来た時以上の笑顔になって 堺市立健康福祉プラザ生活支援員・大内秀之さん /大阪
![「笑いと挑戦を大切にしたい」と語る大内秀之さん=堺市堺区の市立健康福祉プラザで、中尾卓司撮影](https://img-proxy.blog-video.jp/images?url=http%3A%2F%2Fcdn.mainichi.jp%2Fvol1%2F2016%2F05%2F28%2F20160528dd0phj000131000p%2F9.jpg%3F1)
堺市堺区の市立健康福祉プラザを訪ねると、市民交流センター生活支援員の大内秀之さんがさまざまな福祉サービスを提供する施設を案内してくれた。エネルギッシュに「笑顔と挑戦を大切にしたい」と語っていた。
--どんなお仕事ですか?
アートのイベントを企画したり、小中学校や公共施設に出掛けて福祉出前事業をしたり。アートでコミュニケーションを、と公募展に「堺アートケーション」と名付けました。作る人の表情が生き生きするといい。将来の展望は地域社会です。近所のおっちゃんに「ええ作品や」と言われると励みになります。
小中学校に競技用車いすを持ち込んで車いすバスケットボールもやります。子どもたちは「バスケうまいやん」と純粋に知りたいことを聞いてくれます。
--プラザで働く喜びは?
いろんな障害者と出会えました。おもしろい人との出会いがここで働く最大の魅力です。好きなことにトライする利用者を応援したい。地域の人も交えて、みんなで盛り上げたい。
--モットーは何ですか?
私の理想は、プラザに来る人が来た時以上の笑顔で帰って行くことです。福祉の基本は人間関係。周囲に笑顔が広がると、自分の人生も豊かになります。
--最も伝えたいことは?
障害者だからできることを考えてほしい。知的障害者のアートは、奇抜なアイデアに満ちている。人懐っこく、興味ある対象に突き進む姿には、障害のない人が忘れた輝きがあります。
知らないから、伝えることに意味がある。お互いを知れば、「段差あるから車いす上げてや」と頼めるようになります。
--「知らないこと」で起きる問題はありますか?
駐車場の障害者専用スペースに三角コーンが置かれます。私たち障害者が駐車できないと、専用スペースの意味はありません。点字ブロックの役割を知らないから障害物が置かれる。すると白杖(はくじょう)で点字ブロックをたどる視覚障害者は、行く方向が分からなくなります。
--もっとおもしろくするアイデアを教えてください。
電動車いすの8時間耐久レースをやってみたいですね。障害者を集めて、富士山登山も企画したい。隣の人と笑い合える関係を大切にしたい。
「こっちのやり方がいいよ」と提案できると、より一層クリエーティブになります。
--究極の目標は?
4月に施行された障害者差別解消法は、障害者に対する差別を解消しましょうという趣旨の法律です。しかし立場の弱い人、困っている人を差別しないのは当たり前でしょう。この法律が必要ない社会を実現したい。
障害は不便であっても、不幸ではありません。楽しさ全開で生きたいと願っています。【聞き手・中尾卓司】
■人物略歴
おおうち・ひでゆき
1979年生まれ。2012年4月にオープンした堺市立健康福祉プラザの市民交流センター生活支援員(文化芸術担当)。社会福祉法人・堺市社会福祉事業団職員。社会福祉士。