告別式の朝
お斎を食べて喪服に着替えて
11時からの告別式の準備をする
シヅ子さんの施設から弔電が届く
『お通夜か告別式に伺います』と
連絡した時に言われた気がしたのだが
聞き間違いだったのかな?
どなたも来られる気配がない…
式の進行とか焼香のやり方とかの
最終確認をしますと山田さんが来てくれた
親戚しかいないので喪主の挨拶は省略した
ご住職がお見えです…と言われて控室へ
『本日はよろしくお願いいたします』とご挨拶
お位牌にシヅ子さんの法名が書いてあった
キレイな感じの法名…蓮の文字が入ってた
優しい感じのご住職と少しお話した後に
『四十九日や初盆などはご相談ください』と
言われた
これから先続くであろう法要の事もあり
落ち着いた頃に連絡させていただくことにした
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予定時刻の11時少し前に
従兄弟のお兄ちゃんが来てくれた
「え~!?お兄ちゃん?」って驚いたら
妹のケーちゃんが
「『何時から?』って聞かれたんだよね~
まさか来るとは思わんかった」って
オットが「わざわざすみません」ってお礼を言ってた
お兄ちゃんなりのオットへの気遣いなのだろう…
告別式が静かに始まった
私のシズ子さんについて書いた文章は
(まとまりがなかったのにも拘らず)
驚くほど素敵な文章になっていた
司会者の方の声のトーンのおかげか?
最後の一行をオットに内緒で書いておいた
『女手一つで息子を育て上げて
さぞ大変だったと思います。
やっと俊雄さんに会えますね。
ゆっくり再会を楽しんで下さい』
ずっとシヅ子さんに言いたかったひと言
面と向って云えなかったので
ココで言えてよかったと思った
オットはシヅ子さんが亡くなった時も
お棺に入っているシヅ子さんを見た時も
目が真っ赤になるくらいで泣かなかったけど
式の最中にオットの鼻をすする音が聞こえて
何度もハンカチで涙を拭う姿が見えた
オットにしかわからない思いがあったんだろう
お棺に入れるものがあればご準備ください…と
言われていたけど、家に取りに行く時間もなく
お通夜にせっせと折った鶴や
祭壇のお花をたくさん入れた
ピンクの花に囲まれたシヅ子さん
最後にもう一度シヅ子さんの手を握った
『あまりお世話できずにごめんなさい』
『ムスコさんの事見守ってて下さい』
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出棺の時に、男手が弟ひとりの予定だったけど
従兄弟に手伝ってもらって職員の方と一緒に
霊柩車に乗せて、油山の火葬場へ
火葬場は割と混雑していて慌ただしかった
慌ただしく過ぎた方がしんみりしなくて
よかったのかも
骨になったシヅ子さんを見た時
何とも言えない感情になった
狭窄症の手術の金具を見た時は
さすがに泣きそうになったけど
淡々と骨壺にお骨を入れた
骨壺が暖かかった
『母ちゃん、家に帰ろうね』
6年ぶりの自宅
一度は鹿児島に連れて帰りたかったよね
リビングが見渡せる場所に机を置いて
祭壇の代わりに遺影と位牌と骨壺を置いた
また、3人暮らしに戻った