DOHaD(ドーハド)説ってなに?
〜赤ちゃんの頃の環境が一生の健康をつくる〜
みなさんは 「大人になってからの生活習慣が病気をつくる」 と思っていませんか?
もちろんそれも大切なのですが、実は もっと前、赤ちゃんがお母さんのお腹にいる頃から健康の基礎はつくられている という考え方があります。
それが DOHaD(ドーハド)説。
「健康と病気の発達過程起源説」といって、難しそうな名前ですが、意味はシンプルです。
赤ちゃんの頃から健康が決まる?
イギリスの研究者が「生まれたときに小さかった赤ちゃんは、大人になってから心臓病や糖尿病になりやすい」ことを発見しました。
どうしてかというと、赤ちゃんはお腹の中で「栄養が足りない環境だ」と感じると、省エネ型の体をつくろうとします。
ところが、生まれたあとの世界が「ごはんいっぱい」の環境だったらどうでしょう?
体は少しのエネルギーでもため込みやすいので、肥満や糖尿病になりやすい体質になってしまうのです。
これを「ミスマッチ仮説」と呼びます。
栄養だけじゃない
最近の研究では、お母さんが妊娠中に感じた ストレス や、身の回りの 環境ホルモン(化学物質)、さらに 母乳や腸内細菌 まで、赤ちゃんの将来の健康に影響することが分かってきました。
つまり、赤ちゃんの頃の「育ちの環境」が、一生の健康や病気のリスクを左右しているのです。
なぜ大切なの?
DOHaD説が教えてくれるのは、 「大人になってからの生活改善も大事だけれど、妊娠中や赤ちゃんの時期からのケアこそが“最高の予防医学”になる」 ということです。
お母さんの栄養や心の安定、安心できる子育て環境は、実は赤ちゃんだけでなく、その子の未来の健康を守っているんですね。
まとめ
DOHaD説は、ちょっと難しい言葉ですが、伝えたいのはとてもシンプルです。
「健康は、お腹の中にいる時から始まっている」 ということ。
だからこそ、妊娠中のお母さんや子育て中のご家庭を社会全体で支えることが、未来の病気を減らす一番の方法になるのです。