来馬した人ばかりの頃~KLのいたる所でマレーシアの人たち(といっても主に中国系の人々)が当たり前のように携帯電話を持ち歩いている姿に…驚いたものである!
1990年当時~日本で携帯電話を持ち歩いている人は…まず見かけることはなかった。
アジアの中で~精神的豊かさはともかく“物質的豊かさでは日本がダントツだ”と思い込んでいたことが…全くくつがえされてしまう体験を何度もしてきた私は~ミセス・リムが手にしている魔法のドロップも、もしかしたら日本人が知らない新兵器かもしれない…と色めきたったのである。
その瞬間~空気の抜けていくよう風船のように…高揚した気持ちは、一気にしぼんでいった。
凝視し続けて~やっと明らかになった『魔法のドロップ』の正体は、な、な、何と…ただの“セロハンテープを小さく丸めたもの”~だったのです。
「この学校には…満足できる教材備品等がほとんどないし、新しく買うこともできません」
~「例えば地理の授業では、ぜひともマレーシアの掛図がほしいのですがそれすら買えずにいます」
「マレーシアでは~備品等を購入するお金が政府から支給されるのではなく…そのほとんどを児童生徒の親からの寄付に頼っているのです」
「だから~裕福な家庭の子どもが多く通っている学校には….どっさりと教材や備品があって、そうではない学校は…ウチの学校のように、ほとんど満足なものがない状態になってしまうんですよ~」
~翌日、タマンデサ小学校で5年生を担任している…“モハマド・ライザン先生”が、その辺りの事情を教えてくれた。
実際…この学校で目にした備品らしきものは~「机」「椅子」「黒板」「チョーク」「画用紙」くらいしか見なかったが、KLにはコンピューターが入っている公立学校もあるらしい。
ちなみに~タマンデサスクールで子どもたちに配られるプリントは…全て“ガリ版”であるようだ。
改めて~日本の『すごさ』を想う!
~ミセス・リムの英語の授業は続く…
フラッシュカードに書かれた家族の呼称を…“This is my __”~の文型に当てはめて言う練習にうつっていった。
個人指名をして言わせた後~全員で発音練習をするのだか、どうもイントネーションが違うような気がした。
そう~先生たちは中国系、子どもたちの多くも中国系のため…英語が完全に“チャイニーズ・イントネーション”なのである。
聞けば聞くほど変な感じで~思わず笑ってしまいそうであった。
「学校で堂々とこんな変な発音を教えてええんかいな」と思ったが、「日本の英語教育では、もっと許されんような発音がまかり通っとんやろか」という思いがよぎった時…笑えなくなってしまった。
もちろん~この学校の子どもたちは…『国語であるマレー語』と『外国語である英語』を完全にマスターしてしまう!
発音練習が終わり~「今度は…今練習したことをまとめます」との指示がミセス・リムからあった。
その後~ビニルシートの上に窮屈そうに座っていた子どもたちは…ようやく自分の机へと帰っていったのである!
先生の使う教具は~本当にチョーク一本のみである!











