希望が未来への力 -29ページ目

希望が未来への力

どうしても自分を変えたい!

でも、変わらないんです……

どうしたらよいのか???

そんな方々にぴったりのブログです!!

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第9話「交錯する記憶」

 

――U.C.0127年5月14日 地球連邦領外宙域・サンクチュアリ

 深宇宙の闇に浮かぶ白い巨体――オルビタル・フレイムが、静かにその稼働を止めていた。カイ・アルバレストはコクピットの中で深く息を吐き、今しがた交わされた会話の余韻に呑まれていた。

「……あれが、シャア・アズナブル……なのか?」

 アストラル・シャア。  フレイムレイスの中で共鳴した“記憶”と、“声”。そして見せられた、ニュータイプの殻すら突き破る超常的な映像群。

 目に焼き付いて離れないのは、赤い彗星と呼ばれた男が最後に放った言葉だった。

『俺は亡霊などではない。お前たちが“進化”を諦めた代償、その象徴だ』

 声が、血のように熱く脳を焼いた。

 艦隊では緊急会議が開かれ、リアンは隔離処置を受けていた。フレイムレイスの特異な“覚醒”現象により、彼女の人格構造が一時的に崩壊していたと判断されたのだ。

「お前が見たもの……それは、誰にも予測できなかった“情報災害”だ」  ブライス司令の言葉が重く響く。

 そのとき、カイの胸に響いた声がある。

 ──呼んでいる。誰かが、俺の中の“記憶”を求めている。

 彼は意識の底にある、無数の他者の記憶にアクセスを始めた。

 それは、自分ではない誰かの戦闘記録。  それは、フレイムレイスに蓄積されたパイロットの意識残滓。  そして──シャアの遺伝的思考モデル。

 その中に、見覚えのない少女の記憶があった。

 ──ノア。

 どこかで聞いた名だった。だが、脳が拒絶反応を起こすような、切断された過去の断片。

「君は……誰なんだ……?」

 その瞬間、全身に電撃が走るような苦痛。  カイは膝をつき、虚空に浮かぶ記憶の断片を掴もうと手を伸ばした。

 そして見た。    U.C.0105、ダイクン派残党と連邦情報局の裏交渉。  U.C.0113、ルオ商会とVIST財団の衝突。  U.C.0120、プロトコル・ラグナロク、第一段階発動。

 そのすべてに、赤い仮面の男が関わっていた。

 いや。

 赤い仮面の“複数の男たち”がいた。

 ──アストラル・シャアは、単一人格ではない?

 その謎が確信に変わる直前、艦に警報が鳴り響いた。

「未確認艦隊、座標72-Σより接近! これは……AEF所属コードじゃありません!」

 ブリッジに緊張が走る。

「識別コード確認。艦名……レヴィアタン・セル……」

 その名に、艦内の空気が凍った。

 それは“計画の番人”。  プロトコル・ラグナロクの守護者を名乗る、正体不明の外郭艦隊だった。

 フレイムレイス、再出撃。

 カイは、目を閉じて呟いた。

「記憶に囚われるな……未来を選べ、俺」

 その声に応じるように、機体の瞳が赤く輝く。    そして、新たなる戦いが、始まった。

 

――U.C.0127年5月14日 地球連邦領外宙域・サンクチュアリ

 深宇宙の闇に浮かぶ白い巨体――オルビタル・フレイムが、静かにその稼働を止めていた。カイ・アルバレストはコクピットの中で深く息を吐き、今しがた交わされた会話の余韻に呑まれていた。

「……あれが、シャア・アズナブル……なのか?」

 アストラル・シャア。  フレイムレイスの中で共鳴した“記憶”と、“声”。そして見せられた、ニュータイプの殻すら突き破る超常的な映像群。

 目に焼き付いて離れないのは、赤い彗星と呼ばれた男が最後に放った言葉だった。

『俺は亡霊などではない。お前たちが“進化”を諦めた代償、その象徴だ』

 声が、血のように熱く脳を焼いた。

 艦隊では緊急会議が開かれ、リアンは隔離処置を受けていた。フレイムレイスの特異な“覚醒”現象により、彼女の人格構造が一時的に崩壊していたと判断されたのだ。

「お前が見たもの……それは、誰にも予測できなかった“情報災害”だ」  ブライス司令の言葉が重く響く。

 そのとき、カイの胸に響いた声がある。

 ──呼んでいる。誰かが、俺の中の“記憶”を求めている。

 彼は意識の底にある、無数の他者の記憶にアクセスを始めた。

 それは、自分ではない誰かの戦闘記録。  それは、フレイムレイスに蓄積されたパイロットの意識残滓。  そして──シャアの遺伝的思考モデル。

 その中に、見覚えのない少女の記憶があった。

 ──ノア。

 どこかで聞いた名だった。だが、脳が拒絶反応を起こすような、切断された過去の断片。

「君は……誰なんだ……?」

 その瞬間、全身に電撃が走るような苦痛。  カイは膝をつき、虚空に浮かぶ記憶の断片を掴もうと手を伸ばした。

 そして見た。    U.C.0105、ダイクン派残党と連邦情報局の裏交渉。  U.C.0113、ルオ商会とVIST財団の衝突。  U.C.0120、プロトコル・ラグナロク、第一段階発動。

 そのすべてに、赤い仮面の男が関わっていた。

 いや。

 赤い仮面の“複数の男たち”がいた。

 ──アストラル・シャアは、単一人格ではない?

 その謎が確信に変わる直前、艦に警報が鳴り響いた。

「未確認艦隊、座標72-Σより接近! これは……AEF所属コードじゃありません!」

 ブリッジに緊張が走る。

「識別コード確認。艦名……レヴィアタン・セル……」

 その名に、艦内の空気が凍った。

 それは“計画の番人”。  プロトコル・ラグナロクの守護者を名乗る、正体不明の外郭艦隊だった。

 艦載システムに不正侵入の兆候が現れ、電子戦が開始される。

「来る……!」

 宙域に無数の光条が走った。  レヴィアタン・セルのドローン群が、サンクチュアリを囲むように展開し、波状攻撃を開始する。

「全艦、迎撃態勢! モビルスーツ隊、即応出撃!」

 カイの乗るフレイムレイスがドックから射出される。

 だが、敵は従来の戦術を超えていた。複雑に変化する波動干渉兵器、進化型ファンネル、そしてパイロットの意識を撹乱する“幻影型ニューラルジャマー”。

「何だ……意識が……引きずられる!?」

 戦場に、もう一つの“記憶領域”が開かれていく。  そこにいたのは、ノアと名乗る少女。

『あなたが、カイ・アルバレスト……私を“消した”人』

「……俺が?」

 過去の断片が、ノアの視点で流れ込んでくる。  研究施設、ニュータイプ適性試験、人格融合計画。そして、最後に“プロトコル・ラグナロク”と名付けられた兵器制御AIとの同調失敗。

 ノアはそのとき、確かにフレイムレイスと繋がっていた。

『あなたは私の“器”を奪った。今度は……私があなたを乗っ取る』

 幻影の中で、ノアの瞳が真紅に輝く。

 そのとき、戦線後方から閃光が走る。

「リアン!?」

 隔離されていたはずのリアン・グラハムが、自機レーヴァティンと共に突撃してきた。

「どいて、カイ。今度は、私が“彼女”を引き受ける」

 リアンの目にも、微かにノアと同じ色が浮かんでいた。

 ふたりの少女。  一方は記憶の中に棄てられた者。  一方は、その記憶と共に生きることを選んだ者。

 そして戦場は、ふたつの“意志”を交錯させながら、最終局面へと向かっていった。

 

第8話「再臨の紅」 

 

U.C.0125年9月6日 09:42(LST)/月面 軌道高度110km 軍事衛星《シグナス》

真っ白な空間の中、警報が無数に鳴り響いていた。

「未確認機影、中央セクターより上昇中!Iフィールド干渉が強すぎて、レーダー捕捉が——!」

「ダミーじゃない、熱源が実在する! こいつ……まるで、生きてるみたいに動いてやがる!」

衛星《シグナス》のオペレータたちは、ただディスプレイの中央に浮かぶ異形を見つめるしかなかった。
黄金に輝くフレーム、拡散されるサイコミュ波、そして“赤い”モノアイ。
機体の背から展開された四枚のウィングが、まるで意思を持つかのように周囲を舞っている。

「接近コース、こちらに向かって——」

「——これは“模倣”ではない。人類の未来の、選定だ」

その声は通信ではない。
“直接”頭に響く、脳へのサイコウェーブ。

「精神汚染!? この波長……ニュータイプすら拒絶してる……!」

黄金の機体は、無言のまま《シグナス》に突入した。
まるで、過去のあらゆる戦場を“再現”するかのように。

 
U.C.0125年9月6日 11:00(LST)/月面 第9戦域・サンクチュアリ前線宙域 フレイムレイス格納庫内

「起動確認、エネルギー充填率80%。全サイコミュチャネル……ノイズゼロ」

カイ・ヴァルハラは、座席に深く沈みながら、手の中のコントロール・キーを見つめていた。

その横で、リアンが彼の脳波グラフを覗き込む。

「緊張してる。わかるよ、今度の相手は……もう、“人”じゃない」

「それでも、やるしかない。
こいつが本当に“シャア”の模倣なら……俺たちの戦いの意味を、試してくる」

フレイムレイス。
νガンダムの系譜を継ぐこの機体は、これまでにないほど深く、カイの感情に同調していた。
ときに怒り、ときに焦燥、ときに、ただ“孤独”と共鳴するように。

「出るぞ、リアン。
今度は……俺が、あの亡霊を終わらせる」

 
U.C.0125年9月6日 11:42(LST)/月軌道戦域上層宙域

閃光が交錯する。

フレイムレイスのサイコ・ヴァリアントが展開し、次々とアストラル・シャアのドラグーン・バーストと激突する。
そのたびに、空間が裂けるような軌跡を描き、見えない炎が広がる。

「なんて反応速度だ……! 完全に“見切られてる”……!」

カイが息を飲む。
アストラル・シャアの動きは、もはや常識の範囲外だった。
その回避パターン、ファンネルの変則的な誘導、予測不能な間合いの変化——
まるで「アムロ・レイとシャア・アズナブル」の戦闘ログを同時に再生しているかのような動きだ。

『お前たちの未来に、“選択肢”はない』
『進化するべきは、人間ではなく、意思だ』

通信回線が開かれ、黄金の機体が“喋る”。
いや、喋っているのはAIでもプログラムでもない。
そこには、明確な意思があった。
まるで、シャア本人が自らの“遺志”を再演しているように——

 
U.C.0125年9月6日 12:00(LST)/地球連邦 特別観測室(ラサ)

「本当に、あれが……“再構成されたシャア”なのか……?」

高官たちは呆然としながら、遠隔視認ログに映るアストラル・シャアの戦闘映像を凝視していた。
各地の観測所からの報告では、彼の周囲に散る無数の残存サイコミュ波が、既知の全ニュータイプに精神干渉を起こしていると記録されている。

「奴は“人類の進化”を試している。
勝てなければ、その未来を否定するつもりだ」

そしてその試練に、カイ・ヴァルハラは——

 
U.C.0125年9月6日 12:04(LST)/戦場宙域:接触限界距離

フレイムレイスが、全バーニアを噴かして加速する。
前方から迫るアストラル・シャアの黄金機が、静かに“それ”を迎え撃つ。

「この一撃に、俺のすべてを乗せる!」
「――ッ、リアン、リンク出力最大! オーバーレゾナンス解放!」

フレイムレイスの全身に赤いサイコ光が広がる。
その瞬間、背面のヴァリアント・スラスターが展開され、無数の光翼が広がった。

“全人格共振モード:フレイムコード・ゼロ”

「来い、亡霊……! 俺たちの“今”で、未来を殴り飛ばす!」

 

――宇宙世紀0127年9月6日 15:42(地球標準時) ――月面サンクチュアリ・第4深部層『旧・神経中継フレーム』

薄闇に包まれた広大な格納域。天井のパネルに埋め込まれた有機ELがちらつき、冷たい光を撒き散らしている。

中心に浮かぶ謎のモビルスーツ。その装甲表面は艶消しの黒に、神経回路のような赤いラインが走る。

「――プロトコル・ラグナロクの中枢構造体……!」

カイが息を呑んだ。

そのモビルスーツは、どこか既視感のあるシルエットを持っていた。背部に配置された複合スラスター。左右に広がる有機的なバインダー。赤く光る単眼。

「……まさか、サザビー?」

リアンが呟く。

それは、シャア・アズナブルの愛機を思わせる輪郭を持っていた。 しかし、そこに宿る気配はもはや人のものではない。

「これは……意識情報の残滓。ニュータイプとしてのシャアの“精神構造”だけを抽出・複製し、兵器の統括AIとして再構築した存在だ」

その声は、格納域に備え付けられた残響装置から響いた。

かつてAEFの開発主任であり、プロトコル・ラグナロクの技術顧問を務めていたドクター・ハール。彼の意識データが、警告のように語りかけてくる。

「シャアは生きてはいない。だが――彼の“亡霊”はこの構造体に宿っている」

カイの心が軋む。

過去が、亡霊として現代に牙を剥く。

そのとき――

《システム、臨界を突破。構造体ゼノス・アーク、起動します》

真紅の閃光と共に、サザビーの意匠を纏う新型機が目を覚ました。

その名は――ゼノス・アーク

脳内に直接響くような残響が、全員の神経を揺らした。

『また会ったな、アムロ。……いや、“その継承者”よ』

その声は、確かにシャア・アズナブルのものだった。

「戦闘態勢に移行!」

リアンが即座に号令をかけ、オペレーターユニットが一斉に展開。 カイはフレイムレイスへ飛び乗る。

「このままじゃ、過去に未来を殺される!」

《F.L.A.M.E. モード、セラフィック・プロトコル展開》

胸部装甲が開き、内蔵された赤紫の結晶体が展開。 全身の装甲ラインが黄金に発光し、複数のファンネル・ヴァリアントが光の尾を引いて周囲に散る。

「全人格解放モード――フルリベレーション、起動!」

――“変化”が起きた。

フレイムレイスの全身から、微細なエネルギー粒子が溢れ出す。ニュータイプにしか知覚できない、奇跡のような空間。

ゼノス・アークが応じる。

『ならば、選別の儀を始めよう。未来に値する者かどうか――貴様が試される番だ』

格納域が戦場と化した。

ファンネル・ヴァリアントと、ゼノス・アークのドラグーン・バーストが火花を散らしながら交錯する。

リアンの機体も突入し、カイと連携してゼノスに迫る。

「シャアの記憶が、ただの模倣なら……!」 「俺たちの意志で、上書きするしかないだろ!」

交錯する未来と過去。

全人格解放されたカイは、ゼノスのサイコフレーム干渉に自らの“想い”をぶつける。

その瞬間――

彼の脳裏に、幻のように浮かび上がる情景。

……赤い彗星が、金色の機体と対峙していた。崩壊するアクシズ。星の揺らぎ。そして、最後の光。

「お前……本当に、まだそこにいるのか」

ゼノス・アークが揺らぐ。システムに予期せぬ干渉が走る。

『この記憶は……想定外だ……まさか、彼の残滓が……』

カイの意識が、ゼノス・アークの中枢に接続されていた。

そこにあったのは、確かに“シャア・アズナブル”の声だった。

だが、それは断片であり、コピーであり――それでもなお、強烈な意志を持っていた。

『人の革新とは、単に力ではない。思考の蓄積だ。お前がそれを受け継ぐのなら……』

ゼノス・アークのシステムが崩壊を始める。

「撤退するぞ、カイ!」

リアンの声が響く。

全身を覆うノイズの中、カイは残された言葉を脳裏に刻む。

――『未来は、過去を越えるとき、ようやく本当の意志を持つ』

そして彼らは、ゼノス崩壊の爆発を背に、サンクチュアリを脱出する。

だが、この戦いは終わりではなかった。

サンクチュアリの最深部で、眠っていた“第三のプログラム”が、ゆっくりと起動を始めていた。

第7話「アストラルの亡霊」 

 

U.C.0125年9月5日 14:20(LST)/地球連邦軍・月面オセアニア前哨基地 軌道医療施設区画

「——で、意識が戻ったのは?」

モニターに映るカイの表情は、疲労を隠しきれていなかった。
だが、その声には確かな熱がこもっていた。
彼の正面、医療ベッドに横たわる少女が、ゆっくりとまぶたを上げる。

「……さっき……あなたの声が、聞こえて……気づいたら……ここに」

リアン・クロフォード。
あの《ゼノス・アーク》の中枢AIと融合していた少女が、奇跡的に肉体と精神を分離され、生還していた。
しかし彼女の脳内には、今なお“共鳴”の残響が残っている。

「リアン。お前の中に、まだ“あれ”が残っているとしたら……」

「——うん。私の意識と、もう一人の“私”。まだ分かれていない」

リアンの言葉に、医師や観測士たちが静かに視線を交わす。
彼女の中にあるのは、《ゼロ=アーキタイプ》計画のコア情報——
すなわち“プロトコル・ラグナロク”そのものだ。

「だが、あれはもう……止まったんだろ?」

カイの問いに、リアンは首を振る。

「止めたのは、暴走したゼノスの一端。
でも、あの施設の最奥に……もう一つの“機構”があった。
まだ、起動していない。だけど、存在している」

そのときだった。
通信室の端末が、緊急チャネルを割り込んできた。

【月面セクターE-94、旧連邦研究ドーム“ノア・ファクトリー”にて熱源反応】
【未確認機体:機種不明・黄金色・Iフィールド干渉あり・識別不能】

その瞬間、リアンの脳裏に直接、誰かの声が届く。

『——リアン・クロフォード。人の手で未来を壊すな。』
『これは“進化”ではない。“審判”だ』

「……誰?」

リアンが呟く。

カイがモニターに映る熱源分布図を見る。
そこに浮かび上がるのは、かつて戦場にその影だけが記録されていた機体。

「金色……赤いセンサー……まさか……!」

その名を、かつて連邦もネオ・ジオンも封印した機体。

コードネーム:アストラル・シャア

彼の思念と、廃棄されたAIの融合体。
あるいはそれは、シャア・アズナブルの“もしも”の人格写像。
未完成の人類補完機構を、シャアが破棄する直前に分岐したもうひとつの存在。

U.C.0125年9月5日 15:48(LST)/月面旧区域・ノア・ファクトリー跡地下40層

霧のような熱を纏いながら、金色のMSが沈黙の中で歩みを進めていた。
機体名は《アストラル・シャア》。
その中枢には、実際のシャア・アズナブルから抽出された戦術データと、推定人格演算体が格納されている。

だが、それはもはや“記録”ではなかった。
その思考は進化を始め、今や自己判断による活動を開始していた。

『もしも、私が“人類の導き手”として生き延びていたら?』

『その仮定を実行せよ——“模倣としての救世主計画”、始動』

アストラル・シャアが背部を展開。
そこから現れる、四枚の浮遊ウィングと多重構造のブースター。
その姿は、かつての《サザビー》と《ナイチンゲール》を合わせたような異形。

「起動ログ確認……次の標的:フレイムレイス

U.C.0125年9月6日 06:30(LST)/地球連邦本部・ラサ 監察室

高官たちは唖然としていた。
復元された戦闘ログ、感応波の測定結果、そして——
最新鋭機《アストラル・シャア》の存在。

「馬鹿な。あの計画は、シャアの死とともに凍結されたはず……!」

「違う。あれは“残されていた”んだ。
シャア自身が未来の誰かのために、最後の“拒絶”として」

「ならば、なぜ今、動き出した?」

会議室の空気が凍りつく。

「それを呼び起こしたのは……カイ・ヴァルハラと、リアン・クロフォード……つまり《フレイムレイス》に搭載されたプロトコル・ラグナロクの一部だ」

誰かが口にする。

「“神”が目覚めたんだよ……再び、この世界を裁くために」