目の前の奴の屍の前で、私は犯した過ちの重さを感じていた。
その時、陰から鋭い眼光と共に現れたのは、奴の娘、そうあの時の女だった。
よくも、私の父を...
彼女の眼には、怒りと同時に涙も頬をつたっていた。
私だって、ずっと今まで同じ気持ちだったのよ…
でも、それは声に出せない叫びだった。
目の前で見た彼女の方が残酷なはず。
私は彼女の怒りに抵抗することは出来なかった。
身体に受ける痛みと共に、祖父が愛し続けた女性と、彼の娘である亡き母への思いが書かれた文字を思い出している。
そうよ、母はこんなに愛されて生きてきたのよ。私は、そんな母を殺した者に復讐することだけが生きる希望だったの。
でも、復讐は新たな復讐を呼ぶだけなのね…
黒百合の身体が、新宿の闇に散っていく…
「散華の黒百合」「黒百合よ、永遠に…」より