牛乳はカルシウムやタンパク質を効率よく摂れる優秀な食品ですが、体質や摂り方によってはデメリットになる場合もあります。

 

 以下は医学的に指摘されることが多い注意点です。 

 

 

1. 乳糖不耐症による胃腸トラブル 

牛乳に含まれる乳糖を分解する酵素(ラクターゼ)が少ない体質の人は、飲むと腹痛・下痢・ガスなどを起こしやすくなります。 

日本人では成人の約7~8割が乳糖不耐症といわれています。 

ヨーグルトや乳糖分解済み牛乳に切り替えると症状が出にくい場合があります。 

 

 

 

 

2. カルシウムだけでは骨粗しょう症対策にならない 

牛乳のカルシウムは吸収が良い一方、カルシウムだけでは骨の強さは保てません。 

骨の代謝にはビタミンD・K、運動なども不可欠。 

牛乳を「骨の万能薬」と思って大量に飲んでも十分ではありません。 

 

 

 

 

3. 脂質・カロリーの摂り過ぎ 

牛乳には飽和脂肪酸が含まれています。 

高脂血症や心血管リスクがある方が多量に飲むと、LDLコレステロール上昇につながる可能性があります。 

低脂肪乳やスキムミルクを選ぶと負担を減らせます。 

 

 

 

 

4. ホルモン・アレルギーのリスク 

乳タンパク(カゼイン)に対するアレルギーがある人では、皮膚症状や呼吸器症状が出ることがあります。 

ごく一部では牛由来のホルモンや成長因子を懸念する声もありますが、通常の食事量で大きな影響が出るという科学的根拠は限定的です。 

 

 

 

 

5. 前立腺がん・卵巣がんリスクとの関連 

一部の疫学研究で牛乳や乳製品の多量摂取と前立腺がんリスク上昇が示唆されています。 

ただし因果関係はまだ確立されておらず、量や個人差も大きいとされています。 

 

 

 

 

摂るときの工夫 

乳糖不耐症ならヨーグルト・チーズ・乳糖分解牛乳へ切り替え。 

高脂血症やカロリー制限中は低脂肪・無脂肪乳を。 

「1日コップ1杯(200ml)程度」を目安に、野菜や魚など他のカルシウム源とバランスよく摂取。 

 

 

 

 

まとめ 

牛乳は栄養価が高い反面、体質や摂取量によっては消化器症状や脂質過多、特定疾患リスクにつながる可能性があります。 

大切なのは「自分の体に合うかどうか」と「量のコントロール」。 症状が気になる場合は、医師や管理栄養士に相談しながら上手に取り入れましょう。

 

 



野上徳子(のがみとくこ)
内科医・心理カウンセラー
1967年生まれ、岡山県育ち。現在、愛媛県松山市在住。

医師として30年診療に携わる中で、昔から‟病は氣から”というように病気の原因は氣(潜在意識)が大きく関わっていることに気付き、現在は、病気や生きづらさの中に生きる価値を見出し、本当の自分として命を輝かせて生きるサポートをしています。