『シンガポール』と聞いて~みなさんはどんなイメージを持つだろうか?
私は、「おい16、マレーシア赴任が決まったぞ!」と聞いた時~内心“おしいなぁ、シンガポールやったらもっとうれしかったのに...”と正直思ってしまった。
それだけ~シンガポールは、かなりの好イメージだったわけである。
実際、私も在馬中...すぐ近くということもあって、何度かシンガポールを訪れた。
そこは、清潔感に溢れ安心感も大きく~何よりも「買い物」「レジャー」「リゾート」「リッチなホテルライフ」「カジノ」等...観光客が望むもののほとんどが手に入る場所だったのである。
もちろん~多くの日本の観光客で賑わっていた。
いや、観光客のほとんどが日本人...と言っても過言ではないくらいだった。
そんなシンガポールに誰もが知っている観光スポットがある。
言わずと知れた『マーライオン』。
“世界三大がっかり”と言われながらも~マーライオンが吐き出す噴水を捉えようと、たくさんの日本人がカメラを構えるスポットである。
しかし、そんなマーライオンのすぐ近くの公園に八角形の形をした『顕彰碑』があることは~誰も知らない。
マーライオンを目当てにやってきた日本人観光客は~全員がこの顕彰碑の傍を通っていくのだが、誰も関心を払わない。
もちろん...「シンガポールの方がラッキーやったのに」~なんて考えていた私自身も全く知るよしもなかった。
しかし、シンガポールに生まれ育ったほぼ全ての人々は、この顕彰碑のことを知っているのだ。
この顕彰碑は、『林謀盛(リン・ボーセン)』という人の活躍を讃えて建立された。
リン・ボーセンという人など私も知らなかったし、おそらく多くの日本人も知らないであろう。
でも、彼はシンガポールの教科書に掲載されているほどの“英雄”なのである。
彼がなぜシンガポールの英雄なのか?
最後には日本軍に捕まってしまうが、彼は抗日ゲリラの指導者だったのだ。
さらに~
そのリン・ボーセンの顕彰碑から100メートルも離れていない場所(世界一ノッポだと言われているウエスチンスタンフォードホテルやかのラッフルズホテルのすぐそば)に~ひときわ背の高い塔が建つ。
この塔は、何と地元の人々から『血債の塔』と呼ばれている。
その名が示す通り~この塔の地下にはシンガポールが日本に占領された時に、日本軍によって虐殺された人たちの無数の“遺骨”が納められているのだ。
無論...シンガポールのガイドたちは、日本人が嫌な思いをしないように、これらの顕彰碑や血債の塔のことは決して説明しようとはしない。
8月になると~日本では声高に“原爆の悲惨さ”が訴えられ、世界中(とりわけアメリカの人たち)にその現状をしっかり認識してほしいというニュースや記事であふれかえる。
もちろん、それはそうあるべきだし~アメリカの大統領を始めできるだけ多くの人が広島や長崎を訪れその歴史的事実を知ってほしいと心から願う。
ただ、今日もシンガポールには~「ええ国に来たなぁ~」と多くの日本人が、シンガポールのマーライオンの姿をそのカメラに収めているのである。