先日、ある方からこんなご相談を受けました。

「家族が病気になって、医師から “10年生存率は20%”と告げられました。どうしましょう。」

 

 

…あなたなら、どう感じるでしょうか?

「たった20%しか生きられない」と思うのか。
「20%も生きられる可能性がある」と思うのか。

 

 

この違いは、
コップに半分だけ水が入っているのを見て、
「半分しかない」と感じるか、
「まだ半分もある」と感じるか

 

その見方に通じています。

 

 

 

そもそも「生存率」とは?

生存率とは、病気の診断や治療から一定期間後に、どれだけの人が生きているかを示す数字です。

 

たとえば「10年生存率20%」とは、100人が同じ病気にかかったとして、
10年後に生きている人が20人いるという統計データ。

 

 

これは「未来の予言」ではなく、過去の集計にすぎません

 

しかも、そこに含まれているのは、あなたの家族ではなく、別の誰かの人生です。

治療法も、体質も、生き方も、支えも、時代も、すべて違う。

だからこそ、「あなたがその20%に入る可能性は、十分にある」と私は思います。

 

 

 

数字の見方で、生き方が変わる

医学は進歩し続けています。


新しい治療法、回復力、心の持ちよう、支える家族の存在…
統計では測れない“生きる力”が、私たちの中にはあるのです。

 

たとえば同じ数字でも:

  • 「10人に2人しか生きられない」と思えば、不安や絶望に包まれ、

  • 「10人に2人は生きられるんだ!」と思えば、希望と行動力に変わります。

どちらが良い・悪いではなく、その人が選べる視点なのです。

 

 

 

そして、こう問いかけてみてください

「この“20%”という数字を、“怖れ”ではなく、“希望の入口”にできないだろうか?」

 

たとえコップに半分の水しかなかったとしても、「この水で何を育てよう?」と考える人は、
自分の人生のハンドルを、数字ではなく“自分の手”に取り戻していけます。

 

 

 

最後に

数字に心を支配されそうになったとき、
ぜひ、そっと自分にこう声をかけてください。

 

「私は、統計じゃなくて、“今ここに生きている存在”なんだ」

 

誰かの数字では測れない、あなた自身の物語を、どうか大切に。

 

 

 

 

 

 



野上徳子(のがみとくこ)
内科医・心理カウンセラー
1967年生まれ、岡山県育ち。現在、愛媛県松山市在住。

医師として30年診療に携わる中で、昔から‟病は氣から”というように病気の原因は氣(潜在意識)が大きく関わっていることに気付き、現在は、病気や生きづらさの中に生きる価値を見出し、本当の自分として命を輝かせて生きるサポートをしています。