ダメ出しの専門家です
今日はふたつの異なるオーナーのお話です
一人は
あるお店の話です
年が明けて新しいイタリアンのお店をオープンさせました
料理人もホールもすぐに人が集まり
「手伝います」と知り合いも
バイトとして名乗りを上げメンバーが集まった
宣伝効果もあり
お店は初日から行列になり賑わいました
当然ですが、忙しくなるとスタッフそれぞれが誰かについて
動きが気になりはじめました
〇〇さんには辞めてもらおう
若い男性と中年の女性が
そこに名前があがりました
オーナーも「いなくてもいい」と口に出し
その二人は来月になったら解雇しようと考え始めました
その空気は
解雇対象になる本人も感じていました
しかし、バイトさんが一人、また一人と
シフトに入れなくなりました
理由は本業が忙しいということでしたが
それは本当の理由ではないと思います
あっという間に人手不足です
来月のシフトが組めません
となると、辞めてもらおうと思っていた人に
辞めてもらうのは困る状況になりました
オーナーはその二人に優しくなりました
「良くやってくれる」と褒めるようにもなり
「あの人にいま辞められたら困る」と言うようになりました
オープンして1か月の間に
辞めて欲しいと思っていた人が
辞められたら困る人に180度変わりました
本人の何かが変わったわけでは無く
オーナーの気持ちが変わっただけです
それから立場は逆転しました
解雇対象にあがった二人は自分から
「辞めたいです」と言い出し、
オーナーがお願いして、辞める事を止める状態
おかしな話だと思いますよね
この話からいろいろ思います
簡単に人を「切る」と考えている優位に立つオーナーは
いつか簡単にその立場が逆転する事があり
自分のお店全体を脅かす事になる
もう一人は
私の幼馴染で会社経営をしている女性の話です
パートさんに足の悪い方がいます
やはり動きが制限され生産性が落ちます
役員として働くお嬢さんが
「辞めてもらおう」と提案しました
しかし母である社長は
「この会社に20年務めてくれている
あなたより長い時間ここで働いてくれた人
動きが悪くなったからと言って切れるか?
この会社はあのパートさんたちがいたから
ここまでこれたんだよ
あの人のことはそういう目で見て欲しい」
そして
「従業員はみんな社長から褒めて欲しいし
大事にしてほしいし、認めて欲しいと思っているよ
経営者はその一人一人全員をまんべんなく平等に可愛がること」
「世の中、愛社精神がない人が多いというけれど
なぜ愛社精神が育たないのか
社員を本気で愛さない社長の下で働く社員に
愛社精神など育つわけがない
愛社精神を持ってほしかったら
社長が一生懸命に社員を愛して
愛する事を教える事だよ」
彼女は社長でありながら母として、婆としても
家族を精いっぱい大事にしている
朝は6時に出社し、最低12時間、多い時は16時間働く
それを従業員は見ているので
誰も彼女を舐めてかかったりしない
そして従業員が誰も彼女を舐めないのは
彼女が威張らないからです
彼女には
「働かせてやっている」ではなく
「働いてもらっている」精神があります
そして社長だから社員を守るのではなく
日々社員が会社を守ろうとしています
会社が大きくなっていくと
社長は自分の力だと勘違いをする
でもその成果は
社員がいたからこそ目標達成が出来たのです
こういう社長の会社は
社員が辞めないし
社員に高齢の方が多いです
コロナによる影響のもとで
この会社は仕事の依頼が増えて
忙しくて大変な毎日を送っています
人を切っていたら
この忙しさがさらに忙しくなっていた事でしょう
いざとなったときにちゃんと力を貸してくれる会社と
いざとなったら「辞める」と印籠をだす会社と
みなさんは二つのどちらの会社で務めたいですか?