先日、オムツをしない鹿児島の老人介護施設「いろ葉」のお話をしました。
まだまだ、いろ葉の凄いところを紹介させてください。
介護の現場では、「安全のため」と言いながら、 私たちはたくさんの“鍵”をかけてしまっているのかもしれません。
でも、鹿児島の老人介護施設「いろ葉」では、 その“鍵”を外していました。
普通、老人介護施設では、外に出られないように 二重に鍵がかかっていることが多いと思います。
けれど、「いろ葉」では鍵がありません。
思わず聞きたくなります。
「徘徊する人がいたら、どうするんですか?」
けれど、ここでは発想がまったく違うのです。
おばあちゃんが歩いていくと、スタッフはこう思うのです。
「どうしたのかな?」
「今、この人にはどんな世界が見えているんだろう?」
「そっちに行かないで」
「出たらダメ」
そういう発想にはなりません。
なぜなら、出ていくには“理由”があるから。
出ていくその理由を知りたい。
そのときの“感情”を知りたい。
そして、その感情に寄り添いながら生きていきたい。
淋しさから歩いていくのなら、その淋しさに付き合いたい。
喜びであふれて出ていくのなら、「どんな喜びなんだろう」と知りたい。
その人の行動のすべてが、私たちにとって“楽しみ”でしかない。
その先にこそ、本当に支えるべきものがあるのだと。
そして不思議なことに――
外に出ようとする人も、窓からではなく、きちんと玄関から靴を履いて出ていくのだそうです。
「死ぬまで、その人が幸せに生きるお手伝いをしたい」
そんな想いが、施設全体を包んでいます。
「いろ葉」では、本当に利用者さんを中心に世界が回っている。
オムツも、鍵も、実は“こちら側の都合”なのだと気づかされます。
寄り添うとは、こういうことなのだ――。
「いろ葉」は、そんな“本当の寄り添い”を教えてくれる場所です。

