玄目線_
初めて会ったのは助けに行った時。
初めて話してみたが、バカ(奇龍)や雨梨に聞いてたように素直、純粋という言葉が似合う。そんな子だった。
猫音「玄。」
玄「はい。」
そう、猫音様とは似ても似つかないような。
猫音様は如何にもお嬢様と言われるような見た目をしている。
口調も怒った時以外はお嬢様口調。
ただこの人は黒い。
表と裏がある。
それを知ってるのは俺だけだ。
猫音「ねぇ、どうだった?新しい主人は?」
玄「特に感想はありません」
猫音「そう。」
それだけ言って去っていく猫音様。
猫音様はさみしい人だ。
俺がこの家に拾われた時には既に母親がいなかった。
その後父親と死別…
厳しい祖父と祖母…
甘えることなんて許されなかったんだろう…
そういう俺も親とか家族なんてものはなかった。
俺は物心ついた頃には街のスラム街にいた。
親がスラム街に住んでいたのかスラム街に俺を捨てたのかは知らない。
ただそこで生きるために大人のパシリをさせられていた。
もちろん犯罪だ。
スリ、万引きなんて日常だった。
俺はまだ運動神経が良かったのか本当に最初の頃以外はほとんど物を盗んだりするだけだったが、運動神経が悪い奴等は薬物を作る担当だった。
それすらできない奴等は一人で生きていくか死を待つだけだった。
一人で生きていくなんて子供には無理で、運の良かった俺らは大人の手先としてなんとか配給にありつけた。
週に何回かの国からの配給、盗んだ物の価値に比例する大人達からの配給、そしてこっそり物を盗みんだ帰りにパン屋に寄ってもらうパンの耳…
それがご飯だった。
猫音様と俺が出会ったのは10年くらい前
その日は雨が降っていて、俺は前の日にかなり価値のあるものを盗んでおり、その時はその報酬の食べ物を食べていた。
報酬を独り占めしようと仲間たちのいない少し大きな道沿いで食べていたら目の前に黒い車が止まった。
猫音「あなた名前は?」
玄「玄…」
直ぐに異世界の…俺らの住む世界とは違う世界の人だとわかった。
お付き「猫音様!こんな子供に声をかけて…おじいさまに怒られますぞ!」
猫音「あなた年は?」
玄「年…?分からない」
猫音「そう…貴方私のところに来る気はない?」
お付き「猫音様!」
猫音「寝食は保証するわ。私のお付きになりなさい。」
お付きというものがよく分からなかったが寝食の保証は大きかったし合わなければ抜け出して戻ってくればいいと思った
玄「分かった。」
猫音「なら決まりね。早くこの子をつれて帰るわよ」
お付き「は、はい!」
そのまま車に乗せられ連れてこられたのは見たこともない大きな家。
そこで体を綺麗にするようにと言われ体を洗われ、綺麗な服を着た。
俺がこの家に来ることはもう手配されたみたいで個室まであてがわれた。
俺の役目は猫音様のボディーガード兼遊び相手
誕生日の分かってない俺は猫音様の同い年、日にちは拾われた2月4日。
ということになり二ヶ月後には小学校に進学した。
もちろん大和の系列の小学校だったが。
そこから今まで猫音様を守るためだけに戦ってきた。
猫音様のことなら誰よりも知っている。
猫音様の寂しい心も誰よりも知っている。
だからきっと今の猫音様は暗闇に独り溶けているんだろう。
そんなことも俺は知っている。
