気になって、
初めて見えてくることがあります。


病気は自分で創っている。


でも、


だから自分が悪いのではない。


病気を通して、

「これから自分をどう扱っていく?」

と身体に問われているのかもしれません。


何もできない日があってもいい。

誰かに助けてもらう時があってもいい。

あなたがそこにいる。


それでいい。


今朝、私が一番伝えたかったのは、
そんなことでした。


 

 

 

 

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野上徳子(のがみとくこ)
内科医・心理カウンセラー
1967年生まれ、岡山育ち。現在、愛媛県松山市在住。

医師として30年診療に携わる中で、昔から‟病は氣から”というように病気の原因は氣(潜在意識)が大きく関わっていることに気付き、現在は、病気や生きづらさの中に生きる価値を見出し、本当の自分として命を輝かせて生きるサポートをしています。