『とれいん・トレイン』 | 「とれいん・トレイン」



 

オフィストレインブログご愛読の皆様、

大変お待たせ致しました!

 

構想3年(!?)、

新連載『とれいん・トレイン』

スタートすることとなりました♪

 

ナビゲーターを勤めさせていただくのは、

自称、オフィストレインいちの読書家、石川京子です。

ということで、私が担当させていただくときのテーマは、

ずばり、

 

 

『本』

 

 

感銘を受けた本、

お薦めしたい本、

知る人ぞ知る名著、

などなど、

やや乱読気味の私の琴線に触れたものを

ご紹介していきたいと思っております。

 

記念すべき一回目にご紹介したいのは、

 

 

 

『文体練習』 

レーモン・クノー (朝比奈弘治 訳) 朝日出版社

 

 

『ある日の混雑するバスの中、へんな帽子をかぶった首の長い26歳ぐらいの男が、

乗り降りする乗客が乱暴に押してくると隣の乗客に文句を言っているが、その口調は

たいした剣幕ではなく、席が空くとさっさと座りに行く。その様子を見た第三者が、

二時間後にまたその男を見かける。男は連れの男から、「君のコートには、

もうひとつボタンが必要だね」と指摘をされている。』

 

 

 

以上が、本書のすべてです。

正直に言って、内容は無きに等しい。

しかしながら、知る人ぞ知る名著と言われている所以は、

このたったひとつの些細な出来事を、

なんと、99通りの、

まったく異なる表現形式

書かれてあるからなのです!

 

 

あるときは隠喩ばかりで、

あるときは手紙形式で、

またあるときは事実のみを厳密に記載する。

主観的な立場から、また客観的な立場からも。

「・・・でもなく」で文章をつなげたり、

妙に学問調になったかと思えば、俗語調になったり、

短歌や詩まで出てくる始末。

 

フランス語を学ぶ外国人のための教科書として

用いられることもあるそうで、

確かにこれだけのバリエーションがあれば、

様々なレベルのフランス語を習得できるであろうことは

容易に想像されます。

と、同時に、

正しい文章って、一体、何なんだろう??

との疑問が湧いてきてもおかしくはないし、

文章の書き方の常識を覆す内容と言えるのも事実。

言葉なんて所詮は空虚なものなんだとの

諦観をも呼び覚ましてしまう。

 

まさに

 

究極の言葉遊び!!!

 

 

言葉の持つ魅力と魔力に触れてみたい方、

すでに虜になっている方には、

お薦めの一冊です。

 

税抜き、3398円。

酔狂ですね・・・。

 

 

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ある日の通勤電車の中。

一人の男性がつり革を持って立ち、

携帯の画面に見入って、読書をしていました。

 

3日後の同じ時刻、同じ電車。

車両、乗車位置は異なるものの、

3日前と同じ男性がつり革を持って立ち、

3日前同様に携帯電話で読書をしていたのでした。

 

 

これは、私が実際に体験した出来事です。

その光景を見たとき、

レーモン・クノーよろしく、

99通りの文体で書ける内容ではないかと

その場で小躍りしたくなってしまいました!!!

 

 

ということで、

99通りの文体にチャレンジしようと、

勢い勇んで、改めて本書を読み返したのです。

 

 

別の日に、ちょっと異なる場所で、

たまたま同じ光景を見たという、

たったそれだけの事実。

しかし、事実が単純であればあるほど

構成には工夫が必要で、

下手な装飾が利かないもどかしさ。

3つくらいの構想は浮かんだものの、

それだけじゃ・・・・。

よくもまあ、

99通りの文体で書けるな~と感服して、

そっと筆を置いてしました。

 

 

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文章の書き方はもとより、

容易く見える事実の奥深さや、

伝えたい核が決まっていれば、

方法なんていくらでもあることを

学ばせてくれた貴重な一冊です。

興味のある方は、是非、ご一読を。

 

 

中身はさることながら、

装丁も素晴らしいです♪

 

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