義母が旅立ちました。

 

あまりにも突然で、
つい昨日まで元気だったと聞いています。

 

 

誤嚥性肺炎で入院。
一度は落ち着きを取り戻したものの、
嚥下機能が弱くなり、誤嚥を繰り返すため、胃ろうをつくりました。


退院に向けて準備をしていた矢先のことでした。

 

 

義母は、感情が豊かで、思ったことをすぐ口に出すタイプの人でした。
その率直さに、私は何度も戸惑い、時には傷つくこともありました。

 

 

結婚前、夫は言っていました。
「母はクセがある人だから、きっと苦労すると思う。
年を取って認知症になったら、手がつけられなくなるかもしれない」


その言葉どおり、義母の言動に心が揺れる日々が続きました。

 

 

心理学を学び始めた頃、
義母に対する怒りやわだかまりが次々と浮かび上がり、
それを手放すためのワークに何度も何度も取り組みました。

 

 

2017年、義母は急性腎炎で入院。
長い療養生活の中で、認知症が進行していきました。

 

 

晩年には、実の息子である夫の顔さえわからなくなっていたのに、
私の顔を見ると、にっこりと笑って
「徳子さん、よく来てくれたね」と言ってくれました。

 

 

“目の前の人は、自分の写し鏡” と言われます。

 

 

今、振り返ってみると、
義母は私の中に眠っていた「怒り」という感情を
引き出し、解放させてくれた存在だったのだと思います。

 

 

義母のおかげで、私は少しずつ
怒りを手放すことができるようになりました。

 

 

旅立った義母の顔は、まるで眠っているように穏やかで、安らかでした。

 

「お義母さん、ありがとう」

 

 

 

 



野上徳子(のがみとくこ)
内科医・心理カウンセラー
1967年生まれ、岡山県育ち。愛媛県松山市在住。

30年診療に携わる中で、昔から‟病は氣から”というように病気の原因は氣(意識)が大きく関わっていることに気付き、現在は、病気や生きづらさの中に生きる価値を見出し、本当の自分として命を輝かせて生きるサポートをしています。