王様は岐伯を呼びました。

 

「王様、何かご用ですか?」

 

王様は、聞きたいことは後回しで、

今読んでいる本について聞きました。

 

「岐伯、経の本には、

夏に暑さに傷つけられると、秋に瘧の病に病む、(素問5)(素問35)(霊枢74

と書いてあるのだが、

どうして、瘧の病を発症するまでに、時間があるのはなぜだ?」

 

瘧の病の仕組みについては、素問篇第三十五瘧論で

すでにくわしく説明されているのですが、

岐伯は再びきちんと答えました。

 

「瘧の原因の邪気は初め、風府穴から入ります。

病の原因の邪は、そこから背部の筋に沿って下がります。

 

衛気というのは、昼は体表を、夜は深部を周っているので、

必ず邪気と衛気は体の中で合わさり、

ぶつかると発作が起こります。

 

邪気は、一日に一椎ずつ下がるので、

発作はが起こる時間は一日ごとに遅くなります。

この現象では、邪気がすでに背中に入りこんでいると分かります。

 

衛気が邪気がいる所に行って、ぶつかるのは、

邪気が日に一椎下がるので、毎日少しずつ遅くなります。

二十一椎を、二十一日で下がり、尾椎まで行くと、(素問35では二十五日)

二十二日目には脊椎の内側に入り、(素問35では二十六日)

そこから深い所にある衝脈に注ぎこみます。

ここから上に向いて進むので、

発作が起こる時間はだんだん早くなって行きます。

そして、九日で天突に出ます。(素問35でも同じく九日)

邪気が体内深部で五臓に近づき、幕原の横に行きつけば、

深くに邪気があるため、衛気が通る道から遠く、

発作が起こるのは遅くなって、

毎日は発作は起こらなくなります。

だから、次の日に積み重なって発作が起こるのです。」

 

王様は言いました。

 

「では、病にならないように、

邪気が最初に入った風府の腠理を

開かないようにすればいいのではないか?」

 

岐伯は言いました。

 

「腠理は、衛気が至ると開きます。

衛気は、体全部をめぐるので、風府にも行きます。

 

風府に至るたびに、腠理が開き、

腠理が開くと、邪が入り、

邪が入ると病になるのです。」