ハーバード大学。
アメリカで最も古い高等教育機関であり、
かつ、世界大学ランキングにおいても、1位を独占し続けている大学です。
バラク・フセイン・オバマ・ジュニア、アメリカ合衆国第44代大統領を始め、
多くのアメリカ合衆国大統領やノーベル賞受賞者を輩出していることでも
知られています。
そんな世界最高学府の学生たちを最も熱狂させた授業。
それがこの本の“中身”です。
著者のタル・ベン・シャハー氏は、現在、最も注目を集めている、
「ポジティブ心理学」の第一人者だと言われています。
「ポジティブ心理学」とは、心の健康、つまり、
人がよりよく生きるとはどういうことかについて研究する学問で、
研究対象は広く、楽観性、ポジティブ感情、逆境からの立ち直り、
幸福、価値観、強み、ポジティブな人間関係、ポジティブな組織開発など、
多岐に渡っています。
その中でも、タル・ベン・シャハー氏は、
「幸せ」研究の第一人者、なのだそうです。
氏の理論は、巷に溢れている自己啓発本とは一線を画し、
心理学の多くの研究データと、
氏自身の経験に裏打ちされているものだとのこと。
アリストテレスや孔子の本を読み漁り、
大学で哲学・心理学を専攻し、
多くの“成功しているけれど、幸せでない人たち”を観察していくなか、
独自の“幸せの基本原則”を体得したタル・ベン・シャハー氏。
その氏の叡智が本書において、52回の講義の形で述べられています。
特徴的なのは、理論のみでなく、アクションプランが提示されていることです。
「人生でいちばん大事なことは、結局、知識ではなく行動だ」
本書で引用されている生物学者 トマス・ハクスリーの言葉が示すよう、
行動を起こせるような仕掛けが盛り込まれています。
1回目の講義内容は「感謝する」、
2回目は、「習慣化する」。
それらを継続できるような工夫にも目を引きます。
(が、ここではあえて紹介致しません。本書を開いてのお楽しみです。)
各講義の最後には偉人の言葉が示されています。
目新しさを欠く形式ではありますが、
ここを読めば内容を思い返せますし、
そこから自分独自の考えを広げていくこともできます。
例えば、2回目の「習慣化する」においては、
哲学者 アリストテレスの言葉が引用されています。
「繰り返しおこなわれることが我々の本質である。さすれば
卓越するということは行動ではなく、習慣に現れるものである。」
49回目「深く根を張る」、50回目「心をひらく」では、
幸せについて真正面から向き合っています。
「幸福は自分しだいである。」…アリストテレス
「ほとんどの人は、自分がなろうとした分だけ幸せになれる」
…アメリカ合衆国第16代大統領 エイブラハム・リンカーン
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現在、世界的に「幸せ」に重きを置いた動きが広がっています。
国民総幸福量(国民総幸福感 Gross National Happiness GNH)
これは、1972年、ブータン国王、ジグミ・シンゲ・ワンチュクが提唱したもので、
「国民全体の幸福度」を示す“尺度”のことです。
国民総生産(Gross National Product GNP)
で示されるような、金銭的・物質的豊かさよりも、
精神的な豊かさ、すなわち幸福を目指すべきだとする考え方から
生まれたものです。
ブータンでは、GNPよりもGNHを高めることを目指していて、
2007年に初めておこなわれたブータン政府による国政調査では、
「あなたは今、幸せですか。」との問いに対し、
9割が「幸せ。」と回答したそうです。
国民の9割が幸せを感じているなんて、
素敵な国ですよね。
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「幸福は自分しだいである」との
アリストテレスの言葉通り、
幸福は私達一人ひとりが決めることができます。
この本を読んだ皆さんが“幸せ行動”を実践し、
幸せを感じられると、私も幸せです。
おわり。