6月15日 稚内 晴れ 過ごしやすい

 

稚内港。北防波堤ドーム。

これは防波堤としてだけでなく、昔の鉄道と船の連絡通路でもあった。

10数年前までは、ツーリングライダーがテントを張って野宿することも多かったという。

今ではテントは禁止されたが、惜しい。

ロマンしかない建造物。旅する者なら、ここで1泊したくなるのは間違いない。

 

稚内駅へ。ちょうど特急が停車中だった。

道の駅とつながっているので、売店で食材調達も。

 

R238。宗谷岬への道。

何度走ってもグッとくる。

初めて北海道に来たのは2002年。今から24年も前のこと。

その時、この辺りのバス停の小屋で一夜を明かした思い出がある。

あの頃は情報も少なく、私自身も無茶で無謀だった。

今思えば、その当時なら北防波堤ドームに行けば良かったんだな、なんて。

 

さて、宗谷岬へは直接は向かわず、走っていない道をつないで行こうと思う。

D1077で迂回し、D889へ。ここは前回来た時通行止めで、走りたかった道。ツーリングマップルに「爽快ワインディングロード」と書かれている。

なるほど、爽快。長野県の道みたいな。

 

宗谷丘陵へ入って行く。

周氷河地形の向こうにオホーツク海が見える。

私は地形が好きで、地図でイメージした道を実際走って比べるのがその醍醐味だと思っている。ここはその喜びが強い。

一見、西伊豆スカイラインみたいな印象だが、ここは紛れもなく北海道。

 

風力発電のプロペラが立ち並ぶ。壮観。

映画のワンシーンのような、涙が出てくるような風景。

美しいぜ、まったく。

言葉にならないぜ、まったく。

 

牛、馬、鹿を見ながら、さらに先へ。

今回、白い道はパスでいいかな。前回行ったし、リアタイヤがヤバいのもあるし、もう充分楽しんでいるのもあるし。

 

日本本土最北端、宗谷岬。

やっぱり達成感のある場所。

こんなところまで来てしまった、という感覚。

そしてもう3度目になるので、帰ってきた、という感覚も少しある。

初めて訪れた24年前はどしゃ降りの雨の中だったな、と思い出す。

 

最北端の碑。

北海道はやはり東というより北というイメージなので、ここを目指したくなる。

 

間宮林蔵の像。

海の向こうの樺太を見つめている。

政府の役人というより、探検家というイメージのある人。

伊能忠敬も、松浦武四郎も、彼らの残した足跡が、我々現代の自称冒険家に勇気をくれる。

 

R238。

宗谷岬の青看に「網走295km」と書いてあった。内地ではそんな距離を目指さない。

東京日本橋を出て、名古屋までの距離を表示しているようなもの。

でもこれが北海道の距離感。

宗谷岬から東側に見える海は、オホーツク海と名を変える。

オホーツクはアイヌ語ではなくロシア語由来。北海道の地名とも響きが異なる。

 

猿払村に入る。海霧が目の前を塞いでいる。

あの中に突っ込んでいくのは寒いだろうな、と想像する。しかし逃げ道は無い。

まっすぐ白い世界に突入する。実際は…やっぱ寒い。想像よりもう少し寒い。

いろいろあるなぁ。

 

猿払の中心部(?)に入って行くと、ちょうど小学生の下校時刻。

低学年だろうか、仲良く歩道を並んで歩く男子2人女子1人。

彼らが私に手を振る。私も大きく振り返すと、とても嬉しそうな笑顔が返ってきた。

あの子達のちょっとした日常の遊びなんだろうか。いいな。

こっちはそれだけで旅の充実感が得られる。

ちょっとした沼の水面に光が当たって、キラキラしている。

そんな風景に出会うだけで旅の充実感がある。

私は今、北海道を走っている。

「おじゃる」さんのブログにて、5月10日の鈴鹿ツインサーキットでの走行会の写真がアップされていた。

SNSでご自由にお使いくださいとあるので、ありがたくお使いします。

ありがとうございます。

 

 

 

 

 

 

 

アニさんも

 

以前、イノハさんがXに上げてくださった写真も。

 

 

フォームがまだ固いな。

特に腕とか。

頭ももっとイン側に入れた方がカッコいいし。

まだやれることいっぱいある。

あと、ヘッドライト切った方がサーキットでは映えるかも。

点いてると街乗りっぽい。常点灯なので、消せるようにするか。

それにしても、写真撮ってもらえるのはとてもありがたい。

見ているだけで、当日の熱気とか思い出せそう。

ありがとうございます。

 

 

 

6月15日 幌加内 曇り時々晴れ

 

R239、霧立国道。

日本海を目指す。苫前まで60km。

この道も本当に素晴らしい。早くも北海道で何度目かの、高速ワインディング。

私の大好きな岐阜県のせせらぎ街道に近い。

それがずっと続く。超絶せせらぎッシュ街道じゃないか。

スロットル開け開け。バイク傾けまくり。刺激が強くて、とてもゆっくりは走れない。

10km登って、霧立峠。あとは50km下る。何だこの規模感。それにもう10kmも走ってきたのか。

R239もまた、心に刻もう。

 

 

山が尽きて、平野の向こうに砂丘っぽい盛り上がりが見える。

その向こうは、海。

とうとう来たな、北海道のメインと言っていい道。期待感しかない。

 

海だー!やったぞー!

ダカダン、♪あったらっしっいい~

と「1/6の夢旅人」を歌うと、気分が盛り上がる。ここは北海道。

さっそく大きな風力発電がお出迎え。

 

映えるぜ、まったく。

位置情報を見たサトシからLINE。「そっち天気どうだ?」と。

よく晴れてるぞ、早く来いよ。

 

R232、天売国道。別名「日本海オロロンライン」

ずっと海沿いを行くこの道は、北の果てまでずっと続いている。

海、砂丘、牧草地、スノーポール、地吹雪防止の柵、風車。

特に何がある訳でもない風景の中に、北海道らしさが詰まっている。

 

初山別村に入る頃、利尻富士が見えてきた。

それまでうっすら小さな影だったものが、だんだん意識できるほどに。

もうこんなところから見えるのか。不意を衝かれて、ちょっと感動的だ。

 

遠別町に入る頃、明らかに空気が変わった。

少し肌寒さを感じる。北に入った、という感じがする。

金浦原生花園。

黄色いエゾカンゾウが咲き誇っている。

木道を歩く。背景には利尻富士と風車。

アカン、何か泣きそうだ。

 

天塩町からD106。道北のハイライトの1つ、オトンルイ風力発電所。

大きなプロペラが28基並んでいる。これの稼働は来年までなのだそうだ。

ここも今しかない風景になってしまった。

バイカー達が並んで写真を撮っている。

 

もっと近づきたくて、砂利道に入って行く。

リアタイヤに不安はあるが、自分だけの景色を探したい。

 

やがて電線が無くなり、スノーポールも無くなった。

あるのは水平線に浮かぶ利尻富士と、地平線まで伸びるまっすぐな道だけ。

ここはバイク天国。みんな思い思いの場所に停めて、写真を撮っている。

横を通過すると、その先客がみんな手を振ってくれる。

 

利尻富士がだんだん大きくなる。

あああぁぁ、もうもうもう。

今回の旅で、これ以上の景色は無い。そう言い切れる自信がある。そんな絶景。

 

ああもう、青看すら、たまらなく北海道。

 

利尻富士の大パノラマ。

30歳から登山を始めた遅咲きの私だが、いつか登ってみたい憧れの山だ。

今回のツーリングに、何とか登山を組み込めないか考えたが、6月の気象条件や準備不足で断念した。また必ず、と思う。

 

抜海を過ぎる。絶景は続いているが、魂を抜かれたようになっている。

ノシャップ岬。北の端で2つ突き出た左側の岬。

うんうん、絶景。

 

港の風景も。だから絶景だってば。

 

樺太食堂。

ライダー・チャリダー大歓迎。そんなこと言われたら行くしかない。

 

各種選べる無敵のうに丼。

二色・三色・五色…。

うに・いくら・ほたて…。

あぁもう、とても私などには選べない。

ということで、全部のせの「樺太丼」をお願いします。

 

丼が届くまで、家に残してきた家族のことを思う。

「父ちゃん、ひもじいよー」と泣いている三男。

「男ならそれぐらい我慢しろ」と諭す次男。

長男に至っては、そんな生活に耐えかねて家を出て行った。

下を向いたら涙がこぼれる、と上を向いて野菜の土を洗う妻…。

スマン、私だけがこんな豪勢な食事を。

家族に心の中で謝るが、涙が頬を伝う。

 

「お待たせしました」

樺太丼が届く。

醤油をかけて、手を合わせ、大きな声で宣言する。

「いただきます」

 

空気に触れるだけでとろけていく、うに。

プチッと弾けて口中幸せにする、いくら。

どこまでも甘く柔らかい、ほたて。

弾力と歯切れの良さを両立した、いか。

旨味だけで成り立っていると思える、かに。

 

うめぇ。

めちゃくちゃうめぇ。

溢れる涙が止まらない。

号泣しすぎて周りの注目を集めるほど。

 

とまぁ、ちょっと誇張したけど(←?)、そんな感じで、大変おいしかったです。

家族のみんな、悪りぃな。

今日は、というか北海道に来て早くも、最高の景色と最高の食事をやってしまった。

余は満足ぢゃ。

6月15日 朱鞠内湖 曇り 13℃

 

5時。早くに目が覚めた。

静かな湖畔に朝日が昇る。

が、事件は真夜中に起こっていた。

 

深夜、2時3時頃。

ガサッ、とビニール袋が擦れるような音がする。しかもテントのすぐ近くで。

はっと目が覚め、外の気配を伺う。

雨は止んで、カエルの鳴き声と、鹿の笛みたいな声、フクロウなのかホーホーと。

向こうもこちらを伺っているのか、またカサッと音がした。テントの壁を握りこぶしでドンッと叩く。ササーッと何者かが移動する。

熊ではない。もっと小型の、キツネかタヌキぐらいの。

ジッパーを開け、前室に置いていた食材とゴミ袋を確認する。

ある。さすがに中までは入ってこれなかっただろう。しっかりペグを打っておいて良かった。

でも何があるか分からない。匂いのするものをインナーテント内に入れる。

ここで思い出す。

3年前、朱鞠内湖を訪れた釣り客がヒグマと遭遇して、命を落としている。

ここはそういう場所だ。

一応、キャンプ場の外周に電気柵を巡らせてあるらしいが、野性に対して効果は絶対ではない。

相手が熊なら、食材など逆に外に出した方がいいのか。

でも万が一、熊だとしたら、もうあきらめるしかないとも思う。

などと考えていたら、15mほど離れた隣のテントでもドンッと音がして、「ああっ」「くそっ」と小さく声が聞こえる。何者かと戦っているようだ。

ヘッドライトを着けて、様子を見に行く。

が、見に行ったとて、そこは夜のキャンプ場があるだけ。

炊事場の明かりが、周りをぼんやり照らしている。

自然に対して、自分が何かできる訳でもない。

再びシュラフに潜って、様子を伺いつつ、起きているでもなく、眠る。

 

ウグイスとカッコウが鳴く朝。

大合唱だったカエルはもういないかのよう。

炊事場の冷たい水で顔を洗い、朝の散歩を少し。

すると、向こうから同じく散歩なのか、隣のテントの住人が。

おはようございます、と挨拶をすると、

「テント大丈夫でしたか?」と。

「何かいましたね」と返すと、

「私はテント破かれました」

「え⁉」

彼のテントの少し横、ゴミ袋が荒らされて、中身が散乱している。

「キツネです」

エキノコックスがあるかもしれないので、直接触ってはいけないらしい。

「キツネが多いとは聞いていたんですけど…」

フライシートとインナーテントの間にいろいろ置いていたようだが、私との違いは、そのスペースが狭かったことだろうか。

こうして見ると、私のテントが無傷なのが不思議なほど。

「まずはテントを修理しないと」

東京から来たというVストロームの彼は、あと1週間ぐらいここでキャンプを続ける予定だったらしいのだが、心を折られて、肩を落としている。

「お互い気を付けましょう」

 

気を取り直して、とりあえず飯でも食うかね、と。

朝食は日本人らしく、ご飯と味噌汁。

米は持参した近江米。地元の消防団仲間あっちゃんが作ったもの。

上手く炊けた。

いただきます。

おぉ、あっちゃんうめーよ。

ご飯のお供は何も無いが、逆にコメ本来の味がする。

GWから軽めのダイエットを続けていて、米をあまり食べていなかった。しかし旅には必要だろうと持って来て、それは精神的にも落ち着くものだと実感する。

 

朱鞠内湖畔キャンプ場は、旅の先輩、岡さんのおすすめだった。

「北海道らしい自然を感じられるよ」と、石川県のライハ、室野BASEで聞いた。

現代の我々は、人類の歴史上、最も安全で便利な時代を生きている。

明日の食料にも困らず、猛獣に襲われることもなく、冷暖房完備の部屋で眠ることができる。

しかし我々の脳は、おそらく、このような安全すぎる世界で生きるようには、設計されていない。

何十万年という進化の過程において、我々の祖先は、常に命の危機と隣り合わせだった。

それを少し思い出せたような気がする。

野外で、自然の中で寝るという行為は、人間らしさを取り戻せる気がする。

たかだかキツネ1匹が、今生きている実感を与えてくれた。

いいキャンプ場だな、岡さん。

テントを撤収して、バイクに積んで、出発。

 

太陽がこの先の道路を照らす。今日も晴れそうで、嬉しい。

でも油断は禁物。バイクも、キャンプも。

ひと晩目から刺激充分。

次は何が起こるのか、楽しみだ。

6月14日 滝川 晴れ かなり暑い

 

滝川市に入る。

水田が広がっている。石狩平野だな、と思う。

田んぼの風景は滋賀県では当たり前だが、北海道で見るのは今回ここが初めてだ。

それでも北海道は規模が大きい。そうなったらなったで、ずっと田んぼが続く。

 

R12、中央国道。

ここは日本一の直線道路の区間。ほぼ30km、ずっとまっすぐ。

片側2車線でもぜいたくな交通量だが、3車線の区間まである。

街の作り方も余裕がある。本州とは違い、地形と歴史が噛み合ってない感じがする。

途中、ブックオフを見つけ、文庫本を1冊買う。長旅だというのに、1冊も持って来ていなかった。

ホクレンで給油。今年はホクレンフラッグの配布が無いらしい。中東情勢悪化のナフサ不足が理由らしい。

ちきしょう、ライダーの楽しみを奪いやがって。戦争してんじゃねーよ、バカ独裁者。戦争がダメなことぐらい、小学生でも知ってるぞ。

深川から北へ。

 

R275、空知国道。これまたなんていい道だろう。

夕張国道よりクルマが少ない。ひと言で言えば、日常で走る必要のない道。

白樺のまっすぐな道。写真はついまっすぐのところで撮ってしまうが、本当はゆるやかなカーブのところが気持ちいい。

全体を記憶に残したいのだが、文章で、できるだけ。動画撮ったりは、速度的に問題あったりなかったり、ゴニョゴニョ。

景色はずっと北海道らしい。丘がそのまま牧草地になっている。本州だとこれが棚田になるものだが。

 

幌加内町に入る。

ここは日本一のそばの産地だという。広いそば畑はまだ時期的に起こしたばかりの土に見える。

太陽が嬉しい。太陽の光には力がある。

 

雨竜川の表情も良い。もちろん護岸なんて無粋なものは無い。原始に近い姿。

道の駅に立ち寄るが、小さな売り場にはそばしかない。

 

幌加内は「超ど」が付くほどの田舎。

青看に「添牛内まで〇km」と書いてあったが、その添牛内は10軒もないような集落だった。こんなのは集落とは呼べない。

しかし、そんな場所にもかつて鉄道が走っていた。

旧国鉄深名線、添牛内駅。駅舎が綺麗に残されている。

 

廃駅も北海道らしい趣がある。

これまで国道沿いに、橋梁や跨線橋があったりして、昔の路盤を探してみたが、もうだいぶ自然に還っている。

現代の目で見れば、こんなところに鉄道は要らないということになるだろう。

でもこの鉄道が開拓の歴史を作ったと思うと、鉄道施設はロマンのかたまりである。

 

今日の目的地、朱鞠内湖畔キャンプ場に到着。

車乗り入れが可能な第2サイトは、そこだけでかなり広いのだが、客は私を入れて4組だけ。

聞こえる音は春蝉の鳴き声。そこに鳥たちがピピピピと。

 

湖が望める場所に、北海道ツーリング用に新調したテント「マエヒロドームプラス」を設営する。

キャンプはまだ初心者と思っているが、普段からハンマーを使う仕事をやっているので、ペグ打ちには何の違和感もない。

それに、新築一戸建ての我が家を建てているようで、楽しい。

「ここをキャンプ地とする」

これを北海道で言いたかった。

 

エアマットをしゅこしゅこ膨らませて、シュラフを天日に干そうと思ったら急に曇ってきた。

まぁいい。コーヒー飲んで、ひと息つく。

白樺越しに湖を眺める。釣りのボートがいくつか浮かんでいる。ここはイトウが釣れるらしい。

まだ明るいが、オイルランタンに火をつける。

自分で選んだ道具たちに囲まれて過ごすのも、キャンプの楽しみの1つなんだろうな。

 

さぁ晩メシやりますか。

北海道CLASSICでひとり乾杯。

ビールは魔法の飲み物。この一杯のために生きている、と思わせる力がある。

セコマで買ったジンギスカン。

もやし入れて焼くだけ。これがやりたかった。

うまい。

甘辛のタレが超絶ビールに合う。もう夕食は毎回これでいいんじゃないかと思うほど。

〆のうどんまでやったら腹いっぱい。

至福の時。いいじゃないか、ソロキャンプ。

 

夜になって、雨がぱらつき始めた。

そんな予報ではなかったが、ここだけピンポイントで降っているらしい。

テーブルと椅子を広い前室に入れる。ありがたい。マエヒロドームにして大正解だった。

積み荷としてはこれまでの山岳テントより大きいが、快適に過ごせる家が欲しかったので。少しの雨は想定内。

 

ツーリングマップルで明日の計画をざっくりと。

気合い入れてビールを3本買ったけど、減らしてもいいかも。

夜はカエルの大合唱。それは自宅にいる時と同じで、よい子守歌だ。