みなさま、ご無沙汰いたしました。4月24日の金曜日、たまたまの祝日でトレイルランニングに行っており...翌日、25日。ネパール大地震。いつもの通り(ネパール休日の)土曜日に仲間たちと走りに行っていたら。山中で地震に遭遇していたはずです。考えるだけで恐ろしい。その後の1ヶ月は、続く余震と仕多忙に押し流されました。

その後も、自宅から日常走っていたダートコースの村々が被災したこともあり、ランニングに出たいという気持が萎えておりました。この間、自宅近くに25メートルのプールを発見。早朝、にわかスイマーと化しておりました。そろそろランニング復活だ。と考えていたところ、都合良く8月1日にトレイルレースです。早速申し込んだ次第です。以下、かなり驚いた大会報告でございます。

ドゥリケル~ナガルコット・チャリティトレイルランニング&ハイク

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カトマンズ近郊のヒマラヤ展望2大リゾート地、ドゥリケルからナガルコットを結ぶ18kmと距離も手頃です。大会の情報伝達もフェイスブックが頻繁に更新されるし、ロゴもかわいいし。ナガルコットのホテル経営者の2世たちが企画した、普段トレイルランニングとは縁遠そうな様子でもありましたが
「18kmだから、ま、何とかなるだろう」
と、自分のトレーニング不足を棚に上げて余裕をかましていた次第。

カトマンズからのバスは朝6時半出発。時間厳守。遅刻者は知りません。とキッパリ書いていたにもかかわらず。早朝から雨の集合場所には大型バスが2台止まっているだけ。大会関係者はいない。30分遅れの7時出発。8時にドゥリケルについても、関係者おらず。そのうちIDカードをぶら下げた人が数人来るも
「わたしたち、なんにもしらないもんね~」
と、仲間内のセルフィーに夢中。30分ほど道路で待たされたあげく近くのホテルに誘導されるもまた放置。企画者がまだ来ていませんとのこと。待ちくたびれた頃受け付け開始。300人ほどの参加者で、仕切りもへたくそで大混乱。注目すべきは、ゼッケン止めるための安全ピンを用意することを主催者が忘れていたこと。すごい。初めての経験だ!私は普段から持っているから大丈夫だったが、ほとんど全ての参加者はポケットにゼッケン入れるという。何のためのゼッケンなのか?


そして、雨。天気は主催者の責任じゃないけれど。雨期真っ最中で大雨でも文句言えない会場に「雨用心」が為されていなかったことは、スーパーおマヌケじゃないの?それ以前に、300人も集めておいて主催者が遅刻すんなよな。

予定より1時間半遅れで、雨のスタート。コースは泥んこぐちゃぐちゃ。ま、これは想定内。雨期のレースに参加した以上、大人のドロ遊びを楽しむのは前提。コースの1/3くらいは赤土で、滑る滑る。これまた文句言う筋はない。

が、しかし、トレイルが枝分かれするところにマーキングがないのはどーゆーこと?レース終盤後ろから、すごい勢いで走ってくるエリートランナーたち。「大きくコースアウトしたぁ」とのこと。そんな人が続く続く。

すごいのは、ゴール地点が直前に変更されてはっきりとアナウンスされていなかったこと。出会ったチャリダーの皆さんから「あっちに大きなテント張ってあったよ」と聞き出しゴール。距離はアナウンスよりかなり短い14.66km。2時間56分。


あれ?当然先行しているはずの俊足組が誰も来ていない。途中で私を追い抜いていた先ほどのエリートたちもいない。?????


事前アナウンスされたコース(赤)に、自分の走行ログを重ねてみた。ゴール地点は主催者決定により場所変更+短縮されていた。


私自身は大きくコースアウトすることはなかったのだが(事前に地図情報を確認して、いつもの通りマイマップを作っていたから)、結局14.5kmほどのコースで、10km以上も余分に走って来た俊足組が遅れてやって来た。

「マーキングが故意に間違っていた。アウトコースに誘導された」
と云うのが、彼らの共通見解。主催者曰く
「誰かがマーキングを動かした」

なら、私も迷う筈。一定の時間に限って、エリートたちだけを迷わせる行為が行われていたのだろうか?普段私はルートファインディング良くない。いつも的確にコースを見つけるエリートたちに限っての大量、長距離コースアウトが続出したのはとても不思議だ。

事前のアナウンスでは2ヶ所あるはずの給水はゼロ。これは非難されるべき。ずっと雨が降って涼しかった(終盤は寒かった)ためスタート地点で配られた1リットルの水で事足りたが、雨期の晴れ間の酷暑であったとしたら...ルート上に水が得られる場所はなく、ごめんなさいでは済まない事態もあり得た。

ゴール地点は激しい雨と風と霧の中、吹きさらしのテント。寒い。しかも温かなお茶もなく。約束された昼食も、野菜を切っている段階。これでは風邪をひく。と、自家用車で来た友人に無理を云って(定員オーバー)で便乗させてもらって家に帰った。

主催者の言い分は
誰かが故意にマーキングを動かした。
ボランティアを配備していたが、仕事をしていなかった。
とのことだが、朝から受付に1時間も遅刻してくる御仁であるからね。フェイスブックで「10kmも余分に走らされた」というクレームに「沢山脂肪が燃やせて良かったですね」との返事。やれやれである。

ネパールの観光業界(ナガルコットのホテル経営者のボンボンと限定すべきか?)、この程度。これではネパールに観光客は戻らない。私だって、行っちゃうもんね。ネパールじゃなくてタイに。

普段カトマンズでレースを主催するTrail running Nepalのリチャードも一参加者として来ていて、途中迷ったらしく遅れてゴールしていた。いつものトレラン仲間たちから

「やはりリチャードのレースじゃないと信用できない!」
と云われて、にやにやしていたリチャード閣下であるが....彼のレースだって、昔はひどかった。ということは、この際忘れましょうね。少なくともリチャードは、何かが起こったらレスキューにいけるだけの心構えはあった。今回は安全対策ゼロ。

ま、距離が短かったから、重大な事故はなかった(と思う)。久しぶりに、トンでもないレースだった。

自分の半生としては、スイミングのおかげで心肺機能はそれ程辛くなかったが、やはり「走る脚」「登る脚」が全く不充分。今月からは心を入れ替えて走らなければ。10月のアンナプルナに間に合わない。と、強く感じた次第。

帰宅しての衣類とシューズの洗濯。ドロが出るわ出るわで大変だった。翌日軽く筋肉痛。早朝プールでアイシング。ロードも走らなきゃね。

1月3日のTNF KTM 50-50 シバプリウルトラレースが無事終了して直後、主催者であるTrail Running Nepal リチャードからメイルが届いた。

「今年は大小合わせて、年間12回くらいのレースがやりたいな」

カトマンズでのウルトラレースが3回。ヒマラヤでのステージレースが3回だから、加えて6回。コースマーキングと最低限のエイドだけを準備し、短い距離でのカジュアルなレースイベントと云う事だった。参加者自身が水や補給食を背負い、集合場所への交通手段も「自分で何とかしてね」という、主催の手間をミニマムにしたものとのこと。

そして数日後、カトマンズ市街地北西部にあるナガルジュン国立公園で、17.5kmのトレイルレースを1月24日開催する発表があった。ツーリストエリアであるタメルから、タクシーで15分程度と、市街地に一番近い大自然。

当日夜明け直後、トレイルレース初参戦となるお友だち純子さんのお家まで自転車で。そこからはタクシーで受付け地点に向かった。朝7時過ぎから受付がスタート。おのおの受け取ったゼッケンをつけて、200m程離れた国立公園ゲートに向かった。

レースの3日前、お正月と同じ27kmのルートを走っており、1週間で2度目のトレイルラン。脚に若干疲労が残っていたが、ここまで来たら心配しても仕方ない。

スタート前

レース1週間前のアナウンスにも関わらず、96人のフィットなヤツらが集合した。ネパールの中でも、我ら「走る民族」は確実に増えている。しかも、ネパール人ランナーが多い。

朝8時過ぎ、レースはスタートした。

コースマップ

まず初っ端から、距離にして3.5kmで標高差700mの石段を登って、聖地ジャマチョのピークに向かう。ここから2km弱ジープ道約約を下り、途中国軍チェックポストのある合計約8kmの深いジャングルのトレイルを行く。最後は4kmほどジープ道路となり、ゴール。

石段登りでは、フランス人元柔道家のご主人と一緒に「世界走り旅」中の日本人ランナーみゆきさん(彼女とは、チェンマイに共通の友人がいてビックリ!)、カトマンズマダムランナーズ(そんなのあるの?)のシャサと3人が、一緒になった。

ジャマチョ頂上

聖地であるジャマチョには、チベット仏教の僧院が建っている。清冽な空気漂う場所で、いつ来ても気持が洗われる。

仏教の5色の旗の向こうには山並みと、ヒマラヤも見える。

ダートのジープ道を下って、ジャングルトレイルへの分岐点にエイドステーションがあった。当初ジャマチョにあると説明されていたものが、なぜかここに...でもまあ、見落とすと完璧コースアウトする分岐点だから、これはこれで良い。水とファーストエイドだけだが、係員が親切でありがたい。

エイドポイント

ここからは8kmのジャングル・トレイルだ。約20年前に植林されたという森の中を行く。弾丸のように駆け下る元短距離ランナーのみゆきさんに代わり、カトマンズ・ダイナミック・ランニングクラブの男性ランナー、ディネシュさん、シャサ、私の3人で前後しつつのグループとなった。途中国軍ポストからは、深い深い原生林に入る。

3人一緒に走る事となつたのは、3人のスピードが同じであった事。加えてジャングルが深すぎて、ひとりで走ることに微かな恐怖心を抱いたためでもある。森の中のトレイルはほぼ迷いようないのだが、「だから分かるでしょ」と言いたげに、マーキングも皆無であった。前後人の気配なくひとりで走っていたら、これしかないんだけど、ホントにこれでいいんだよね。と、若干ビビると思う。その「何となく感じる」気配の正体を知るのは、ゴールした後になってしまうのだが。

ジャングル部分はほぼ全部緩やかな下り。木の根や石ころにだけ注意すれば、落ち葉の積もった、身体に優しい素晴らしいルートであった。こんなに気持ち良くて、距離のあるジャングルトレイルは、他ではなかなか出会えない。二人より前に出て、先頭を切って走る。なんと云う爽快さだ。ひゃっほ~!!!!!

終盤の4kmは再度ジープ道。若干の、でもちょっと不愉快な登り返しが続く。私だけなら歩いてしまった筈なのだが、ディネシュさんが走り続ける。彼は何も云わないが、気配で

「ここまで一緒に来たんだから、キミも歩くな、ついて来い!」

というオーラが伝わってくる。登りは引っ張ってもらう。下りは私が引っ張る展開となった。先行していたみゆきさんの背中も見えた。追いついた。4人が前後して、そのままゴール。2h50m24s

ゴール

3時間半~4時間を想定していたが、想定よりきちんと走れて大満足。レース全体としてもボリュームゾーンでのゴールが出来た。強いネパール人男性ランナーが多かった事を考えるに、自分としては上出来だ。3日前の疲労感も、走る中で忘れてしまった。

ゴール地点

ゴール地点でもボランティアの係員が、記録を取ってくれたり完走証を発行してくれる。

優勝者

優勝者、男性 Homlal Shresthaさん 1h30m58s
優勝者、女性 Mira Raiさん、1h44m51s
Miraは去年3月のカトマンズ・ウルトラで彗星のごとく出現し、昨年ヨーロッパや香港の国際レースでも優勝を含む大活躍。世界のトップランキング入りを果たした。

今回私が一番うれしかった事。初トレイルの純子さんが笑顔でゴールしてくれた事。

この躍動感が、彼女にとって今日がどんな日であったか物語っていると思う。おめでとう、純子さん。これからもよかったら、また走ろうね....待ってるよ~ん!

冬晴れの一日、気持ち良く遊ばせてもらった。大満足。

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さて、ジャングルの中で感じた「気配」は何だったのか?イベントが終わった後で知った話し。森林の中の国軍チェックポストまでは民間人の立ち入りが出来るが、ここから先の原生林は立ち入り禁止措置が執られているそうだ。その理由...数年前に外国人女性が行方不明となり、遺体で見つかった。それがこの原生林だそうで。今回は主催者が国立公園と駐屯する国軍と折衝し、特別に許可してもらったとのこと。

ナガルジュンの森にもシバプリ同様「豹」がいる。四本脚だけでなく、二本足の猛獣がいる事。カトマンズでのトレイルランニングにはリスクもある事。忘れてはいけない。そんな話をしていたら

「ゴダワリ~プルチョウキの辺りだってさぁ、ほら、みんなよく知ってる地元おじさんランナーのNだって危ない目に遭った.....おっと、これは聞かなかった事にしてくれよ」

え゛え゛ーっ!?なに、それ、初耳なんですけど。

人家のないジャングルトレイルは快適だ。だがリスクはある。村の点在するトレイルは、分岐が複雑で急坂も多く走りにくい。でも、人目がある分危険ファクターが軽減出来る。だから、今回のようなイベントが設定されれば、普段走りにくい場所も走れる。ランナーの安全に気をつけろ、と、上官のお達し出ている範囲内では、その手の事件は起こらないから。ま、過去の真相については想像していただきたい。

風の噂では、次はカトマンズ盆地南方でのカジュアルレースがあるようで。それ以外にも仲間たちが集まって、トレーニングトレランもちらほらと計画中。安全に注意して、楽しいトレラン・ライフを続けていきたいものだ。

カトマンズ盆地という場所は、訪れたことのない人にとっては「ヒマラヤを望む清涼な空気と清らかな川の流れる街」と、イメージされることが多い。他方、街中のホテルに宿泊した事のある人にとっては「埃っぽくて大気汚染が耐え難い、汚れきった川が流れる喧噪の街」と記憶されることも多い。

来たことのない人、ある人、はたまたここに住んでいる人にまで、「あなたいったい、毎日どんな場所を走っているの?カトマンズに走れる場所なんてあるの?この空気じゃ病気になるから走るの止めなさいよ」と云われることが少なくない。今日は私が普段走っている13kmコースを、短いビデオで紹介したい。

我が家はカトマンズ盆地の南側、パタンの郊外にある。カトマンズの繁華街から、直線距離で数キロの南である。


小さな街だからこのように、知り合いに出会うこともある。この人は20年ほど前、早朝の英語学校に通っていた頃のクラスメイト。数年ぶりにばったり出会った。


盆地の縁にある外輪山に向け、平坦な場所が殆どないロードが続く。





パタン校外では数キロごとに、古い集落と出会う。歴史と現代が混じり合う不思議な空間。







そして、田園風景のダートに入る。


空がクリアーな日は、こんな風にヒマラヤのパノラマも楽しめる。実は、密かに自慢のランニングコース。







終盤は再度、ロードとなる。

おっと、ワンコの元気が良すぎるようで...




状態の良くない舗装道路や不整地ばかりだが、アップダウンあり、景色の変化あり、ワンコの襲撃ありと、毎日走っても飽きることがない。

私にとってこんなルートの延長線上に、山岳トレイルがあり、タイや日本でのロードレースがある。過酷な環境でもあり、恵まれた環境とも云える。全ては自分の心次第と云う事だろうか。
ネパールにおける2015年新年第一弾トレイルレース。The North Face Kathmandu Ultra 2015 は1月3日土曜日、カトマンズ外輪山の北側に位置するシバプリ国立公園で開催された。主催は、カトマンズ首都圏で年3回ウルトラ・トレイル(1日)レース、そしてムスタンやマナスルでのステージレースを主催するTrail Running Nepal。率いるのはご存じ、カトマンズ在住の英国人ランナー、Richard Bull。

記録に拠れば今回、132名の参加があり、カテゴリー別では
11km 59人 (M 36 / F 22 / ? 01)
27km 47人 (M 38 / F 07 / ? 02)
50km 18人 (M  12/ F 06)
80km 08人 (M 07 / F 01)

レース結果 リンクページ
50km女性4位に、日本のYukiko Okuzonoさんが入賞!


レース写真 Kathmandu Trail Running Group on Face Book
        Photographer Anuj Adhikary's Photo on Face Book

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今回印象に残ったのは、過去の同一主催者のレースと比較して、マーキングが改善されていたことである。間違うと大きくコースアウトする場所には、スポンサーのロゴ入りのフレックスプリントのマークがあった。矢印の表示が分かりにくい場所もあったが、ルートは「こっち!」と分からせるのには最低限の役割を果たしていた。

また、それ以外の場所にも所々、ピンクのペイントスプレーで「控え目に」マーキングされていた。私と前後して走っていた日本人ランナーの方と「ピンクのマーキングって?」「これですよ」「ああ、これね。これがマーキングなのね。なるほど」という会話があった。日本の方の目には最初、岩肌などにポチッとついたピンクが、マーキングとは結びつかなかった様子であった。

説明申しあげた時は雨降りで、その後晴れて日射しが出て私は偏光レンズのサングラスをかけた。そうすると、日本人ランナーの方は次々にピンクマークを見つけるのに、私には全く見つけられず。「あれぇ?」と狼狽して、数キロ走って気がついた。

偏光レンズを通してみると、ピンクが「白」に見えて、岩肌の模様と区別がつかなかったのだ!

前回は透明なレンズで走っていたから気づかなかった。ネパールのピンクマーキングレースでは、サングラスのレンズには気をつけないといけない。

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エイドは、今回ミネラルウォーターでなく、湧き水が提供されていた。シバプリは清涼な湧き水で有名だが、透明なボトルに入った水は若干濁っていた。真冬で、しかも雨と曇りで気温が低く、自分が背負っていた750mlのスポーツドリンクで何とか、27kmを走り抜けられたが。晴れていたとしたら、危なかった。水を消毒する錠剤(カトマンズで買える)を持参しておくべきだった。

エイドでは通過したランナーのゼッケン番号が控えられており、この「当たり前」のチェックが為されないことが殆どであるネパールのレースにおいては、画期的に立派だった。

27/50/80kmコースで、ゴール14km手前のエイドは素晴らしかった。バナナ、チョコレート、ひとくちケーキ、チョコを塗ったパン、オレンジなどが取りそろえられていた。またエイド係員が大変親切で、とても励まされた。聞けば、シバプリ森林内でアドベンチャースポーツを行う会社が担当していた。自分自身もマウンテンバイクなどのスポーツをする人だから、ランナーに対しても優しかったのだ。

エイドで優しくしてもらえること...カトマンズでは、期待出来ないことなのだ。普通なら、村の人が迷惑そうに「むすっ」として座っているだけだ。

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カトマンズにはナガルジュン、ハッティバン、ゴダワリ等の森林でもトレイル・ランニングが楽しめる。今回のシバプリはカトマンズ他の森林に比べて、飛び抜けて気持がよい。他の森林に比べて、森の中を気持ち良く走れる場所が多い。

もうひとつ。シバプリの中には、村が少ない。その結果、トレイルが明確だ。

村があると、トレイルはあの家、この家、あっちの学校に向かって枝分かれする。マーキングが控え目なレースでは、迷ってしまうことが少なくない。それがシバプリではない。小さく迷う心配は、殆どない。

ただ、「大きくコースアウトする」「違うカテゴリーのコースに迷い込む」可能性はある。このエリアをはじめて走る外国人ランナーが、どっちなの?と困惑しているのに何度も出会った。私は過去のランニングで地理感あったので困らなかったが、初めてであれば簡単ではなかったと思う。スタート前に地図が配布されたが、基本的な地図読みが出来る事が必要だ。

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シバプリの森には、豹がいること、ご存じ?私自身今回、コース上に残る足跡を見た。シバプリだけでなくカトマンズ外輪山の森林には、全部の場所にいると思っていた方が良いだろう。

50km/80kmの場合、ゴール手前15-16kmの森林は日没後になる可能性がある。参加者も少なく、エイドの間隔も非常に長い。真っ暗な森をひとりで、自分のヘッドライトだけで走る事になったら...脚力、体力以前に、心の強さがないと前に進めないだろう。

というか、そこまで進んでいたら、後ろにも下がれないしリタイアするにも夜の村ではバスもない。タクシーもない。森には豹がいる...外国から来たランナーたちは「知らない」だろうけれど。

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レーススタート地点までの移動バスの時間と場所、コースの説明も、前夜になってはじめてメイルが来る。これも不安だったと思う。しかし、Trail Running Nepal主催のレースでは毎回のこと。

そういう不安を少しでも埋めていくため、トレイルランニングネパールグループがお手伝い出来れば...と思っている。自分が走るために情報を集めるので、それをみなさんと共有出来れば。と。

今回のシバプリレースに参加された日本人のみなさん、外から来たみなさんの目で見たレースの感想についてお寄せいただけましたらありがたいです。

今後みなさんの意見で、レースのマネジメントが大きく改善されることは「ない」と思います。私は主催者たちのことをよく知っていますが、あれがカトマンズの状況で出来る最善で、最大の善意です。

我々が出来る事は、事前に様子を知り、準備し、自分の身を守りつつ、先進国では味わえないワイルドなレースと割り切って楽しむことだけです。このことを、参加される日本人同士を中心に、みんなで共有していきたいと願っています。

50K部門優勝者、Damodar Dudha Magar さんゴール直前、そしてゴール。立ち尽くす姿が、渋い...


50kmのゴール直後、倒れ込むランナーたち。



精根尽き果てているのに、何故か笑っている。


3月のレースでは後半、いつ自分に落雷するか分からない激しい雷雨と、トレイルを真っ白に埋め尽くすヒョウが降り積もった。天候の急変で体温を奪われ、落雷の恐怖に震えた。今回は雨期の終盤であったが終日天候に恵まれ、また、気温も適切に涼しくかつ温暖であった。

今回は行方不明者が出ず(過去のレースでとんでもない場所に迷い込んだ人も、最後には無事が確認されているが)、実に良かった。

マーキングが(これでも)3月のレースより改善されてきたと云うことだろう。いや、3月のコースより今回は尾根筋が明確で、3月より狭いエリア内をぐるっと回る、地理的に分かりやすい設定であったとも考えられる。地元ネパール人ランナーにとってゴダワリは、より土地感を発揮しやすいエリアであったとも思う。

50K部門のゴールタイムを見ると、特に外国人はいくつかのグループで走ったのでは?と感じられた。女性参加者2名のうちひとり(外国人)は、外国人男性ランナーと同一でゴールしている。共に励まし合って、互いをエスコートしたように見える。

カトマンズ近郊のような不確定要素が高い、主催者の安全管理が充分に及ばない中では、特に50Kまたはそれ以上の距離においては、走力が似通ったランナーでグループを組むことはひとつの解決策であろう。安全対策のひとつとなる。

個人のランニングスタイルや人生観に関わる問題だ...けれど。

50Kのコースでは、21km地点で車道と交差しており、リタイア者収容のための車が確保出来たそうだ。このあたりまで走ってくると、残りを安全に完了する自信ないランナーは自分で分かる。事実2名、この地点でリタイアして、車で帰宅した。これまた、コース設定がよく考えられていた。よ、ね。事前に想定してた?ねぇ、鳥人ナラン...偶然?

途中のチェックポイントでゼッケン確認が為されていなかったが、31kmの(コース最高地点)プルチョウキ山頂では、国軍による通過ランナーの数がカウントされ、大会本部に携帯電話で連絡が入っていた。プルチョウキ山頂はカトマンズ盆地の外輪山の最高地点でもある。そのため、国家的に重要な通信やテレビ放送送信タワーが設置され、常に国軍が管理・警備を行っている。大会運営者は事前に国軍の許可を受けていないと、レース自体出来ない場所である。国軍はランナーの安全管理以前の問題として、警備の観点からランナーをカウントしていたのだと思う。

ただし、数だけでゼッケンは控えていないため、誰が通過して誰がまだか?という点は、把握出来ていなかった(本部にこの点確認済み)。諸外国でのレースのように、チェックポイントでの安全管理やエイドは今後も、ネパールでは期待出来ない。ネパールでのレースに参加される方々には、「そういうものだ」と割り切って、何も期待せず、やって来てほしい。

期待して、裏切られて、「こんなのおかしい、不条理だ!」と叫んでも、助けは来ないからね!恐怖のズンドコよ!!ないものと覚悟していて、もし現場で何らかサポートがあったとしたら。それは神の恩寵。小さな奇跡だから。ね。

今回のレースでは17K/50K共に、スィーパーが1名ずついてくれた。17Kでは最後尾にいた参加者のひとり(ネパール語は出来ない外国人女性)が途中で脚を痛め、歩くことも出来なくなった。ネパール人ベテランランナーであるスィーパーさんが携帯で麓からバイクを呼んでくれ、事なきを得た。もし彼女ひとりであったら...と思うと、恐ろしい。トレッキング街道のようなロッジや茶店はないし、村人もたまにしか通りかからない道であるから。

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次回は来年1月3日に、カトマンズ盆地北側の外輪山で50kmと80kmのレースが開催される。お正月でもあり、日本から参加を計画されている方もいるかもしれない。

距離の短い27km、11kmレースも開催されるようである。普段から走り込んでいる、地図も読める自立したランナーであなら、それほど深刻な問題は起きないとは思う。ただし、普段から、神さまに嫌われないようにしておくことは必要だろう。

50kmと80kmに参加するとしたら、しっかりと準備してきてほしい。コースは分かりづらいし、エイドでのサポートも期待してはいけないし、基本的安全管理も為されない。と、覚悟しておくに越したことはない。普段日本では何も問題なく走れる距離や高度差であったとしても、精神的に非常にタフなレースになるだろう。1月のカトマンズは、夕方5時半には暗くなる。野生動物も棲む森林のトレイルでは、蛍光塗料の標識も多分、つけてはくれないと思う。

数年に一度の割合で、雨季と乾季がはっきりと分かれるネパールで普段降るはずのない「真冬の大雨、山の上の大雪」に見舞われる年末年始もあること。忘れてはいけない。レースがこれにぶつかれば、本当に悲惨だ。命の危険に直面する可能性もある。


私自身、国際基準のトレイルレースはたった一度、The North Face 100 アジアシリーズで、タイのカオヤイ国立公園の25kmに参加したことがあるだけだけれど。この時は適切過ぎるマーキングにたまげた!「これじゃあ、迷いようがないわ」「トレイルなのに、ロード以上にコース明確」で、標識やテープも分かりやすい。エイド、チップによるタイム計測、そしてお祭り騒ぎのゴール。100Kの最終ランナーが帰ってくるまで、ハイテンションで盛り上げっぱなし。すごいものだ...

ネパールでのトレイルレースは、今のところこの対極にあると云わざるを得ない。

しかし、リチャードや、鳥人ナランや、リジーの熱意とランナーに対する敬意は本物だ。ただ単に、ネパールの国情では手が回らないのだ。出来る限り、で、しかも毎回、少しずつ進歩している。我々参加者が自分の力量をシビアに考えて、参加する部門距離を選ぶ。事前の準備を怠らない。精神的に強いランナーに目覚める、貴重な機会でもある。

た・だ・し、1月3日のレース詳細も、直前にならないと分かりませんよ。多分、いつものように、レース前夜のメイルで届くのでは?

レース報告、おしまい。

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おまけ

ゴダワリでは、5kmのイェティ・ラン(雪男レース)も開催された。ごらんのように、泥んこの障害物競走。暖かな時期限定のお楽しみ。欧米の人たちって、こーゆーの、お好きですね。

みなさまは?

ネパールのトレイルレースのコース設定を考えるとき、それが 「メジャーなトレッキングコース」であるか、「地元の村を結ぶ生活道路か」によって、条件が大きく異なってくる。

エベレストやアンナプルナのトレッキング街道を走る大会においては、トレイルは明瞭。ただし分岐点にマーキングなく、コースアウトしてしまう事もある。一部の大会では、地元ランナーを勝たせるため、わざとビジターをコースアウトさせようと狙っているとしか見えない疑惑のマーキングにさえ出くわしたことがある。

しかしながら、事前のコース発表をトレッキングマップに落とし込んで読図すること。コース上の主要な村(は、トレッカー宿泊のロッジ村でもある)を出現順の一覧表を準備しておき、地元の人に尋ねながらひとつずつクリアーしていくなど、対処法もある。いろいろ様々おかしな外国人を見慣れている村の人たちは親切で、「ランナーはこっちの道を走って行ったよ」と、教えてもくれる。

問題は、地元の村の人たちだけが利用する生活道が開催されるレース。カトマンズ盆地近郊や外輪山で開催されるレースは全て、こちらの「問題むんむん」と考えて間違いない。3月の50Kレースでは前夜に降った豪雨で、マーキングがきれいさっぱり流れ落ちていたこともある。

主要な地名で「~に行くのはどっちですか?」と出会った地元の人に尋ねても、設定されたコースではなく、最短コースの道を教えられ、チェックポイントを飛ばしてしまうこともある。距離を稼ぐためわざと大回りで設定されたコースを走るなんて、地元の人にとっては想定外のお話しだから。

今回のゴダワリレースでの、コースマーキングは如何なものであったか?以下、私の見たことと感じたことを報告したい。

50K/17K両方とも10kmまでは同一のコースであり、そこで分岐する。ここで間違うと、全てが無駄になる訳で...さすがにTrailrunning Nepalが、カトマンズ近郊で主催した過去のレースには見られなかったような、立派な標識が設置されていた。

次は、17Kコースの13.2km兼50Kコース39km地点。標識はこれまた立派。であるが、チェックポイントであるが、全くチェックなし。村の茶店のおじさんが、不機嫌そうに座っていた。見ると、ミネラルウォーターとビスケットが置かれていた。勝手に食えよ...という雰囲気である。

トレッキング街道を利用したレースのチェックポイントでも、ゼッケンチェックが機能していないことの方が圧倒的に多い。だが、トレッカーをもてなすことが生業であるロッジにポイントが置かれるため、地元のみなさんは「これ食べなさい。あれ飲みなさい。大丈夫?トイレはこっちよ。しっかり補給してがんばって。気をつけて」と、お・も・て・な・し 万全であることが多い。

対してカトマンズなどの「地元の道」コースの場合、地元の空気は非常に冷たい。「オレたちが汗流して仕方なく歩いているところに、金持ちの外人やら街のヤツらが変な格好で来やがって。バカじゃねーの、こいつら」と見られている感じさえする。このあたり、ネパール語が分かってしまうので余計に辛い。

今回は大丈夫であったが(でも、いろんな噂も聞くけれど)、3月のコースなど、途中追いはぎが出ると噂の森林や、豹の生息する場所も通った。参加者が少ないため前後人影ない中を走る事も多い。途中の村で「ひとりでここから先に行くのは止めなさい」と何度も止められた。

さて、大きなサインボード以外のマーキングについても。写真見にくくて恐縮だが、棒きれにビニールのひらひらが結びつけられている。今回これが、コース上何カ所か木の枝などにくくりつけられていた。明るければ見えるが、夜間の光反射は全くない。

17Kコースはここからゴールに向けて4km程の下り(写真右下方面)に入るのだが、チェックポイントのおっちゃんは「そのまま真っ直ぐ」と、バイクの置かれている違う道を誘導した。さすがに「違うだろ!」と吼えたら、周りの人たちが「下りる道下りる道」と大声で騒いでくれた。

(雨で流れる色つきの粉という無謀だった)3月の反省から、路面や道の脇につけられたカラーマークは、ピンクのペイントスプレーが使用されていた。

17Kコース上、終盤の3ヶ所にだけあった、明確な矢印のひとつがこれ。その他は、コース横の法面に「ぽちっ」と小さく塗られていたし、それさえも少なかった。トレイルの分岐でも、カラーマークがないことも多かった。あっても、非常に見にくい。

スウィーパーを務めていた地元ベテランランナーでさえ「こりゃ、ビジターさんには分かりにくいな。困ったもんだ」と云っていた。

こんな事が毎回だから、私は腕時計型GPSの簡易マップ機能を活用している。地名や地形は表示されないが、GPSログの軌跡が分かる。

この軌跡と、自分でプリントアウトして持参するコースマップの「コースの形」が同じであることを時々確認している。

17km

ゴダワリレースでは、コースマップと衛星写真の2L版写真が配布されたが、大会サイトにあった画像の方が分かりやすい。この手の事前準備は、ネパールのトレイルレースにおいて不可欠だと思う。

つづく...
ゴダワリでのレース報告が大変遅くなったこと、お許し願いたい。ごめんなさい。レース1週間後から風邪をひき、回復した頃、今度は痛みと発熱を伴う出来物...と、絵に描いたような免疫力低下でダウンしていた。トレーニングして臨むフルマラソンの後の数倍、大変だった。ギャップ期間から急激に運動してはいけない。と云うことを身にしみた。

さて、ゴダワリではいつものリチャードと共に、半年ぶりにリジーとも再会出来た。リジーはゼッケン引き渡しなどの現場ロジ、記録レコード等を大会運営者のひとりとして仕切ってくれた。上位入賞者の記録以外、大会後の報告がぐずぐずになりがちなネパールにおいて、リジーのテクニカルなサポートは貴重だ。

今回の大会は、アスリート以外の一般ランナーに対しても、敬意と愛情が感じられた。ネパールでは、このような大会は数少ない。リジー、(ネパールトレイルランニングの伝道師)リチャード、コース設定者の鳥人ナランはじめ、大会運営者に感謝したい。

メインスポンサーは、ロシアのアウトドアブランドRed Foxである。カトマンズにもショップがあり、オーナー夫妻、イゴールとカーチャも早朝からゴダワリでランナーに声援を送ってくれた。カーチャは17K部門にランナーとしても参加していた。

今報告のレース写真は、イゴールご夫妻了承の元、Red Fox社による記録も使用させていただいていることに感謝したい。ありがとう。

レースは現地でのゼッケン引き替え後、ネパール時間朝7時40分にスタートした。定刻10分遅れであるが、平然と1時間2時間遅れるこの国においては、大変素晴らしい「オンタイム」

50K/17K併せて62名の参加者は、ネパール人、外国人半々という感じ。ゴダワリから最初の給水ポイントである5.4kmのビシャンクナラヤン。そこから稜線を上りきった10km地点コース分岐までは同じコースをとる。

ビシャンクナラヤンまでは里山の麓を、緩やかに登ったり下ったり。カトマンズ市内より200メートルほど標高も高く、風も空気も爽やかだ。

ビシャンクナラヤンでは水とバナナだけでなく、村の人たちが祝福のティカをランナーたちの額につけてくれる。ネパールらしい心遣いだ。

コース高低差
ここからは距離約5kmの間で、標高差500メートルを登る。そして稜線上を3kmほど走ったあと、再度5kmの間で、標高差500メートルを下る。と云うのが17Kのコースであった。走り終わると(コースアウトしていなかったが)、18K強の全体距離となっていた。

リチャードによれば、当初この「逆回り」コースを予定していたそうだ。砂利のジープ道路を最初に登れば、赤土の森林帯を中盤~最後まで下り基調のコース。しかし赤土の部分が雨で非常に滑りやすく、安全確保の面から逆設定に変更したとのこと。

私のGPS記録では、コースは標高1,483メートルから、最高2,134メートルの間。標高差1,272メートル。高度下降,271メートル。

体調良く、事前に走り込んでいたら、気持ち良く走れたと思う。今回は自分自身病み上がりであったため、思うように身体が動かず、非常に苦しかった。特に終盤の下りで、それ以前の地点で大腿四頭筋が終わっており、下りなのに走れないという情けなさ。

50K部門 22人参加(うち、女子2名)。20人完走。
男子1位 5:15:13 Damodar Dudha Magar
男子2位 5:27:30 Durga Raj Bhutha 
男子3位 5:36:29 Bihim Bahadur Gurung
女子1位 8:57:47 Veronica Cristina Vargas Roman
女子2位 9:32:05 Rekha gurung

17K部門 40人参加。38人完走。
男子1位 1:20:35 Bhumi Raj Rai
男子2位 1:20:45 Man Bahadur Thapa
男子3位 1:26:29 Binod Sijapati
女子1位 2:07:57 Heather Olson
女子2位 2:25:20 Saraswati Rai
女子3位 2.34:12 Ranu Lama

両部門とも男子上位3名は、ネパール勢が独占。やはり、強い!女子に関しては地元勢の層が薄いためか、外国人も入賞した。

しかし、3月のレースで突如出現し、その後ヨーロッパのレースでも女子の部優勝2回(男女総合全体でも上位)を記録した、ネパール女子トレイルランナーの彗星ミラ・ライさんのような才能は、まだまだ沢山眠っている。ここ数年で、ネパール女子トレイルランナーの世界も、大きく変わるだろう。

え?おまえのタイムは?今回、最下位でございました。お恥ずかしい。1月のレースでの復帰を目指し、しばし苦難の日々が続きそうだ。

今回は、寝たきりだった3ヶ月からの復活。完走出来るかどうか?不安な中であったためか、ゴール直後は「ぶわっ」と感情がわき出してきた。走っていることで救われた。いつものレース以上にうれしかった。しかし次回は、ちゃんと納得出来る走りでゴールして喜びたいと思う。

来年1月3日のカトマンズ50/50ウルトラの前哨戦として、ゴダワリのレースを日本のみなさんに報告をする。という目的がなかったら。出走登録さえ出来なかったと思う今回。このブログを見て下さる方々にも、御礼申し上げたい。ありがとうございました。

さて次回は、問題の(?)、コースマーキングやエイド状況について報告したい。1月のレース状況を予測するためにも、ひとつの資料となるだろう。私が見た18キロの間、何があって/何が欠落していたか?正直な感想を述べたい。 

つづく...
レースマネジメントは、ネパールが誇るトレラン・チーム Trail Running Nepal の総裁、英国人のリチャード・ブル。ブルはBull。雄牛。多分、本名。大雑把であるが、心が温かなナイスガイだ。

今回のコース設定はネパール極西部ジュムラ出身で、現在ゴダワリに住む(棲む?)ネパール人おっさんランナー、ナラヤン。猛禽類のような顔つきと、楊枝のような体型のナラヤンが山道を走る時。それは人間が走るのではなく、鳥が飛んでいるようにしか見えない。私は彼を畏敬し、超人/鳥人・ナラン!と呼んでいる。見た目は恐いが、これまたイイ奴。噛めば噛むほど味の出るスルメのような友人。

さてさて、Trail Running Nepalが主催するレースの詳細内容は、レース前夜にメイルで届く。事前には大雑把な情報だけが掲載されたウエブサイトがあり、ここからオンラインでレジストレーションをする。当日早朝、レース会場で登録出来ることも多い。

コースの詳細は?エイドの状況は?安全対策は?などと心配しても始まらない。前日、日が暮れた頃になってメイルでぽん!なのだ。私も以前はずいぶん心配してリチャードに電話したりしたが、ま、仕方ない。毎回こうなので、今や諦観の境地である。

今回も前夜のメイル。街中からスタート地点までのシャトルバス経路と時間は明確に分かった。だって私、在住者だもん。街中の地理感バッチリ。今回のためにやってきた外国人には、多少不安感残ってたかも知れないが...

問題のコース地図。

17km

自分が出走する17kmコースについては、多分大丈夫。それ程複雑には見えない。コース上で村が出てくる部分にはトレイルの分岐多くて迷うだろうが、これまた心配しても仕方ない。マーキングがあることを祈ろう。ネパールのレースでマーキングを見つけられることは、神による恩寵である、と、その程度の期待に止めよう。じゃないと、現場で絶望のズンドコよ!

参考に、50kmはどんなかな?コース全体図(クリックでリンク表示)
修正: 2014.10.01 NST 19:51 レースマップ表示リンク、貼り替え

これ見て、レース初盤と終盤/最終盤のコース取り、理解出来ましたか?難しいですよね。ということで、拡大図がこちら...

50km拡大

39kmからつづら折りを下ってゴール近くにおりてから、無慈悲にも再度目の前の稜線まで登らされ。向こうに下りて、レース初盤に走ったコースを逆に取り。ゴールのすぐ横まで来て、更に近郊をぐるりとひとまわり。ジャンバルジャンも嘆き悲しむ「レ・ミゼラブル」なレース終盤の設定。どんだけマゾなの?ボンデージ女王さま呼んであげようか?

わたしゃ現場で、50km参加者がゾンビのごとくふらふら走ってるコース取りを見て、はじめて理解出来たよ、これ。

一般的に、外国人トレッカー向けのコースを走るアンナプルナやエベレストのレースより、カトマンズ外輪山の方が過酷と云える。トレイルは山の中の村々を結ぶ生活歩道。傾斜が急で過酷でも、最短距離で結ぶことを前提に作られている。トレッカーのために、出来るだけ緩い傾斜がとられるトレッキングルートとはコンセプトが違うのだ。トレッキングコースのように、30分ごとにロッジや茶店が出てくることもない。

人の気配薄い、豹も棲む森の中を行く。参加者少ないレースであれば、自分の前後に他のランナーの気配さえしない孤独を覚悟しよう。ランニングの心肺機能とは別の意味で、心臓バコバコになる体験も味わえる。ななな、なんて強烈な。

レースはまだ、始まってもいないのに。こんなにも胸が高鳴って。

つづく...

先週末9月27日(土)、カトマンズ盆地の郊外南端にある景勝地、ゴダワリでトレイルランニング・レースが開催された。
Red Fox Godavari 50K/17K 公式サイト

首都圏で開催されるトレイルレースとしては、3月のHimalayan Outdoor Festivalから、半年ぶりのことである。この間、カトマンズは雨期のため、レース開催には困難と危険性が伴う...という状況も関係する。雨期もそろそろ終焉。秋~冬のランニングシーズン突入を告げるイベントとなった。



今回、自分自身は病み上がり、ランニング再開したばかりと云うことで50Kは全く無理。17kmコースに申し込んだ。正直なところレース直前まで、完走出来るか?確信が持てずにいた。

しかし、多少(かなり)の無理は承知で、病で弱った「心」を復活させるために、蛮勇を奮うことにした。加えて、3月のレースでは安全管理のレベルで問題を感じたTrail Running Nepalチームの大会運営やコース設定・マーキングがどのように変化したか?来年1月3日のKathmandu 50/50(確立半々ではなく...50km/50mile)への日本人ランナー参加希望の声を受け、状況確認でもある。

これからぽつぽつと、レース報告を書きたい。書いてもいいかな?