希望が未来への力 -24ページ目

希望が未来への力

どうしても自分を変えたい!

でも、変わらないんです……

どうしたらよいのか???

そんな方々にぴったりのブログです!!

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第8話 脅迫の回線 

 

夜の成田第2ターミナル。
出発ロビーの片隅、成瀬と加瀬は小型の暗号化端末を覗き込んでいた。
画面には、英語とロシア語が入り混じる短文が次々と流れる。
送信元は不明――だが、内容は彼らの行動を逐一把握しているとしか思えないものだった。

 
《貨物エリアでの録画データを持っている》

《この情報を公にされたくなければ、明朝0600時までに羽田へ移動しろ》
《拒否すれば、日本警察・FSB・CIAが同時にお前らを追う》

 

「……どっから漏れてんだよ、これ」

成瀬の声は震えていた。

「どこからじゃない、最初から“見せられてた”んだ」
加瀬が端末を閉じる。その口調は静かだが、目だけは鋭く光っている。
「オルロフもシロフも、同じ命令系統にいる。俺たちは、その両方に挟まれた“証人”ってわけだ」

 

ロビーの向こうで外国人客が談笑している。

だが成瀬の耳には、背後から近づくブーツ音だけがやけに響いた。
黒いジャケットの男が、二人の脇に腰を下ろす。
無言で置かれた封筒には、羽田行きの搭乗券と現金が入っていた。

 

「プーチンは細かい指示はしない。ただ、必要な時に必要な人間を動かす」

男は低く呟き、去っていく。
「お前らは今、その“必要”に入っただけだ。価値があるうちは、生かしておく」

 

成瀬は額の汗を拭った。

「なぁ……これって、俺たちもう逃げ道ないよな」

加瀬は短く頷く。
「逃げ道? あるさ。生き延びることを諦めなければ、な

第7話 「二つの影」

 

成田空港の貨物エリア、夜。
雨上がりのアスファルトに照明が滲み、フォークリフトが低い唸りを上げて動いている。
その一角に、二つの黒塗りSUVが向かい合うように止まっていた。

 

「シロフ、久しいな」

車から降りた長身の男が、わざとらしくロシア語で声をかける。肩には派手な刺繍入りのジャケット。彼こそ東方マフィア系の“表”の顔を持つオルロフ派の幹部だ。

「お前の顔は二度と見たくなかったがな、オルロフ」
低く返すシロフ。軍隊上がりの鋭い眼光が、夜でも光を帯びている。

 

数メートル離れた貨物の影から、成瀬が小声で呟いた。

「……マジで殺し合い始めそうな雰囲気だな」

横で息を潜める加瀬は首を振った。
「違う、あれは“芝居”だ。撃つならもう撃ってる。ほら、互いに腰の位置が微妙に空いてる」

 

「で、例の物は?」

オルロフが片手を出す。

シロフは黒いケースを放るように渡す。その一瞬、ケースのロック番号を告げる声は、外部の者には聞こえないほど低かった。
成瀬は唇を噛む。
「……今、番号を渡した? あいつら、敵同士のはずじゃ……」

 

「プーチンは我々に無駄な争いを望まん」

シロフが短く告げる。

オルロフは薄く笑い、ケースを開けもせず後部座席に放り込む。
「互いの役割は分かっている。俺たちは“見せる”、お前たちは“隠す”」

その言葉に、加瀬の目が鋭くなる。
「……おい、聞いたか? これ、完全に同じ雇い主だぞ」

 

SUVが二台、全く同じタイミングでエンジンをかける。

そして異なる方向に走り去るが、テールランプが同じメーカー・同じ型式のものだと成瀬は気づく。
「……二つの影、同じ根っこか」

雨に濡れた貨物エリアに、二人の足音だけが残った。

 

第6話 「消される航跡」 

 

管制室の非常灯が赤から白に切り替わる。
直後、壁一面のモニターに、航空路図と便名が次々と書き換えられていった。

「何をしてる……?」ジェシカが低く問いかける。

男はキーボードに軽く触れながら答える。
「今この瞬間、君たちの存在が運航記録から削除されている。パスポート情報も、宿泊履歴もだ」

村田の端末が震える。画面には空港保安局からのメール。
《滞在記録不一致。身元確認のため、至急拘束せよ》

「……本気でやるつもりか」

「もう始まっている」男はモニターを指差した。
そこにはUA777の航跡が表示されている。だが──
「航跡が……消えてる?」チャンの声が震える。

 

男は微笑んだ。

「FlightControl:Ghostの力は、機体を操縦することではない。存在を地図から消すことだ」

「なぜそんなことを?」ハリスが食い下がる。

「空は渋滞している。経済は滞っている。だから我々は必要のない便を“再配置”する。
 そして……必要のない人間も」

その一言に、場の空気が凍りつく。

 

ジェシカはポケットの衛星通信端末を握る。

だが、画面は「No Signal」。
男が前に出て言う。
「通信衛星も、私の友人たちの管理下だ。君たちの声は、もう外には届かない」

村田が低く呟く。
「詰んだな……」

「いや」ジェシカが男を睨む。
「あなたは今、“自分が黒幕だ”と宣言した。それ、録音してる人がいるとしたら?」

一瞬、男の手が止まった。

 

背後の廊下から、何者かが近づいてくる足音が聞こえてくる。

だが、それが味方か敵かは分からない。