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希望が未来への力

どうしても自分を変えたい!

でも、変わらないんです……

どうしたらよいのか???

そんな方々にぴったりのブログです!!

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あの人を忘れて、いつもの喫茶店で働く日々。

突然、電話のコール音が鳴る。

刑務所からの電話だった。彼はもう他界してこの世にはいないことを告げられた。


そんなこと、私に何が関係あるというの?

彼が亡くなる前に、貴女宛に書いた手紙を預かっていたという。


私の心の中ではもう彼に対しての感情は、もう終わったと思っていたはずなのに、足先は刑務所へと急いでいた。


受け取った手紙に書かれていたのは、私の前から消えることになったいきさつと娘のこと。そして、私への変わらぬ愛が書かれていた。

あの日、彼女を助けたときに男達のひとりを殺してしまったこと。殺人犯になった彼は家に戻るわけにはいかず。そして、逃げている時に、娘を…  

その女性は娘を産んで、すぐに病死してしまったこと。


私は、彼に対する愛情が再燃するのを止めることは出来なかった。

しかし、その彼はもうこの世にはいないのだ。


さようなら、私の愛しすぎた人…


「償いのピエロ」より

「おい、奴の状態はどうだ?」

刑務官に問いかける。

「はい、医者からはもう長くないとのことです」

「そう言えば、奴には施設に預けられた娘がいたはずだな。せめて、最後に娘と過ごす時間を作ってやれ…」


あれから2年、30歳の私はあの人を忘れるように、久しぶりに新宿の夜を歩いていた。

ここは色々な人生が色濃く刻まれたところ。

吐き出す孤独が新宿の雑踏の中で消えていく。


行き交う人混みの中に、見覚えがある背中が見えた。

あの背中は、まさか!あの人なの?

公園に向かう彼を追う。彼は小さな女の子を連れている。

嬉しそうな笑顔で二人が楽しそうに公園を歩いている姿。


私は、あの時見た光景が事実だったことを受け入れるには、衝撃が大きすぎて目をそらさずにはいられなかった。

こんなことって…   どうして…

子供がいたら三人で楽しい時間を過ごせたはずの未来が脳裏を駆け巡ると、いつの間にか頬に涙が…


さようなら私が愛した幻…


「悲しみのピエロ」より

あの人が突然、私の前から消えてから、もう5年も経過している。

どこに行ったのよ? 何があったのよ?

そんなことを自問自答しながら、彼を待っていた。


ある日、新宿を歩いていると、あの人によく似た男性が見えた。

まさか、あの人なの? そう思った瞬間、思いがけない光景に凍りついた。小さな女の子を連れて歩いている。

年齢は3歳ぐらいだろうか。それは彼を愛した紫牡丹にとって、信じられない光景である。

これが嘘であって欲しい。

さらに、私を悲劇の淵に落としたのは、サイレンの音と共に現れた警官に、目の前で手錠をかれられた彼が連れて行かれたこと。


私が愛し続けた彼が、私の前から消えていく…


何度、私は彼を忘れようとしただろうか。

彼を忘れなければ前に進めないことを知りながら。

彼との日々を、恨んで、憎んで、

それでも、私は彼を忘れることは出来ない…


「罪深きピエロ」より