【長編小説】蒼い稲妻 -第10話- | 希望が未来への力

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「貴様には聞きたいことがある。なぜ、あの日突然姿を消したのだ?」

「あの日のことか…。理由は貴様と戦いたくないだけだ」

「ふっ、戯言を…。まさか、俺を恐れているわけではあるまい」

「ザフィネス、貴様は王の護衛隊として仕えている間、何も気付かなかったのか?」

「どういうことだ? 何か知っているのか?」

「その前にひとつ聞いておきたい。貴様はアイザンバーを占領して何をしたいのだ?」

「異世界の技術を取り入れ、民が楽に暮らせる未来を創りたいだけだ。王はそれを受け入れなかった。だから、武力行使に出たまでだ」

「本当にそれだけだというのか?」

「くどいぞ!! それ以外に何があるというのだ!」

 バジュアはザフィネスの眼を心情を読み取るかの如く見つめた後、自軍の兵に向かって叫んだ。

「たった今、この時をもって我が軍はルーディア軍に対して停戦する!」

静まり返っていた両軍が騒然となった。

「どういうことだ? バジュア」

「お互いの敵は違うということだ」

ザフィネスは理解したという表情で頷くと自軍の兵に向かって叫んだ。

「たった今、この時をもって我が軍はアイザンバー軍に対して停戦する! ドアル! 兵を連れて直ちに戻れ!」

ドアルは狐につままれたような顔をして見ていたが、我に返ると自軍に向かって叫んだ。

「総員、退却!」

アイザンバーの兵達も退却していった。

「ザフィネス、連れて行きたいところがある。俺と共に来るか?」

「貴様が俺を誘うとは珍しい。だが、貴様のことだ。何かあるのだろう」

それだけいうと、ザフィネスは彼の後についていった。



 エレン達は保安局で取り調べを受けていた。

「一体、貴様らは敵軍の荷物から何を盗ったんだ?」

美咲が説明するが、彼女の言葉は通じない。

「何だ? こいつは異世界の人間か? ん? それは敵軍のレシーバーだな!」

「そうじゃ。実はのう、その子の言葉を解読できるかもしれんのじゃよ。敵軍でそういうものを解読できるものを作ったと噂で聞いておるからのう」

「なるほど。だが、そんな敵軍の製品の使用など許可できるとでも思うのか!」

保安局の男はそのレシーバーを床に叩きつけ、足で踏みつけると、粉々に砕けて部品が飛び散った。さすがにこうなっては修復は無理である。

「あっ…!」

エレンの口から漏れた。

「貴様らはこれからゾルアにある刑務所に収監されることになる。出発は二時間後だ。覚悟しておけ!」

それだけ言うと、それぞれ個別の留置所の中に入れられた。美咲は泣いている。刑務所に入れられるから泣いているのではない。エレン達と会話ができる手立てを失ったからだ。

(優子、私、どうしたらいいの? 教えて…)

しかし、その胸のうちを知るものは近くにはいない。



 私は美咲の父、龍司にステーキをごちそうになった後、コーヒーショップで美咲についての話をしていた。

「…というわけでよ。やっぱり、原因不明のウイルスに感染して高熱を出していることにした方がいいかもしれねぇな」

「そうね。診断書について言われたら、原因がはっきりするまで書けないと言われたとでも言っておくのが一番だと思うよ」

 龍司は安心したのか、大きなため息をつくと残り少ないコーヒーを一気に飲み干した。

「そうだな。それじゃあ、優子を送っていくか!」

店を出て龍司の車に乗ると優子の家に向かって走らせた。そこから約十分ほどで到着した。大通りに面したマンションである。

「あのマンションの三階よ」

「おう! それじゃあ、パソコンを運ぶぞ!」

私達はそれぞれ分担して抱え、エレベーターに乗った。三階に到着すると、スーツ姿の男がエレベーター前に立っていた。年齢は二十代後半ぐらいの痩せ型の男だ。

「貴方は園崎優子さんですね?」

「はい、そうですが…」

龍司が私の耳元でささやく。

「優子の知り合いか?」

首を横に振った。

「いえ、それだけ確認できれば大丈夫です」

それだけ言うとその男はエレベーターに乗って降りていった。

「何か、ヤバい奴じゃねぇのか?」

龍司の直感がそういう言葉を吐いた。

「他人をそんなこと言うもんじゃないの!」

チラッと龍司の目を見て睨みつけた。

「おお、こわっ…」

自宅に到着すると鍵を開ける。

「ちょっと汚いけど、まぁ、入って適当に置いてくれる」

「おう、わかった!」

郵便受けに何かが入っているようだ。手を伸ばして取り出すと、真っ黒いガムテープでこれでもかというほど雁字搦めになっている荷物だ。

(何よ、これ…)

差出人はおろか、私宛の住所さえも書いていない。

「あっ…!!」

そう、あの男に違いない! 私は家を出るとエレベーターで降りて、周囲を見回した。しかし、どこにもいない。きっと、車で来ていたのかもしれない。

「あいつ…」

私は下唇を噛むと、再びエレベーターに乗って自宅に戻った。

「おい! 急に家を飛び出してどうしたんだよ?」

「これよ!」

私は龍司に放り投げた。

「な、なんだよ、これ! まるで、刑事ドラマか何かに出てくる爆弾みたいじゃねぇか! ん…?」

龍司はその荷物を耳に近づけた。

カチッ、カチッ、カチッ…

確かに時を刻む音が聞こえてくる。

「おい! こいつは爆弾かもしれねぇぞ!」

「いやぁ~~~!!!」

龍司はその荷物を窓から空に向かって放り投げた。

ドカーーーーン!!!

空中で爆発した。

「そ、そんなぁ…。きゃあ~~~~!!!!」

その音を聞いて警察が駆けつけてきたのは、ほんの数分後だった。一体、何が起こっているというのだ。