薦められて読んでみました。
以前から、販売戦略としてゲーム脳とかスマホ脳とか、⭕️⭕️脳という言葉で煽ることが多く、「ゲームをしているとバカになる」など極端な思想を植え付けて知名度を上げようという本がたくさん出版されました。
「ゲームが悪い」「漫画が悪い」というとそれを理解できない大人が子どもをコントロールしやすかったのかもしれません。
いざ蓋を開けてみると、ゲームでもテレビでも、単純刺激の繰り返しによって脳が反応しなくなることが悪いという論理になり、それならマラソンも悪い、登山も悪いと言ってるのと同じ事になってしまうことは誰も指摘しません。
現代においては過剰に脳が働きすぎることが悪いという風潮になり、今度はそれを抑えることが体に良いという論理が主流になってきました。
コロナの影響か、もしくは何らかの意図によるものか分かりませんが、その時代によって言うことが180度変わるのは面白いことです。
この本は現代増えている鬱やパニックなどの精神疾患に焦点を当てて、それが脳のどの部分で発生し、どのように体に変化を起こすかを説明し、それに対する対処方法まで解説しています。
中でも興味深かったのが「感情が行動をコントロールする」という理論です。
通常は何らかの現象から感情が起き、それが体に変化をもたらします。
それが痛みだったり不安だったり、それがまた別の現象を引き起こしそれにより新しい感情が出てきます。
しかし、その感情は体の不調だけではなく、行動まで変えてしまうというのは面白いです。
確かに、怒った時は「怒鳴る」「殴る」などの行動に結びつきやすいし、悲しい時は「家に閉じこもる」「ご飯を食べない」などの行動と結びつきます。
これを逆に考えれば、行動も感情をコントロールできるという事になります。
著者はこういった体の反応は狩猟民族として生きてきた頃の生命維持機能であるとし、それの対処法も具体的にまとめられています。
漠然と「運動すれば鬱が良くなる」「ストレスは体に悪い」といった事を脳の反応にまで言及して書いてくれているのはなかなか面白かったです。