「帽子取れ~おはようございます!」

「ランニング行くぞ~」

「はよ準備しろ~」

「整列~ありがとうございました!」

あの涙を拭いながら~重たい荷物を持って自転車で小学校グランドに向かった日から、どれだけ経つのだろう…

毎週、J小のグランドには彼の『キャプテン』としての~大きな声が響き渡っている。

あの全く甘えん坊だった姿は、そこには微塵も見られない。

全ての行動に先頭に立ち、生き生きと全部員を引っ張っているその姿勢は~まさに“たくま”しく、キラキラと輝いていた。

あの時の決断は、正しかったのかなぁ~

卒部まであと4ヶ月~果たしてそんな彼の姿を最後まで見届けることができるのだろうか…そう病室で思いながら、命ある限り彼の応援団で有り続けたいと思うのです!
やはり~正式部員となった彼に対して、容赦なく“スパルタ”式の練習が行われ始めていたのである。

…しかも、その口調は「ダボぉ~アホかぁ~お前寝とんかぁ~」とかなり汚い。

さて~ここで今度は親の方が問われる。

この息子の訴えに対し、一体どう応えるのか…

これまで、ほとんど何事にも縛られることなく自分の思うように様々な道を自ら選択してきた父としては~「一度辞めてみて、考えたらええやん」との答えを出す。

それは、その間の時間に“野球がとても好きだったはずの”自らに向き合ってほしい~という願いもあってのことだった。

しかし~母は厳しい。

「自分で入りたいと言うたチームやろ~ここであきらめてどうするん…そんなことやったら全てにすぐあきらめるようになってまうで~もしどうしても辞めたいんやったら、自分で監督に電話し…」

果たして、彼は~電話をせず涙を拭いながら…ユニフォームに着替え、重たい荷物を背負って~自転車で小学校グランドへ向かったのである…
彼の野球クラブチームでの日々は~とても順調であった。

練習がある…土曜日曜を楽しみにしているほどであった。

そんな中で、ごく自然に“正式部員”として選手登録をしてもらう。

ちなみに、運動好きの彼は~しばらく並行してサッカーチームも続けていたが、やはり野球の方が性に合うのか…素振りやランニング等野球のために時間を使うようになっていった。

そんな彼に~突然、変化が表れる…

いつもは、土日になると~自分からさっと起きてくるのだが…その日は起きてこない。

あわてて起こしに行くが、目は開けているが~布団から出ようとはしない。

明らかに、嫌がっている…

その日は、無理矢理練習に行かせたが…その後、土日度にそんな状況が続いていった。

そして、ついに彼は涙を流しながら~こう訴えたのである。

「やめたい…」
さて~彼の想いは日に日に大きくなり、ついに具体的な話が進行し始めた。

まずは…“どこのクラブチームを選ぶのか?”が課題だ。

実は、同じ校区内にクラブチームがあるのだが~そのチームはかなりのスパルタで有名で、彼の友だちもわざわざ隣校区のクラブチームを選んでいた。

親としては…悩ましい。

結局、とりあえず「体験」ということで~すぐ近くの小学校グランドで練習を行っている“スパルタクラブチーム”を選んだ。

何でもそうだが…一度関係が出来てしまうと、『情』が発生する。

しかも~ただ一人の小3で、体験部員だということか…先輩たちやコーチも優しい。

本人も気に入ってしまって、最後には…このチームへの入部を決断するに至ったのである。

しかし、この“決断”が、後にとんでもないことになろうとは~この時思ってもみなかった…
その内~彼は、父と二人だけの野球には物足りなくなる。

そして、何と~同じ公園で野球をしていた中学生くらいのお兄ちゃんたちの中に…入りたそうにしているではないか!

「ゴメンやけど~入れてやってくれる?」と頼んでみると…『いいで~』の返事。

足手まといになるんちゃあうんか~と思いながら見てたら、これがまた結構“さま”になっているではないか!

お兄ちゃんたちも~「肩が強いなぁ」「割とバットに当たるやん」と褒めてくれた。

そんな日々が続き~彼の野球に対する“思い入れ”は、どんどん大きくなっていった…

そして…いよいよ(これまでは親の役割が大変だからと目を背けていた)『クラブチーム』に向き合うことになるのである!

このクラスの担任の涙目先生は~子どもたちと同じく…緊張した面持ちで、急に登場した男の先生を見つめている。

どうやら、この男の先生は…次の教科の授業をするために入ってきたのではないようだ。

一体~何をしにきたのか?

…と、いきなり彼は信じられないものを取り出して~子どもたちに配り始めた。

それは~な・な・何と…『コルゲート(歯磨き粉)』だったのである!

~ここで、説明しよう。

マレーシアでは…なぜか“コルゲート”が、歯磨き粉の代名詞になっている。

確か~コルゲートは、歯磨き粉を作っている一企業に過ぎないはずなのだが…私はマレーシアに来て以来、コルゲート以外の歯磨き粉を見たことがない。

コルゲート?~もしかして、今から“歯磨き指導”でも始まるのか…と思ったが、そうでもなさそうだ。

「マレーシア政府は~歯をよく磨いて虫歯予防をするように…というキャンペーンを進めています~その一環として、3ヶ月に一度…公立学校の児童にコルゲートを配付しているんですよ~」

“コルゲートなんか、その辺の店で安く買えるのになぁ~ほんじゃあ、なんで歯ブラシは配らへんのや”…等と次々と疑問が頭の中を駆け巡ったが、とにかく私の目の前で~子どもたちは、大切そうにそのコルゲートをカバンの中にしまいこんだ。

コルゲート先生が去った後~涙目先生はいきなり“モラル”の授業を始めた。

…「“マレー語”の授業が中途半端なままやないかぁ~」と、一応心の中で突っ込んでおこう…

モラルの教科書を~最初は先生が読み、続けて指名された子どもが…順に音読をしていく。

子どもが読み終わる度に~先生は「Terima Kasih(ありがとう)」と言っているのが、印象的であった。

子どもが5人ほど読み進んだところで~先生は読んだ箇所の内容についての発問をいくつか行った後、黒板に大切な文を板書し始めた。

『RESPECT』を表すにはどうやって人に呼びかけるか~ということが、この授業のポイントらしい…

改めて、黒板に書かれた文をノートに写し始めた子どもたちの様子を観察してみる。

まず感じたのは~全体的に姿勢が悪い。

背筋をまっすぐに伸ばして…書いたり聞いたりしている子どもは~ほとんどいなかった。

子どもの机の上も、片付いてない。

前の授業の教科書やリハットで食べるお菓子の箱、水筒等が~出しっぱなしである。

でも~これが“マレーシアンスタイル”なんだろうか…

リハットの時間がやってきて、今日の参観はこれまでにする旨を告げに行くと~涙目先生は…ホッとした表情でこう語ってくれた。

「恥ずかしい場面ばかりを見せてしまって~すみません…実は、うちのクラスは校長先生に目を付けらていて~“このクラスは書き方がとても悪いので、どうやって書くかということをしっかり教えなさい!”と言われているんです…だから、授業の最後には~見てもらったように、必ず子どもに“視写”をさせています…教室が校長室に近いから、子どもが騒がしい時には~とても気をつかうんですよ」

…私は、もちろん~「そんなのネバーマインドですよ…今日は、先生の一生懸命さがよく伝わってきて~とても勉強になりました…Terima Kasih(ありがとう)」と、答えておいた。

第4日目~この日は、小学4年生を参観させてもらう。

4年生は1クラスしかないようで…学級の人数も、22人と少なかった。

そのうち~何と女子の数が、たった3人だったのは驚いたが…

ちなみに、ちゃんと“プリフェクト”は存在していて~やはり男子であった。

この日の1時間目は~国語(マレー語)の授業である。

マレー語の先生は、言葉当てクイズのようなことから始めた。

クラスを2チームに分け~順番に同義語を当てていく…『対抗戦』である。

この作戦は見事に子どもたちの心を捉えていて、こんなに子どもたちの表情が“生き生き”とした場面を~初めて見た。

しかし、この楽しい導入が終わり~この学校のパターンである『先生の説明(一斉指導)→ノート整理(個別指導)』に入っていくと…やはり子どもたちの集中力は散漫になり、ややがさつき始めたのである…



















「私は教師になってから~まだ1ヶ月しか経ってないので、途中でパニックになってしまうことが多いんです…今日はいつまでここにいるんですか?」と、涙目になって訴えてきたのである。

さすがに私も気の毒になって、今日の参観は“リハット”までにすることにした。

子どもたちがノートを仕上げ終わった8時15分頃、いきなり『算数』になった。

“涙目”先生はそのままで~算数を教え始める。

小1小2では教科担任制なのであるが、小3では~担任が英語以外の全ての教科を教えているらしい。

算数の授業でも~指導展開は同じで、先生がポイントを説明した後…子どもたちは、問題に取り組んでいった。

8時45分…今度はいきなり『国語(マレー語)』になった。

やはり、涙目先生はそのままでかわらない。

担任がそのままだと~カリキュラムは、弾力的に変えているようだ。

教える先生が変わらないこともあるのか…授業と授業の間には、休憩時間もなければ~“挨拶”さえない。

教室の席は、やはり全員が黒板の方を向いた一斉授業型だが~一人一人の席を離している点が、小1や小2と違っていた。

どうやら~クラスの中には、まだプリフェクトもいないようだ。

国語の授業では、先生が黒板に単語を正確に書くため~4本線を引いて、あるマレー語を板書し始めた。


『1 sikan(secant) masa(time) lapang(eight) deugan(for) mebaka(ready).』


~この文を子どもたちは、何回も何回もノートに視写していく。

同時に~先生が机間巡視して、きれいに書けているかどうかを…チェックしていった。

~とその時、その静寂をブレイクする出来事が起こった。

突然…男の先生が、教室にどかどかと入って来たのである。

“Slamat sejata cikgu!”~私がびっくりしているのを尻目に、子どもたちはスクッと立ち上がり…これまた大きな声で挨拶をした。

子どもたちにとって、この男性教師がどんな存在かが…よ~くわかった!






そんな中で~ミセス・リムの指示した作業からあきらかに取り残されている“女の子”がいた。

何をやっていいのか全くわからない風で~視線も、宙を泳いでいる。

肌が白く髪の毛もブロンドなので~ひと目で“ヨーロピアン”であることがわかった。

マレーシアの現地校で、ヨーロピアンの子どもを見るのは~初めてだ。

マレーシアがかつてイギリスの植民地だったこともあって~クアラルンプールにも、たくさんのヨーロッパ人が住んでいる。

そのヨーロピアンの子どもたちもたくさんいるのだか、彼らの多くは…普通のインターナショナルスクールに通っているのである。

教室の中では~つとに厳しいミセス・リムのことである。

当然、このヨーロピアンの女の子にも彼女の鉄拳が振るわれるだろう~とドキドキしていたが…ミセス・リムは、その女の子を何ら咎めず~無視しているような風であった。

いぶかしがっている私に気づいたのか~ミセス・リムはこちらに近寄ってきて、丁寧に解説してくれた。

「あの女の子は成長がとてもslowで~他の子と同じにできないのです…私たちは障害児学級に入れることを勧めなのですが、彼女の母親が~障害児学級に入れたくないと言っているのですよ!」

…図らずも、日本で教育現場が直している課題が~このマレーシアでも存在していることを知る。

そして~少なくとも、このタマンデサスクールでは…教師の判断よりも“保護者の希望”を優先している現実があった。

「日本の教員の給料はどのくらいか知らないけど、マレーシアでは例え15年間働いたとしても~やっと“月額1000リンギット(約5万円)”を越えるくらいなんですよ…そのために、特に中国系の男性は~全く先生になりたがりません…マレー系の人でも“教員は一時的な職業”と考えている人が多いです~もちろん、先生になるのは極めて簡単なんですよ!」

「子どもたちは授業が午前中で終わってしまうので~午後からは、いろんな習い事に行っている子が多いです…ピアノやwriting(綴り方)、算数等を習っているようです」

ほぼ全員の子どもたちが問題を解き終わり…ノートを出したところで、ミセス・リムは教室を去っていった。

ミセス・リムか去った後、かわりに子どもたちが~再び私を取り囲んだ。

「今、リム先生とずいぶんしゃべっていたね~私たちは、リム先生が一番好き!…ても、一番宿題が多いし一番恐いんやで~」

BM(マレー語)の先生が教室へ入ってくると同時に~子どもたちは急いで席についた。

一本調子のマレー語を耳にしながら…マレーシアのステータスや学校が半日であること功罪~マレーシアで(そして日本で)求められる教師像を、ぼんやりと考えていた。

第3日目!

今日も~朝から私は子どもたちと、ひたすらバドミントンに興じていた。

8:30頃…やはりプリフェクトの合図で、校庭に集合する。

今日は、6年生の生徒会長が前に出て~朝の体操を行うようだ。

全身を使った体操は少なく…ひたすら首の運動をやっているのが、何とも奇妙であった。

今日は、小学3年生を参観させてもらう日だ。

3年生も2クラスあり~私の入ったクラスの教室を見ると、男子11人女子9人…計20人の学級であった。

担任は、マレー系女の先生である。

この先生が教室にやって来て~「実は、私は新米で…授業を見られるのがとても恥ずかしいんです~お願いですから、もうひとつのクラスに行ってもらえないだろうか…」と、懇願してきた。

もちろん、私はマレーシアの人々の口癖である『NEVER MIND!(大丈夫~気にするな!)』を笑顔で連発し、強引に後ろの席に陣取った。

3年生のこの時間割によると~1時間目は英語のはずなのだが…この先生は、とても英語とは思えないような授業を始めた。

どうも、ポスター(案内板)についての勉強をしているようだ。

さすがに~3年生だけあって、子どもたちは…みな先生の話に集中して聞き入っている。

一通りの説明を終えた後、先生は子どもたちにノートを配って~指示したことを書いていくように言った。

「一体これは何の授業なんだろう…」と思ってその先生に尋ねようとした時、逆にこちらが“先制パンチ”を食らった!


リハット直後の2年生の授業は~そのミセス・リムの授業であった。

黒板に、“Currency(お金)”と書いてから~彼女は授業を開始した。

まず…マレーシアのお金の呼称とその単語の綴りを確認させていく。

ちなみに、マレーシアの通貨は~RINGGIT(リンギット)で~補助通貨はCENT(セント)で表される。

続いて…ミセス・リムは黒板に~


How much is the ____ ?
It is _____ .


…という基本文型を板書し~料金の尋ね方と答え方を説明した。

その後、彼女はおもむろに~


~という絵が描かれているカードを取り出して、このカードを見ながら…先ほどの基本文型にあてはまるように発問した。

(私の知る限り、タマンデサ小学校の中で事前に自作の教具を準備してくるのは~このミセス・リムただ一人であった)

子どもたちは、「How much is the bread?」の発問に~「It is sixty-five cents!」と次々とその答えを発表していく。

ミセス・リムは~正解を確認した後、sixtyとfiveの間には…表記の際に“-(ハイフォン)”が必要なことを注意した。

この例題の後~彼女は、「Count and write」と板書し…黒板に次々と問題を書いていく!


『Count and write』

1. How much is the sweets ? It is ______ ( ).

2. How much is the vegetable ? It is ______ ( ).

3. How much is the fish ? It is ______ ( ).

4. How much is the bread ? It is ______ ( ).

5. How much is the ice-cream? It is ______ ( ).

6. How much is the ball? It is ______( ).


果たして~子どもたちは黙々とノートに書き写し、答えを書き入れ始めたのであった!







ときどき隣の子ども同士が~やり方を教え合う声が聞こえるが…全体的にはとても落ち着いて作業を続けている。

ちなみに、子ども同士の会話は全て“英語”だ。

円と半円を作り上げた子どもたからその紙をのりで貼り、黒板と同じようにノート作りをしていく。

その作業を行っているうちに8時40分を迎え~算数の時間が終わってしまった。

できてしまった子どもたちは…黒板を見ながら一心に作業の続きをやっている。

そんな子どもをしり目に~先生は黒板をそのままにして、教室を去ってしまった。

この学校では学年が進むにつれて…授業にノートをまとめることに主眼が置かれていた。

ほとんどの授業でノートを使い、授業の最後にそのノートを提出する。

提出されたノートは、その授業の担当教師がチェックし~また次の授業の始めにそのノートを子どもに返す…というパターンのようであった。

職員室の先生たちの机の上には~所狭しと子どもたちが提出したノートが積まれてあり、教室には各教科のノートの提出場所が設けられていた。

このクラスのタイムテーブルによると…次の時間は音楽であるはずなのであるが、音楽の先生がなかなか来ない。

ご多聞にもれず、やはり教室は徐々に騒がしくなっていった。

私の周りにもどんどん子どもたちが寄ってきて~相手になり始める。

「みんなは、何の勉強が好きなの?」~と聞くと、多くの子どもたちが「英語!」だと答えた。

そこで、私は聞かなくてもいいものを~「バハサマレーシア(マレー語)は?」ど尋ねると、子どもたちは一斉に首を振って声を揃えた 。

…『NO~la!』

「la(ラ)」というのは、マレー語独特の表現で~意味を強める言葉である。

結局、音楽の先生はとうとう現れず~9時20分頃、次のBM(バハサマレーシア)の先生が来てしまった。

もちろん~マレー系女の先生である。

それにしても、マレー系女の先生が多い。

この学校では…全教員25人中マレー系が実に24人~全教員25人中女性が実に17人である。

マレー系の女の先生は、美しいバジュクロンマレーの民族衣装)を身にまとっているため~余計に目立つ。

このマレー系女の先生が登場しても…子どもたちは、騒がしい。

この先生は、例の『ビニルシート戦法』を使った。

黒板の前に集合した子どもたちは、先生が板書した文を一緒に音読していく。

難しい読みの所は繰り返し読ませ~発音指導をしているようであった。

次に、わざと小文字ばかりで書かれたマレー語の文を示し~その文の中で大文字にすべき箇所を探していく練習を始めた。

ちなみに…マレー語は本来なら『ジャビ(アラビア文字)』で表記するらしい。

だが、今ではすっかり英語と同じアルファベットで表されている。

このBMの授業で行ったレッスンはそれだけで~後は先生が、雑談のようなものをして終わった。

一単元30分は、あっという間である。

1年生も2年生同様~毎日『モラル(道徳)』の授業がある。

BMの次は、そのモラルであった。

モラルの先生が遅いので~またまた子どもたちに聞いてみた。

「みんなは、モラルのお勉強が好きなの?」

…果たして、彼らは強い口調で一斉に声を揃えた~「NO~la!」

残りわずか15分という所で、先生がやってきて~やっとモラルの授業が始まった。

この時間は…『聴写』で始まった。

先生が言う短い文を、子どもたちは順に書き写していく。

いくつかの文を言った後~先生は黒板に正解を書いていった。

先生がその文の説明を始めたが、文の内容よりも“スペリング”に重点をおいて解説しているようであった。

Where is “MORAL”…?

このモラル(とは到底思えない)授業が終わった後、子どもたちの表情が急に“生き生き”とし始めた。

そう~モラルの後は、お待ちかねの『REHAT』なのだ。

この日…私は少し後ろめたさを感じつつも、子どもたちの行列をくぐり抜けて~“FOR TEACERS ONLY”…のスペシャルシートへ直行した。

すっかり気に入ってしまった「超低価格タマンデサスクール特製スープミーをすすっていると~いつもはこちらから質問攻めをしているミセス・リムが、逆にいろいろと私に聞いて来た。

「マレーシアでは、実を言うと公立よりも私立の方がいい学校なんだけど~日本はどうなんだ?」

「うちの学校の授業を見て…どう思った?~JSKLの方がいい授業をしているだろう?」

…等と、次々と質問をしてくる。

どうも~自分の、学校の評価を気にしているようであった。

私は、残っていたスープミーの汁を全部飲みほしてから~自信を持って答えておいた。

「ミセス・リム…とにかくこのタマンデサスクールのスープミーは、最高にうまいぜっ!!!」