てんかん全体の発症メカニズムの解明へ
1月16日16時56分配信 医療介護CBニュース
てんかんの中で最も発症頻度が高い「若年性ミオクロニーてんかん」について、理化学研究所(理研)は1月16日、「若年性ミオクロニーてんかん」で変異が見られる遺伝子「EFHC1」を人工的に欠如させたマウス(ノックアウトマウス)を用いた研究で、「マウスが、てんかん患者と類似の症状と共に、てんかん発症の機序(メカニズム)に起因する特異な異常を示すことを見いだした」と発表した。理研では「遺伝子『EFHC1』の異常が、てんかん発症につながることをあらためて明らかにすると同時に、てんかん全体の発症メカニズムの理解や治療法の開発・改良などに大きく寄与する」としている。成果は、英国の科学雑誌「Human Molecular Genetics」のオンライン版に掲載された。
激しいけいれんなどが起きるてんかんは、世界の人口の約3%が一生に一度は発症する頻度が高い神経疾患で、その多くに遺伝的な背景があると指摘されている。8-20歳程度で発症する「若年性ミオクロニーてんかん」は、最も発症頻度の高いてんかんの一つになっている。 理研脳科学総合研究センターの神経遺伝研究チームは2004年、「若年性ミオクロニーてんかん」の患者で、「EFHC1」の変異が多く見られることを突き止めた。その後、「EFHC1」が、「若年性ミオクロニーてんかん」だけでなく、ほかの種類のてんかんの原因遺伝子でもあることが分かってきているが、「EFHC1」の変異が引き起こすてんかんのメカニズムを明らかにするモデル動物を対象にした研究報告はなかった。 同研究センターと大阪医科大、名古屋市立大などの共同チームは、「EFHC1」のノックアウトマウスを用いた初めての研究を進めた。その結果、ノックアウトマウスが、「ミオクロニー発作」を起こしたり、けいれん誘発剤に対する高い感受性など、てんかん患者と類似する症状を示したりすることが分かった。また、「脳室壁」の細胞の運動機能の低下など、幾つかの特異的な症状を表すことも明らかになった。 これらを踏まえ、理研では、「『EFHC1』の変異によって起きるてんかんの発症機構を理解することは、『若年性ミオクロニーてんかん』だけでなく、てんかん全体の発症メカニズムの理解にもつながる」などとしている。 【ミオクロニー発作】 ぴくぴくとした骨格筋の発作。全身の場合もあれば、顔面、四肢の一部に限局される場合もある。 【関連記事】 ・ ヒト染色体を丸ごと観察、医学応用へ期待 ・ アルツハイマー病などの治療薬開発に期待 ・ タンパク質の解析に新技術、創薬などに貢献 ・ メタボに効果的な甘味成分の遺伝子発見 ・ 糖尿病解明へ関連遺伝子発見 |
最終更新:1月16日16時56分