診察室でよく聞く言葉のひとつに、
「点滴してもらえませんか?」という訴えがあります。

 

 

風邪や体調不良のときに、なんとなく「点滴をすれば早く治る気がする」
そんなイメージを持っている方も多いかもしれません。

 

 

でも実は、
点滴には、医学的にも心理的にも“メリット”と“デメリット”があるのです。

今日はそのことについて、少しお話したいと思います。

 

 

点滴のメリット

🔹 すばやく水分や栄養を補える
高熱や嘔吐、下痢などで脱水しているとき、経口よりも速やかに補給できます。

 

🔹 お薬が早く効く
解熱剤や痛み止めなどを静脈から直接入れることで、即効性が期待できます。

 

🔹 安心感につながる
「点滴=治療されている」という実感があり、患者さんの不安がやわらぐこともあります。

 

🔹 食事がとれないときのサポートに
体力が落ちている方や、飲食が難しいときには、点滴が頼りになります。

 

 

 

でも、点滴にはデメリットもあります

⚠️ 血管トラブルや感染のリスク
何度も針を刺すことで、血管が炎症を起こしたり、腫れたりすることがあります。

 

⚠️ 医療の手間やコストがかかる
点滴は医師や看護師の管理が必要な処置です。必要性が低い場合には、他の方法を優先した方が良いことも。

 

⚠️ 本当の休養が取れなくなることも
一時的に元気になった気がして、無理をしてしまい、かえって回復が遅れるケースもあります。

 

⚠️ 依存してしまうことも
「点滴をすれば大丈夫」と思い込んでしまい、身体の声を聞けなくなってしまうこともあるのです。

 

 

 

「点滴してほしい」の奥にある想い

実は、「点滴してください」という言葉の奥には
“体のしんどさ”だけではない、心の声が隠れていることも多いのです。

 

たとえば…

💭 「誰かに助けてほしい」
💭 「ちゃんとケアされたい」
💭 「わかってもらいたい」
💭 「安心したい」

 

そんな気持ちが、無意識のうちに言葉になっているのかもしれません。

 

私は毎晩、眠る前に
「徳子、今日もよく頑張ったね。えらいぞ。よくやったね。大好き」
といって、自分を抱きしめるようにセルフハグをしています。

 

 

誰かに言ってもらえなくても、
自分自身が、自分の一番の味方であっていいと思うのです。

 

 

たった一言、自分にやさしい言葉をかけるだけで、
ふっと緩み、心があたたかくなることがあります。

 

 

今日も頑張ったあなたへ。
どうか、自分に「ありがとう」と言ってあげてくださいね。

あなたの体と心に、必要なのは、
点滴よりも“いたわりのことば”かもしれません。

 

 

 

だからこそ私は、「点滴をする・しない」という判断だけでなく、
その人の“本当の想い”に寄り添える医療でありたいと、日々感じています。

 

 

 

 

 



野上徳子(のがみとくこ)
内科医・心理カウンセラー
1967年生まれ、岡山県育ち。現在、愛媛県松山市在住。

医師として30年診療に携わる中で、昔から‟病は氣から”というように病気の原因は氣(潜在意識)が大きく関わっていることに気付き、現在は、病気や生きづらさの中に生きる価値を見出し、本当の自分として命を輝かせて生きるサポートをしています。