身体は心のメッセージ、身体の声を聴く
内科医・心理カウンセラーの野上徳子です。
不安神経症の50代の方
以前、
『私は役に立たない』
『自分には価値がない』
『私はダメな存在』
とおっしゃっていた方です。
自律訓練を兼ねて
毎日瞑想をするようにお願いしていました。
しばらく血圧は安定していました。
4月
患者:「先生どうしよう!血圧が急に上がったんです!!」
血圧手帳を見せてもらうと、今まで落ち着いていた血圧が、
この1週間で確かに上がっている。
何かあったのか訊ねると、友人のことが心配でたまらないと言われる。
患者:「何とかしてあげたいけど何もできない・・・」
患者:「私ダメなんです。何やってもダメで・・・
ダメな子って、小さい頃からずっと言われていました。
お姑さんにも言われていました。」
また同じパターンに陥っていました。
外来診察中は時間の関係から、
なかなか介入が出来ませんでしたが、
この日は少し余裕があったので、
おおよそこんな話をしたと思います。
私:「確かに小さかった時は、
お母さんが望むようなことは
出来なかったかもしれないし、
いっぱい失敗もしたかもしれないね。
そのたびに、
お母さんからダメな子って言われたかもしれない。
私も親に怒られたのでよく分かります。
そして、あなたは成長し、経験を積んできたおかげで
いろんな事が出来るようになりましたよね。
いつまでお母さんやお姑さんの基準に合わせて生きるの?
お母さんやお姑さんがあなたの人生の責任を
とってくれるわけじゃないよね。
自分の人生、自分で決めたらどう?」
等々、メタファーを入れながらもちょっと強引な介入をしました。
もう少し緩やかにすれば良かったかなと、ちょっと反省していました。
5月
患者:「血圧落ち着いています。
以前は『こうなったらどうしよう!』と
最悪のことを考えて、不安でたまらなかったけど、
最近は『何かあってもなるようになる』と
徐々に思えるようになってきました」
私:「良かった。お薬もういらないと思うけど」
患者:「何かあった時のために持っておきたいです」と
6月
患者:「降圧剤、抗不安剤は全く使っていません。」
私:「気分(メンタル)はどうですか?」
患者:「楽です。先日父が救急車で運ばれたんですが、
もちろん慌てましたが、意外と落ち着いていました。」
私:「身体の調子はどうですか?」
患者:「周りの人に元気ねと言われます。
前はよく寝込んでいましたが、今は本当に元気です。」
ちょっと強引なくらいがちょうど良かったみたいです。