王様は言いました。
「なるほど、では、
急に死んだり、急病になるのはどうしてだ?」
少師は言いました。
「『三虚』の場合、人の死は病からあっという間です。
『三實』であれば、邪が人を傷つけることはできません。」
王様は言いました。
「まずは、三虚について、聞かせてくれ。」
少師は言いました。
「年が歳気不及の虚の上に、
月の形に光が無く黒い日にあって、
気候が季節に合っていない、
という三つが重なれば、
賊風は人を傷つけ病にします。
年・月・時(季節)、の三つが虚の状態を
『三虚』といいます。
どんなに体の構造にくわしい名医でも、
三虚を知らなければ、だめな医者です。」
王様は言いました。
「では、三實について、聞きたいぞ。」
少師は言いました。
「年が歳気が盛で、
月が光る満月で、
気候が季節に合っている、
これが『三實』です。
賊風の邪気が吹いても、
人を危い目にあわせることはできません。」
王様は言いました。
「すばらしいお話であった、
はっきりと道理まで、よく分かったぞ。
少師よ、たのみがある、
今の話を、金匱(素問46)の本に書いてくれないか。
しかし、少師が一人で話したことなので、
岐伯にも聞いてみよう。」