先日、オムツをしない鹿児島の老人介護施設「いろ葉」のお話をしました。

まだまだ、いろ葉の凄いところを紹介させてください。

 

 

介護の現場では、「安全のため」と言いながら、 私たちはたくさんの“鍵”をかけてしまっているのかもしれません。 

でも、鹿児島の老人介護施設「いろ葉」では、 その“鍵”を外していました。 

 

 

普通、老人介護施設では、外に出られないように 二重に鍵がかかっていることが多いと思います。

 

 

 

けれど、「いろ葉」では鍵がありません。

 

思わず聞きたくなります。 

「徘徊する人がいたら、どうするんですか?」 

 

けれど、ここでは発想がまったく違うのです。 

 

 

おばあちゃんが歩いていくと、スタッフはこう思うのです。 

「どうしたのかな?」 

「今、この人にはどんな世界が見えているんだろう?」 

 

 

 

「そっちに行かないで」 

「出たらダメ」 

そういう発想にはなりません。 

 

 

なぜなら、出ていくには“理由”があるから。 

出ていくその理由を知りたい。 

そのときの“感情”を知りたい。 

そして、その感情に寄り添いながら生きていきたい。 

 

淋しさから歩いていくのなら、その淋しさに付き合いたい。 

喜びであふれて出ていくのなら、「どんな喜びなんだろう」と知りたい。 

その人の行動のすべてが、私たちにとって“楽しみ”でしかない。

その先にこそ、本当に支えるべきものがあるのだと。 

 

 

そして不思議なことに―― 

外に出ようとする人も、窓からではなく、きちんと玄関から靴を履いて出ていくのだそうです。 

 

 

 

「死ぬまで、その人が幸せに生きるお手伝いをしたい」 

そんな想いが、施設全体を包んでいます。 

 

「いろ葉」では、本当に利用者さんを中心に世界が回っている。 

オムツも、鍵も、実は“こちら側の都合”なのだと気づかされます。 

 

寄り添うとは、こういうことなのだ――。 

「いろ葉」は、そんな“本当の寄り添い”を教えてくれる場所です。

 

 

 

 

 



野上徳子(のがみとくこ)
内科医・心理カウンセラー
1967年生まれ、岡山県育ち。現在、愛媛県松山市在住。

医師として30年診療に携わる中で、昔から‟病は氣から”というように病気の原因は氣(潜在意識)が大きく関わっていることに気付き、現在は、病気や生きづらさの中に生きる価値を見出し、本当の自分として命を輝かせて生きるサポートをしています。