高齢者事故防止 「免許返納」以外の発想も | 堺 だいすき ブログ(blog)

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高齢者事故防止 「免許返納」以外の発想も
西日本新聞
 判断力の衰えなどから、高齢者が運転する自動車の事故が増えている。世界に先駆けて超高齢社会を迎えた日本にとって、高齢者の交通事故防止は喫緊の課題だ。

 免許証の自主返納も選択肢の一つだが、交通手段が乏しい地方の日常生活に車は欠かせない。運転をやめて家に引きこもれば心身にも影響する。事故防止機能を備えた車の開発・普及など、高齢者が車に乗っても安全で安心な環境をつくる発想も必要になろう。

 警察庁によると、75歳以上で運転免許を持つ人は3人に1人という。昨年は約480万人で、5年間で130万人近くも増えた。

 高齢運転者が加害者となった事故は福岡県内では昨年7千件を超え、5年間で千件余り増加した。

 全国で年間200件を超える高速道路の「逆走」も大半が高齢者の運転によるものだ。昨年の道交法改正では、免許更新時に認知症の恐れがある場合は医師の診断を求めるなど対策も強化された。

 疾病とともに深刻なのは、視力の低下など自然に起きる老化現象である。言うまでもなく、運転中に対向車などの危険性を察知して素早く車を操作する能力は加齢に伴って衰えていく。

 免許証を警察に返納する人は、自治体によるタクシー割引券の配布などの特典で増え続け、全国で年間20万人以上に及ぶ。

 それでも、通院などの理由で免許証を手放せない高齢者は多い。「免許返納」以外に高齢者の事故防止に向けた方策を幅広く検討する必要があるのではないか。

 完全自動運転車は2020年ごろの量産を目標に世界で開発競争が進んでいる。追突防止の自動ブレーキがかかる車は既に普及し始めた。技術革新が高齢者の事故防止に果たす役割は増えるだろう。

 現在の高齢ドライバーはマイカー社会の先頭に立ってきた世代でもある。車の運転にプライドや生きがいを感じる人も多いはずだ。「危ないから運転させない」という発想だけに固執せず、「高齢者が運転しても大丈夫」という環境や条件も整えていきたい。


=2016/08/27付 西日本新聞朝刊=