6月20日 上士幌町 晴れ やや暑い

 

ナイタイ高原牧場に向かう。

6年前、友人に勧められたが、行けなかった場所。展望が良い、とツーリングマップルも言っている。

ナイタイ山に向かってぐんぐん高度を上げる。なるほど良い道だ。

調子よく登っていると、道路に牛が。おお、これはイレギュラーだろう。

しばらく写真撮っていたら、牧場関係者のクルマがやってきた。

「見つけました、だいぶ上です」なんて連絡を取っている。広い牧場は大変だ。

 

平野部は晴れていたが、登るにつれて分厚い雲が覆う。山頂は雲に隠れた。

中腹に見えた建物が「ナイタイテラス」

ギリギリ雨も降らずに、到着。

駐車場の向こうに、いかにも記念撮影しろというアーチがあったので、バイクを押して行って1枚。

軽いバイクはこういう時ありがたい。

 

「日本一広い牧場のソフトクリーム」を外のデッキで食べる。

晴れていれば、眼下の十勝平野の展望がかなり良さそうだが、今日は若干霞んでいる。

そして頭上には黒い雲。

仲間の位置情報をチェック。

実は今朝、柴さんが砂利道で転倒したとの一報が入っていた。助けにいくこともできず、無事を祈るだけだったが、とりあえず大丈夫なようでひと安心。

サトシは帯広の「インデアンカレー」で学生時代の友達に会っているようだ。私も行きたかった店。

 

さて、これからどうしよう。

三国峠の辺りは雨。6年前に絶景を見たので、今回はパスか。

じゃあ然別湖か。こちらも雨が怪しいが、今のところ大丈夫。ギリ行けるか。

牛が草を食む、然別湖はあの山の向こう。

 

R273を北上する。平野から山に入ると、雨が当たり始めた。

道端の広場でカッパを着る。いつ本降りになってもおかしくない。ここからは雨だと分かっていて突っ込む道程になる。

朝から雨を覚悟したので、今日は雨に前向き。

ちょうど向かい側に、崩れた古い橋梁が見えた。旧国鉄士幌線のもの。

これをさかのぼって行くと、タウシュベツ橋梁や三国峠があるが、雨だと潔く諦められる。

 

糠平湖からD85へ。

久しぶりの狭いぐねぐね道。本州の道のようだが、白樺の森は紛れもなく北海道。

道道に入ると、ぱったりとクルマを見なくなった。迷い込んだような雰囲気が良い。

 

幌鹿峠。意外にも標高は1000mを超えている。

看板に大雪山国立公園と書いてある。厳密には原生林ではないけど、バイクでも、これだけ自然を感じられる。

 

峠を下ると、とうとう来た、本降りの雨。

然別湖沿いまで下りてくると、バリバリと、ますます雨足が強くなる。

ヘルメットの視界は悪く、カッパを叩く雨粒が痛いほど。

道は1車線の区間もあり狭い上、湖側の路肩が下がっていて、左側を走りたくない。

バイクを傾けたら滑りそうだし、苔の路面でブレーキも滑りそう。

なぜかこんなところで対向車が来たり、何より湖に落ちそうな恐怖がある。

久しぶりに、自然に試されている感覚。

湖上のボートが、ホテル前の乗り場に向かってくる。彼らにとっても意外なほどの雨なのか。

 

湖底線路。阿寒湖にもあったが然別湖にも。晴れていればなぁ。

と、ここでサトシから連絡。

「ライハに16時までに来い」

よく分からないが、そうしないといけない事情がありそうだ。

一応、グーグル先生に到着時刻を聞くと、ちょうど16時だという。巻いて行けるか。

 

標高900mの峠を越えて、平野に下って行く。

晴れたら良さそうな道だが、視界も悪い。雨の下りは怖い。

雨はツーリングの難しさを凝縮したようなもの。レーシングライダーがラップタイムを上げるのとは違う技術を必要とする。

一度の転倒で全てが終わるかもしれない世界だ。

積み重ねた経験や、時には勘も動員し、初めてのブラインドカーブの先を読む。

自分を勇気づけるように、そして過度に緊張しないように歌を歌う。

Led Zeppelin「Good Times Bad Times」

YOYOKAの8歳の時の演奏の動画があまりにも有名。

彼女のように楽しんで走ること。その心の持ちようが一番大事なのかも。

 

平野に下りてきた。

雨も止んだ。雲間から少しだけ光が射す。

その太陽はまるで今生まれたかのようで、快晴の太陽よりも感動的だ。

ああ、生きてるなぁ、と思う。

旅の中、今しかない瞬間に出会えた。

この瞬間が好きで、あえて雨に向かって突っ込んでいったのかもしれない。

今日は地元の秋祭り。

夜は毎年恒例の花火大会。

我々消防団は、その実行委員でもあり、スポンサーでもある。

夕方から準備を。

 

打ち上げ場所は田んぼの真ん中だが、枯れ草が多いので、ジェットシューターで水を撒いておく。

打ち上げ装置を間近で見てしまう。

こういうの企業秘密なのかな。そうでもないか。

 

焼き鳥、たこ焼き、かき氷などなど。

それぞれの持ち場で頑張る。

私の担当は毎年恒例、募金箱。

箱持って声張って会場を練り歩く。

ご協力お願いします。

 

花火は20時スタート。

いいですなぁ。

でも写真、ムズいね。ナイトモードの時間差があるし。

 

さて、花火終わってからが、我々の本番(?)

いや、準備段階からかなり飲んでるけど。

無事終わって、晴れ晴れした気分で飲む。

酒や酒や、酒もってこーい!

 

会場撤収して、消防小屋で二次会、カンパーイ!

日付が変わる頃それもお開きになったが、近所の友達ん家で若者たちが飲んでるから来いと誘われ、三次会、カンパーイ!

 

今日は1年で2番目ぐらいに多く酒を飲む日。

明日のことは知らない。

っていうか、今日か。

っていうか、もうこんな時間スか。

っていうか、記憶無いんスけど。

6月20日 阿寒 小雨 13℃

 

鳥が近くで喋っているようだ。

鳥のさえずりで目が覚めるのは、キャンプの良さ。

いろんな鳥が鳴いているが、鳴き声で名前が分かるのは、ウグイスとカッコウとサトシ鳥(?)だけだ。

そしてフライシートに雨粒が当たる音がする。

小雨が降っている。予報では降らないと言っていたが。

驚いたことに、雨を言い当てた東屋のポロシャツさんは、もうテントを撤収して出発した。

まだ5時前だというのに。旅の達人か。

位置情報を見ると、トミさんとヨシくんを乗せたフェリーは、電波が届かず、ずっと津軽海峡にいることになっているが、無事北海道を離れたらしい。

 

雨も止み、朝食にする。

今日も日本の主食、米を炊く。

主食という考え方は欧米には無いらしく、例えば彼らにとってパンは、メインディッシュの添え物の扱いだと聞いたことがある。

米はいい。

朝から米を食べると、腹がどしっと安定して、心が落ち着く。頼もしい食材だ。

ほたてのっけ飯とかに味噌汁。日本人で良かった。

 

雨雲レーダーを見ながら撤収のタイミングを図る。

便利な時代だが、レーダーが感知しないぐらいの雨雲がかかっているらしい。

それもおもしろい。私の五感を試されている感じがある。

フライシートの雨粒を拭き取って、素早く撤収。

キャンプスキルも少しは上がった気がする。これが最後のテント泊だったが、ここまで概ね、上手くいった。

 

8時出発。

少し遅くなったが、今日の目的地の帯広は近いので問題ない。

問題ないが、まっすぐ向かったのでは早すぎるので、まずは阿寒湖を目指して北上。

行く先に黒い雲がかかっている。降るか降らないか。雨雲レーダーでも紙一重。

でも降ってもいいとすら思っている。

今回の北海道ツーリングでは、まともな雨には一度も遭っていないので、雨を経験したいぐらい。なんて言うとMっ気すぎるか。

 

R240はなかなか良いワインディング。

鹿の飛び出し注意看板がいくつも出ている。相当多いのか。

少し手前に親子の鹿が書かれたレア看板があったのだが、止まれなかった。

もう1個ぐらいあるだろうと思ったら、もう無かった。写真撮りたかったが、そんなもんである。

トミさんにもらった鹿笛は、まだしっかりと付いている。仕事してくれよ。

と思ったら、さっそく鹿が道に出ている。やっぱり多い道なんだな。北海道ではもう珍しいことではなくなっている。ぶつ鹿らない、がテーマ。

 

阿寒湖は結構な観光地らしい。温泉があったり、ホテルがあったり。

阿寒湖カムイコタンは民芸品店や飲食店が並ぶ、テーマパーク風の村。

まだ営業時間前だが、にぎやかな時間帯も見てみたいと思わせる。

 

さて、阿寒湖といえば、湖底線路。

昔の廃線跡、ではないけど、不思議な絵面がいい。

 

湖の風景は好きだ。

琵琶湖のある滋賀県人だからか、心落ち着く風景。

そしてそこにバイクを置けば、それだけで映える写真が撮れる。バイクを主人公にするなら、背景はこれぐらい何も無い方がいい。

 

R241。足寄国道。

三角ポール無し、ガードレール無し、そして電線も無い。ただただ深い森の中を行く。

電線が無いというのは、次の街までつながった文化圏が無いということ。より原野に近い感じで、旅の実感が湧く。

山から平野に向かって、ゆるやかに下りていく。雨は降らないらしい。

Bryan Adams「Summer Of ‘69」を歌いながら走る。気分ヨシ。

 

足寄町。これで「あしょろ」と読む。

音の響きがとてもいい。何度も口にしたい地名。

街の真ん中に、大きな道の駅があり、かつてはそこが橋上駅の構造だったようだ。今は線路とホームの部分がシャッターで閉じられている。

その隣に木造駅舎の復刻版が建っていた。駅名の青いホーロー看板は古い時代のものだと思われる。

ふるさと銀河線の廃止は2006年。

 

上士幌町に移動して、道の駅「かみしほろ」へ。新しくおしゃれな建物。外では猿回しをやってる。

そろそろ昼食の時間だ。

北海道に来て、ここまでまだ味噌ラーメンを食べていない。ラーメン食べたい、ラーメン食べたい、ラーメン…無いのかよ。何だよぅ。道の駅だろ。

オシャレなバーガーしかないだとぅ。

ちきしょう、そんな気分じゃねーんだよぅ。

しかもいい値段だな。昨日の晩メシより高けぇじゃねーか。

ちきしょう、アボカドチーズバーガーにするか。

お待たせしました、って店員さん美人じゃねーか、ちきしょう。

おおおおお、うんま。

ヤバ、何だこれ。めちゃくちゃうまいぞ。

人生最高美味バーガー、あっさり更新。

私はグルメにこだわりが無いので、食材をそのまま利用する刺身のような第一次食品とでも言うようなものが一番贅沢だと思っていた。

が、こういう第三次食品的なメニューの良さを見直すことになった。

食べ物は作り手の研究と努力でどんどんうまくなる。

まだまだ感動できるもんだな。

北海道来て、まさかこんなもの(←失礼)で感動するとは。少し悔しいが。

8月19日は「バイクの日」

語呂合わせですな。

 

仕事終わりに、半ヘルかぶって、気軽にカブ散歩。

この時期のバイクはなかなか厳しい。

夕方6時で33℃もある。ウソでしょ。

 

琵琶湖を見に行く。

お気に入りの撮影スポットに行くと、草ボーボー。

 

ちょっと移動して長浜港。

夕陽があれば、それでいい。

 

あと、長浜の名所といえば、ここ。

…じゃないな。

 

あ、ここだ。

けた下高1.5m。ひくー。

 

スーパーカブには、大型バイクやスポーツバイクとは違う楽しみがある。

街なかの探検とか楽しい。

せっかくバイクの日なので、少しだけでも乗れればいいかなと乗ってみた。

どんなバイクも楽しいな。

 

そういや、まだSSTRのゼッケン付けっぱなしだった。

結構気に入ってるから、今年は付けておこうかな。

6月19日 厚岸 晴れ時々霧 暑い時々寒い

 

 

旅の途中でチームメイトに会ってしまうと話は尽きない。

しかし明日の夜は同じライハに泊まる約束をしているので、その時にまたゆっくり話そう。

サトシはこれから帯広のライハに行くという。私はやっぱりキャンプしたい。

「また明日」と学校帰りの同級生のように別れ、ひと足先に出発する。

 

釧路の街を高速で迂回し、釧路空港へ。

ここの売店で今夜の食材を調達しようと。

 

玄関前で熊が出迎える。

縁起でもないのでやめてほしい。

飛行機乗る人には関係ないが、これからキャンプしようとする人には刺激が強すぎる。

 

空港は独特の雰囲気がある。

鉄道の駅とも違う、フェリー乗り場とも違う、ショッピングモールなんかとも違う。

空を飛んで一気に移動しようというのだから、どこかテーマパークっぽいというか。

売店を見ると、少しおしゃれな物が売っている。

キャンプツーリングの途中にあって、場の風が変わるようなアクセントになった。

 

でも実用的な夕食は売っていなかったので、今日もセコマで調達することにしよう。

国道で海沿いに向かうと、またしても霧の中に入った。

セコマで肉を買い、少し気になったので、店員のおばちゃんに「霧の日って多いの?」と聞いてみた。

すると「夏は2~3ヶ月ずっとこうだよ」と、衝撃的な答え。

店を出ると、ちょうど高校の下校時刻らしく、国道沿いの歩道をぞろぞろ歩いている。

これだけ霧の発生率が高いと、明るく健全な高校生活が送れるのか、と心配になる。あと数km内陸側に学校を作ればいいんじゃないか、と余計なことも考える。

でも下校の高校生たちは楽しそうに見えて、ひと安心。

彼らを横目に、また内陸に向かうと、すぐ太陽が顔を出した。

この太陽より海流の影響力が強いのは不思議に思う。

 

阿寒丹頂の里キャンプ場。

ここは道の駅と温泉が併設された、便利な立地。

受付を済ませ、広いサイトのどこにテント張るかなと。

結局、広い芝生の真ん中にする。

荷を解いていると、ポロシャツをスラックスにinした、およそアウトドアらしからぬ人が、「隣に張りますか?」と声をかけてきた。

こんなに広いのに?と思うが、彼は東屋の下にテントを張っていて、「雨が来ますよ」と言う。そんな予報はどこにも無いのだが。

丁重に断って、テントを張る。

「ここをキャンプ地とする」

 

さて、まずは温泉。

温泉さえあれば、毎日でもキャンプできる。逆に言えば、温泉が無いともうダメである。

風呂上がりは瓶コーラ。良い風情。

 

キャンプサイトに戻ってきて、少し散歩。

日は隠れ、風が涼しい。池の周囲に花が咲き、癒される。

テントを張った対岸には遊具が並ぶ。

明日はライハに泊まる予定なので、テント泊は今日が最後。

北海道最後のキャンプ場も最高のロケーションである。

 

広いキャンプ場だが、今日の利用客は、私を含め3組だけらしい。

北海道らしい広さが嬉しい。

テーブルにランタン用ポールを取り付ける。持ってきたのに、これまで使っていなかったので。

これで使わなかった道具は、焚き火セットだけになった。焚き火は時間とスキルの関係で難易度が高いということが分かった。

 

セコマの生姜焼き。網走の地ビール。今日も最高。

開陽台にいた、通称サトシ鳥が鳴く。

 

頭上を飛行機が飛ぶ。

今夜遅くのフェリーで、トミさんとヨシくんが帰る。彼らはもう苫小牧にいる。

柴さんは私が昨日利用した別海町のキャンプ場。

時間ギリギリと言っていたサトシも無事に帯広のライハに着いたようだ。

 

2品目。稚内の「たこカレー」と、納沙布岬の「かに味噌汁」

最北端と最東端を一緒に食べるのはなかなか贅沢。

 

池の蛙が盛大に合唱を始めた。それを聞きながら食べる。うまし。

シソのチューハイはハズレ。あまりにシソすぎる。まぁそんなこともある。

 

食器を片付ける頃、雨がポツポツ当たる。

おお、ポロシャツさん、降ってきましたね。天気予報の上を行ってますね。

テーブルと椅子を前室に入れる。広い前室はとても便利で、やっぱりマエヒロドームは大正解。

十勝ワインと東藻琴のチーズで読書の時間にする。

ポロシャツさん、雨のテントも悪くないですよ。

 

今夜はグループLINEもあまり鳴らない。

トミさんとヨシくんのフェリーは深夜出航なので、配慮してくれているのだろう。

この旅の最中、どこかで仲間の気配を強く感じていたが、今日は自分だけの静かな夜。

これもいい。

 

キャンプツーリングをしてみて、気づいたことがある。

衣食住の全てをバイクに積んで移動し、気に入った場所に、テントという家を建てて、その場で暮らしてみると、少しだけ北海道に住んでいるという感覚になる。

宿に泊まると、どうしても客という立場になるが、キャンプだと、ずっと自分のスタイルのまま旅ができる。旅人の姿勢が貫けるというか。

20代の時は、無人駅やバス停で、ゲリラのように眠ったものだが、もうあんなことはできない。

キャンプツーリングは、齢相応の楽しみという感じがする。

 

もう旅も後半で、計画はほどんど必要ない。

滝川で買った旅エッセイに没入し、本を閉じた瞬間に、ベルリンから北海道に帰ってきた。

自分がどこにいるのか分からないような不思議な感覚。

とても静かな、いい夜になった。

そろそろ眠ることにする。

トミさん、ヨシくん、また帰ってから、無事を祝い、旅を分かち合おう。