雨梨目線_____
戦争の後
蒼桜先輩は忙しいみたいだけど戦争後だからしょうがないし、またすぐに日常に戻ると思う。
凛音は検査の結果異常なしで安静にすることを条件にすぐ寮に戻ってきた。
羅希先輩は心労もあり、高熱でしばらく医務室から出してもらえずに神咲班みんなで交代でお見舞いに行ってる間に熱は下がり一旦戻ってきた。また熱が出たり下がったりしてるから寮に篭ることが条件みたい。
奇龍は縫った傷が開いたことで救護班に怒られたけど回復。
戦争の傷跡も深くなくいつも通りの日常が戻ろうとしていた。
一部を除いて。
奇龍目線_____
最近雨梨がおかしい。
でもねぇーちゃんに言ってもあんたの気のせいよと言われるし、凛音に言ったらそうですかー?と言われるし、蒼桜先輩は忙しいのかなんなのか話す時間がなさそうだ。
玄「おい、バカ(奇龍)!」
また蜘蛛みたいに天井に張り付いて話しかけてくる。
奇龍「なんだよー」
今は一番会いたくない相手だ。
玄「元気ないな、変なもんでも食ったか?ティッシュとか?」
奇龍「はぁっ?俺は人間としての威厳がない扱いかよ!」
玄「今更か。それより雨梨は?」
奇龍「今日はラボじゃねぇか?」
玄「それがいなかったからバカな雨梨の腰巾着に聞いてるんだろ」
奇龍「腰巾着じゃねぇーよ!ラボにいないなら寮は?」
玄「それも見た。お前腰巾着のくせに俺がすでに行った場所しか思い浮かばないのかよ。」
奇龍「うるせーよ!そこまで急いで探す要件はなんだよ?」
玄「本人以外には言えない。」
奇龍「一応行く場所に当てがないわけではねぇーけど、お前には教えられない。俺が伝達ぐらいするけど?」
玄「今度でいい。」
相変わらず無愛想だな。
羅希目線_____
凛音「あーっ!もう!羅希先輩なんで出歩いてるんですか!?まだ安静にって!」
寮を出て早々に凛音に見つかった。
羅希「もう大丈夫よ。」
凛音「だめです!今日だって熱気味なんですから!」
羅希「凛音小姑みたい(笑)」
凛音「小姑でもなんでもいいですからおとなしくしておいて下さい!」
と部屋に無理やり戻された。
羅希「そろそろ馬乗らないと体力落ちるんだけど。」
凛音「だめです!」
羅希「おやつだって外で」
凛音「そう言うと思って先輩の好物作ってきましたよ♪」
羅希「あっ!ケーキ♪」
凛音「ちゃんとあげるのでおとなしくご飯食べて下さいね!」
と冗談で笑いながら準備する凛音に
羅希「私は子供じゃないんだから(笑)」
と投げかける
凛音はいいお嫁さんになるね♪
とも言おうかと思ったけどまだ言わない。
戦争の後一段と仲良くなった班長と凛音。
戦争後はカップルができやすい。
吊り橋効果ってやつ。
二人もそうなのかなって思ったりする。
もしそうなった時は…
そうなった時は…?
どうするんだろう。
賛成して背中を押す?
それとも?
なんかぼーっとしてきた…
凛音「羅希先輩?」
羅希「ん?ごめん、ちょっとぼーっとしてた。」
するとおでこをつけてきて
凛音「あーっ!また熱が出てますよ!ケーキはおあずけです!」
とベットに無理矢理押し込められる
凛音「ちゃんとおとなしくしないとだめですよ!」
と体温計と濡れタオルを準備する凛音
熱は38.5度…
濡れタオルが気持ちいい
と思っていたらいつの間にか夢を見ていたみたいだ
だっているはずのない貴方が目の前にいるから。
羅希「桐谷先輩…」
信じられない
桐谷「九万里また熱出すまで無茶しやがって…」
羅希「先輩っ!」
桐谷「って泣くなよ!」
と優しく抱きしめられる
懐かしいや…
羅希「ずっとずっと会いたかったんですよ!私っ…私のせいでっ…」
涙が止まらずに上手く言えない
桐谷「俺らが死んだのは九万里のせいではない。
俺らが運も実力もなかっただけだ。
それだけの話だ。
それに…
俺は、お前が生きていて良かった。
お前と神咲に沢山背負わせてしまってだめな先輩だったし、もっともっとお前に彼氏らしいこと出来なくてだめな彼氏だったけど。
お前が生きてくれていればそれでいい。」
羅希「私は嫌です!先輩がいなきゃ意味がないんです!先輩がいなきゃ私はどこにいればいいんですか!」
桐谷「そんなことない。
お前からは見えないだろうけど、俺は隣から見ていたんだ。
苦しくて泣いてる時も、戦場でそれを紛らわせて鬼と呼ばれていた時も、後輩が出来て先輩らしくなった時も。
お前はもう俺無しでも大丈夫だ。
ほら、居場所はあるんだからな。
俺に縛られるな。
振り向けば神咲の率いる居場所があるだろ?
大丈夫。俺はずっと隣から見守り続けるから。」
するとみるみる大好きだったあの人の影が薄くなって…
羅希「晴人君っ!!!」
叫ぶと同時に消えていった…
蒼桜目線_____
凛音が校医を連れて行く時に会った凛音から話を聞き急ぎ着いて行く
蒼桜「羅希が!」
校医曰く体力が落ちていて免疫力も低下しているらしい
蒼桜「羅希…」
苦しいのか涙がでている。
凛音も不安そうに見る。
何が言いたそうにしている
蒼桜「羅希…?」
羅希「桐谷先輩…」
蒼桜「っ!」
凛音「蒼桜にぃ?」
蒼桜「ごめんけど、二人にしてくれるか?」
凛音「わかった。」
こういう時凛音は気を聞かせてくれてありがたい。
二人きりになり少しでも桐谷先輩の代わりに抱きしめる
こんなので救いになるわけないのに。
羅希「ずっとずっと会いたかったんですよ!私っ…私のせいでっ…」
苦しそうに吐き出す
違うよ、違う。
羅希「私は嫌です!先輩がいなきゃ意味がないんです!先輩がいなきゃ私はどこにいればいいんですか!」
ごめん…やっぱり俺じゃあ居場所になれない?
桐谷先輩みたいにはなれない?
そうだよな…
羅希と先輩は付き合ってた。
確か2・3年になる頃だった。
ただの同級生で、出会って3年の俺じゃあ羅希を助けられない。
ぎゅっと服を掴まれ
もう苦しまなくていいよ、羅希は十分苦しんだ。
そう声をかけたくても言えない。
羅希「晴人君っ!」
そう言いゆっくりと目を開ける。
蒼桜「羅希…?」
羅希目線_____
目をゆっくり開けると蒼桜君がいた。
羅希「蒼桜君…」
蒼桜「大丈夫?じゃないよね。熱結構あるから。」
と優しく頭を撫でてくれるその優しさに甘えてもいいかな?
羅希「蒼桜君。聞いてくれる?」
蒼桜「もちろん。」
そこから桐谷先輩と話した話を全て蒼桜君に吐き出した。
蒼桜君は何も言わずにただ背中をさすってくれた。
羅希「私だって今の班が居場所だってわかってるっ!今の班も大好き!
でも、先輩がいなきゃ、嫌なの!先輩がこの世の中に居ないなんて絶対にだめなの!」
いつになったら羅希は苦しみから解放されるんだろう…
凛音目線_____
ドアの外。
そこで蒼桜にぃがいいと言うまで待っていた。
奇龍先輩と雨梨先輩もどこから聞いたのか部屋にくる
3人で外にいる。
すると
奇龍「なぁ、雨梨。隠してることあんだろ?」
雨梨「…」
奇龍「なんだよ。言えよ。」
雨梨「…」
この二人には珍しい重い空気。
奇龍「二人さらわれたのはお前のせいではない。」
私達のこと?
雨梨「ちがう。僕の居場所を聞くだめだ。」
奇龍「ちがう。ねぇちゃんを捕まえる為だ。」
雨梨「ならなんで二人を拷問でかけて岩倉(雨梨の偽名)の居場所を聞く必要があるの?
…僕は大量殺人鬼だよ。」
奇龍「ちがうっ!!お前は大量殺人兵器を作って沢山の人を殺したかもしれないし、その罪は消えない。
でも、それなら俺だってそーだ。
蒼桜先輩も、ねぇちゃんも凛音もみんなそーだ!
でも、お前の技術のおかげで助かった人もいるんだ!
俺は少なくても助かってる!」
凛音「そうですよ!奇龍先輩が言ったとおりですよ!」
雨梨「でも、これからも危険に班のみんなも黒軍のみんなも晒してしまう。」
奇龍「ならその度に俺が守る。お前も班員も。それに兵士なら死ぬ覚悟で軍にいるはずだ。心配することはない。
それに、好きなんだろう?機械いじり!」
雨梨「うん。」
奇龍「なら細かいことは考えずにいこーぜ!またこうやってくよくよしたら俺が前へ連れて行ってやるからさ!」
雨梨「奇龍…」
凛音「私も!」
雨梨「凛音もありがとね。」
蒼桜目線_____
気持ちを吐き出して楽になったのか寝た羅希の部屋の外にいる三人を呼ぶ
凛音「羅希先輩は?」
蒼桜「大丈夫、さっきより落ち着いたから。」
と心配症の凛音に優しく頭を撫でてあげる
凛音は部屋に入り
凛音「早く羅希先輩元気になって下さいね…」と手を握る
それを外からチラリと見て帰ろうと奇龍と雨梨は戻るのに俺はついて出た。
外は晴天でそろそろ暑くなりそうだ。
その空にそっとつぶやく
蒼桜「先輩、俺どうしたらいいんですかね?」